ただ生きていく
冷えた体表面にまとわりつくぬるい空気が
縮んだ血管を少しずつ広げ血の流れを感じさせる
気付いたら終わってたオリンピック
同い年のメダリストと520円のハイライト
彼女の結婚願望と、親の老いのことばかり考え
次の引き落とし、伸びた前髪を気にする
これが僕の人生のハイライト
人が羨ましくなり、蝉の生き方に憧れ、
食べたことのないコンビニ飯と、
トイレットペーパーの替えがなくなって、
生活をしなきゃと思いながら、床に就く
この船は、何処へ行く
船員もいない、蓄えもない、敵もいない
あるのはやさしく流れる大海原だけ
嵐もなければ高波もない
なのに、汗だくになりながら舵を切り、
頬に風を受けながら、進んでいく
そんな自分を可愛がる余裕もなく、
人の愛情を欲しがり、
あのバンドマンに気持ちを託す、
そんな自分自身が嫌になり、何かに夢中になる。
あと1週間で大災害が来ようとも、
戦争が起きようとも、
大統領が銃で撃たれても、
自分が何者になれずとも、
それでもただ生きていく