「誰か、いませんかね」
「お知り合いで〇〇をやりたい人はおられませんか」
「どなたか〇〇をやってくれる人、いませんかね」
「〇〇をできる人、誰か、いませんかね」
もちろん、〇〇に入るのは闇バイトではない。
料理やパン、ケーキやコーヒーなどが入る。
今でもこういった連絡はちょくちょくあり、つい先日もいただいた。
丁度、そんな話題を書いているタイミングなので、これについても述べておきたいと思う。
こういった連絡をいただくのは、ぼくが長年食べもの業界にいたからだけれどこのご時世、きっと他の業界も同様だと思う。
〇〇にはドライバーや看護師などエッセンシャルワーカーが入ることが多いだろうし、仕事によってはPhotoshopやIllustrator、高度なものだとコーディングやJavaScript、Python といった場合もあると思う。
ぼくは異業種の相場を知らないので食べもの屋さん視点で話を進めるけれど、こういった連絡があるのは、もちろん人材確保に困窮されているからに他ならない。
また、どのお店も大抵の場合、すでに自社のウェブサイトやSNS、求人誌などに出した上で、ダメもとくらいの気持ちでぼくなど知人に連絡をされているのだと思う。
つまり、人材確保のために考え得る方策は、おそらくすべてやった上で困窮されていることになる。そうだとすれば、これを解決する手立てはどれだけ考えたところで、ぼくに思いつくものはいくつもない。
一つは、賃金を上げる。
ダメもとで「誰かいませんかね」だろうし、お店それぞれの事情もあると思うので言葉にこそしないけれど、真剣に考えれば考えるほどぼくは内心こう思っている。
時給1500円にしてみたらどうですか
コストコやTSMCといった外資や大企業に限らず、食べもの屋さんでもこの人材不足の時代にあっても求人の応募が多く人材確保に困っていないのは、おそらく時給1500円以上を出しているお店だと思う。
SNSなどで頻繁に目にするお店の求人は未だに時給といった条件すら明記されていないものが多いけれど、今の時代にこれで人材確保は正直厳しいなぁ。
最低賃金を明記しているところであっても、採用できるできない以前に「応募すらない」というのが現実じゃないかなぁと思う。
仮に最低賃金が時給1000円だとして、それで応募がないなら1300円にしてみる。
それでもなければ1400円、それでダメなら1500円にしてみる。
ここまですれば、おそらく今なら人材確保に困らない。
きっと最低賃金が1500円になる頃には、同様に時給2000円を出すところが人手に困らないお店になっているだろうけれど。
事業主側が「やりがい、働きがいはお金だけでは計れない」と声高に言いたくなる気持ちもわかるけれど、現実としてこういったデータもある。
ご覧の通り、賃金引き上げが圧倒的である。
それでも賃上げを脊髄反射で「無理だ」というお店には、「もう他人を雇用することは諦めて、 ”ひとり親方” としてやっていくしかないですね」と思うし、それが1軒だけで売り上げも小さなお店なら営業日や時間、メニューあるいは製造量を減らすなりして自分だけや夫婦だけでお店を営めば済む話。
それに自分だけなら寝ずに働いて倒れようが国から問われることもないから、もう好きなだけ働き、余人をもって代えがたいほどこだわりのあるお店を目指せばいい。
難しいのは、すでに複数の店舗になっていたり、1軒のお店であっても売り上げが大きく、他人の手を借りなければ物理的に成立しない規模の場合。
こちらは「無理だ」「できるわけない」と言っている場合じゃなくて、どうすれば時給1500円を出せるかを真剣に考えた方が建設的だと思う。そうでないといずれ店舗数を減らし縮小するか、売却するか、廃業するくらいしか選択肢はなくなることになる。
ぼくなら、それが可能かどうかをまず確認(計算)する。それで難しいと判断すれば、次にどうすればそれが可能になるかを考える。
文字数が増えてきたので、これについては次回にしよう。
結局、他人の手は必要としながら端からそこを考えようとしないのは
「〇〇をやってくれる人、誰か、いませんかね」=「安い賃金で働いてくれる人はいませんか」
ということだと思う。
ん・・・いないでしょうね。
つづく
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