米国がくしゃみをすると、日本が風邪をひく
想定以上に手強いインフレ退治に米国FRBは苦心していたけれど、最近のパウエル議長の自信ある発言などからソフトランディング(市場にダメージを与えずにインフレを抑え込むこと)するだろう、といった期待と楽観的な空気になっていた気がする。
ところが最近になって米国の経済指数が相次いで市場予想に届かず(悪化傾向)、雲行きが怪しくなってきた。
先日は、個人消費に影響が出るであろう「クレジットカードの延滞率が統計開始以来の最高水準に上昇」なんて記事もあった。
少し余談だけれど、米国人ってローンが好きな印象がある。偏見かもしれないけれど、お金がなくても欲しいものがあるとリボ払いで買っちゃう人が多そうだし、その結果がこの記事な気もする。
これって、構造的にはサブプライムローン問題の時と同じだと思うけれど、そうであれば彼らは学習とか反省をしないのかな。
話を戻そう。
「米国がくしゃみをすると、日本が風邪をひく」というのは、日米の経済関係を表現した言葉で、確かに米国の株式市場が悪い翌日は大抵、日本の株式市場も悪くなる。けれど、この逆はほぼない。
日本がどれだけ咳き込もうが、熱を出してフラフラだろうが、米国経済が日本経済から風邪をうつされることはまずなく、ピンピンしている。
ここ最近、米国経済指数の悪化傾向に加え、株式市場ではハイテク株のNVIDIAなどが、いつ調整に入ってもおかしくないほどの高値圏にあった。
これらは景気減速の懸念ではあるけれど、それでもぼくは米国経済が「なんだか風邪をひいたみたい。熱っぽいんだ」と言っているくらいに思っていた。
ところが、8月2日に発表された米雇用統計の結果がめちゃくちゃ悪かった。
なんか、熱っぽいなぁと体温を測ったら40度以上だった、みたいな感じ。
雇用の悪化は景気後退に直結する印象もあり、これがダメ押しとなった。
この結果を受け、翌日の日本市場が暴落。さらに投資経験の浅い新NISA勢をはじめとする人たちの動揺による売りが売りを呼び、大暴落。
と、これが過去の急落、暴落のパターンだと思うけれど、今回に限っては ”くしゃみ” をしたのは米国でなく、日本だったと思う。
この ”くしゃみ” は、もちろん7月31日の日銀が政策金利引き上げを決定したこと。
しかし利上げを決めたとはいえ、わずか0.25%でしかない。
この程度の聞こえるか、聞こえないか程度のくしゃみで、あれほどの暴落への引き金になったとも考えにくい。
やはり、本当の引き金となったのは利上げ発表そのものより、その後の植田総裁による定例会見だったのだと思う。
つづく
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