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やる気スイッチの正しい押し方

 参加している共同運営マガジンで、やる気に関しての素敵な記事を拝読しました。

 まんまと触発されたので、僕の脳内に保存されているやる気に関する知識をぶっ放してみようと思います。
 やる気に悩まされる方々のお役に、1ミリでも立てれば本望です。


やりはじめたらできるのに、はとても自然なこと


 本当はやらなきゃいけないのに、やる気が出ない……。
 実際にやり始めてしまえば、集中できるのに。

 そういう方、少なくないと思います。

 これ、実はとても自然な現象です。
 いつでもどこでもやる気満々マン、なんてひとの方が不自然なんです。

 脳の中で、やる気を司る部位として有名なものに「側坐核」という場所があります。この部位はドーパミン神経系と密接に関係していて、目標達成のための行動を継続させるために活性化し、多幸感や、陶酔感のような、快の刺激を感じさせます
 これが、やる気スイッチの正体です。

側坐核(n. accumbens)と腹側被蓋野(VTA)
Wikipediaより

 ところが、この側坐核。
 ちょっとひとクセあるのです。

 それは、行動を開始した後に活性化するということ。
 行動を開始するための刺激(=やる気)は発してくれないのです……。

 なので、やる気スイッチ=側坐核を押すためには、まずは行動を開始するための戦略が必要です。

 この記事では2つほど、やる気スイッチ押せ押せ作戦をお伝えします。

作戦① 2分ルール


 有名なタスク管理法のひとつに「Getting Things Done(GTD)」というものがあります。自分の気になる事項を網羅的にリストアップし、優先順位を明確にして、毎日のタスクに落とし込んでいく、というテクニックです。

 GTD自体は、始めるのにも継続するのにも結構根気が必要なのですが(実際、僕はおざなりになっています)、GTDの一過程として紹介されている「2分ルール」は、かなり手軽にはじめられる小技で、オススメです。

 やり方はカンタン。「やらなければいけないこと」に出くわしたとき、次の3つのどれに当てはまるかを自問するだけです。

1. 今すぐやる: 2分以内でできることなら、ただちに実行して終わらせてしまう。

2. 誰かに任せる: 2分以上かかることなら、自分がやったほうがよいかどうか考えてみる。答えがノーなら、ほかの人や部署に回す。

3. あとでやる: 2分以上かかり、自分がやるべきことなら、「次にとるべき行動」リストに加え、適切なタイミングで見直せるようにする。

デビッド・アレン『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』より

 2分ルールは、タスクのふりしてToDoListに潜んでいる偽タスクをあぶり出し、次に取るべき行動までの視界をクリアにしてくれます。

 これによって、あなたの行動開始を邪魔しているノイズを減らすことができます。

作戦② Time pressure management


 Time pressure management(タイム・プレッシャー・マネージメント)は、主に脳損傷によって前頭葉機能(集中する、情報を処理する、記憶する、考える、計画するなどを主体的に行う機能)が低下した患者に向けて開発された認知戦略です。

 ストップウォッチやタイマーで時間制限を作り出し、できる限り急いでタスクを行うことで、強制的に集中力を高めます。

 これは、我々健常者にも応用可能な戦略です。

 ”急がなきゃ”という時間的プレッシャーは、行動を促進させます。
 
デッドライン症候群なんか、まさにそうですよね。
 締切寸前で時間に追われると、とたんに集中して取り組めるようになります。
 この状態を、強制的に作り出すのです。

 ”急がなきゃ”は、自分に向いたワードに置き換えるのがオススメです。
 自分が奮い立つ、急ぎたくなる、最強のセルフキラーワードをぜひ考えてみてください。

 ちなみに、僕のセルフキラーワードは「俺の本気を見せてやる」です。
 ……誰に見せるつもりなのかは永遠に謎ですが。

燃え尽き症候群に注意


 2分間ルールやTime pressure managementなど、半ば強制的に自分を奮い立たせて行動する手段は他にもいくつかありますが、注意点も存在します。

 無理のしすぎです。

 度を超えた努力と根性は燃え尽き症候群という形で身を滅ぼします。

 燃え尽き症候群は、長期的なストレスや過度の仕事への没頭によって引き起こされる心身の疲弊状態を指します。

 極度の疲労、情緒的消耗感、気力低下、集中力低下、生産性低下、などの症状を起こし、社会への適応が困難になります。
 うつ病とは異なり、多くの場合、他の誰かに(何かに)怒りの感情を抱いています。イライラしています。

 僕もかつて2年ほど、燃えカス状態で過ごした経験があります。毎日が楽しく思えず、とてもつらい日々でした。

 やる気スイッチを入れまくるのもいいですが、無理をしすぎないように、自分の状態にしっかりと注意を向けましょう。

 そのために重要なのは、自分ときちんと”対話”することです。

自分との対話を忘れずに


 ”対話”と”会話”は、似て非なるものです。

 対話は、異なる意見や価値観を持つ人々が互いの「違い」を顕在化させながら、新しい意味や理解、知識を共に創り出す双方向のコミュニケーションプロセスです。
 一方、会話は日常的なコミュニケーションの中で自然に行われる、より気軽な言葉のやりとりを指します。

 ここで、疑問に思われる方もいるでしょう。

 対話は、異なる意見や価値観を持つ人々と交わすものです。一方で、自分はひとりしかいません。
 だから、自分との対話など、できるはずがないのではないか、と。

 可能です。

 なぜなら、自分はひとりではないからです。

 多くの方が勘違いしている落とし穴が、ここにあります。
 私たちの肉体はひとつしかありません。だから、精神もひとつしかないと思い込んでいるのです。

 私たちの心の中には二人の異なる人格が存在する。行動を変えようと考えるリーダー、計画する人、管理職がいる。そして、その計画を実践しなければならない部下、実行する人、管理職がいる。

マーシャル・ゴールドスミス『トリガー 自分を変えるコーチングの極意』より

 そう、「これをやらなきゃ」「こういうことをしたいな」と考えるリーダーの自分と、実際に行動を起こすプレイヤーの自分は、別人物なのです。

 何かをやりたいけど具体的な案が出てこないときは、プレイヤーが先走っているか、リーダーが計画をなまけているのです。

 逆に、今すぐやらなければいけないことが目の前にあるのに、もしくは今やっておけば後々ラクになるのはわかっているのに、なかなか行動に移せない。
 そんなときは、リーダーがプレイヤーをうまく働かせることができていないのです。
 もしくは、プレイヤーの意向や疲弊を全く無視して、リーダーが無茶な計画を立ててしまっているのです。

 さて、自問自答してほしい。 一日がすべて計画どおりにいった試しがあったか?

 指示した時間枠の中で、期待どおり、あるいは期待を上回る結果を出し、あなたが望むとおりの態度で、リーダーであるあなたの指示どおりにきっちり部下が動いたことはあったか?

 めったにそんなことは起こらない(そんなことが起きるのは、お祝いをしたくなるようなごく例外的なことだ)。

 それなのになぜ、あなた自身がリーダーと部下、管理職と社員の両方を演じるときにはそれが可能だと期待するのか? 他人ではなく自分自身に命令するからというだけで、すべてが順調にいくと期待するのか?

マーシャル・ゴールドスミス『トリガー 自分を変えるコーチングの極意』より

 一日の終りにぼーっと脳内会議するだけでもいいですし、瞑想や日記に取り組んでもいいでしょう。
 自分との対話を大切にし、リーダーの自分とプレイヤーの自分に折り合いをつけさせてください。
 そして、無理なく、楽しく、やる気スイッチを押していってください!

まとめ

  • やる気が出ないのは、一種の生理現象みたいなものだから仕方ない。

  • やる気スイッチを押す方法は存在する。けど、やりすぎると燃え尽きてしまうので注意。

  • 燃え尽きないよう、適度にやる気を出していく。そのためには、自分との対話が必要。

 また長くなっちまったぜ。すんません。
 最後まで読んでいただけた方、本当にありがとう!

 記事内容とまったく関係ないけど、僕の書くショートショートもきっと楽しいよ! 読んでね!

 あでぃおーす。

おしまい。

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