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『ジェリーフィッシュは凍らない』を本気で推理しながら読む(前編)
⚠️注意:この記事は市川憂人著『ジェリーフィッシュは凍らない』のネタバレを含むことを目指して執筆しています。未読の方の閲覧は十分ご注意ください。
推理小説を読む際、作中の探偵よりも早く真相を解明したいという気持ちは誰もが持ったことがあるとはず。
なんとなく推理しながら読んだりはするけど、結末を見て驚かされることが読者の常なわけで…
今回は、一章ごとに考察しながら読み進めて、絶対に真相を解き明かしてみせます。
読み始める前の考察
中身を読み始める前に、まずは、カバーと帯から情報を得ていく。
見た感じ、本書はクローズド・サークル(孤島もの)、及び、特殊設定ミステリの要素を含んでいるようだ。
クローズド・サークルの肝の部分は、やはり、犯人がどのようにして自分の死を偽装し、閉鎖空間から脱出するかという部分だろう。
だが、長い歴史の中で数多くのクローズド・サークルの作品が生まれ、そこの部分のトリックについては、もう出尽くしている感もある。
そこを本書では、特殊設定と絡ませることにより、新たな解法を得ているのだろうか。
読み進める上でまず注目したい点は、現実世界と作中世界の相違点かな。
前提が定まらないことには何も始まらないから。
以下、一章を読むごとに思ったことを書いたメモをまとめたもの。
プロローグ
主な内容: 犯行の一場面から始まるやつ
語り手(=事件の犯人)が誰なのかは案の定明かされないが、便宜上、プロローグの頭文字をとって P氏 としておこう。
重要そうな事項は、
P氏はレベッカに片想いしていた。
レベッカが「彼ら」によって殺害された。
P氏が復讐として「彼ら」を殺害した。
といった感じだった。
第1章 ジェリーフィッシュ Ⅰ
主な内容: 船員たちの日常回、その後教授死亡
ジェリーフィッシュの船員は、
ファイファー教授 酒浸りの老人
ネヴィル 副主任 おっさん 実質的トップ
クリストファー 研究員 お調子者 実家が金持ち
ウィリアム 研究員 意味のない仕事をしてる
リンダ 研究員 いい感じの女
エドワード 下っ端 しっかり者の若者
この人らが一人ずつ殺されていくといった感じだろうか。
そして、孤島もののお約束として、犯人はこの中にいる。
まあ、あえてお約束から外して外部犯という可能性ももちろんあるが、一旦はこの6人の誰かということでいいだろう。
じゃあ誰かということであるが、今のところは誰でも殺せそうな感じ。
気になったことといえば、6人で3部屋しかないことだろうか。
唯一の女性メンバーであるリンダが誰かと相部屋をしていることは不自然では?
限られた船内空間では相部屋も仕方ないかもしれないけど、極限空間の極みである自衛隊の潜水艦でさえ男女で部屋は分かれているらしいし。
考えられることとすれば、リンダと誰かが恋人だったりとか?
ネヴィルの愛人だったら面白そう。
第2章 地上 Ⅰ
主な内容: 仲良し2人で現場検証 雪山編
登場人物
マリア 刑事 女性
九条レン 刑事 マリアの部下
ボブ 検死官 太った中年の男
軍が機体を持ち去ったのはなぜ?
外部にいる人間が事件に関与している?
六人の死体については、おそらく犯人の死体は身代わりとすり替えてあるだろう。切断遺体がすり替えである可能性大。
真空気嚢式浮遊艇ジェリーフィッシュについて
要するに、作中世界と現実世界との相違点は、めっちゃ軽くて硬い素材が実現した、ということだけのようだ。
その硬い素材で気球を作ったら気球内を真空にすることが可能で、従来型飛行船と比べ、気球内のヘリウムの分だけ機体を軽量化でき、小回りが効くようになった、っていう感じ。
ジェリーフィッシュは普及度合からして、現実世界でいうところのテスラみたいな立ち位置かな?
インタールード Ⅰ
主な内容:P氏の不遇な人生と、レベッカとの出逢い
素直に考えればP氏は船員の誰かなんだろうが、誰かわからない…
P氏が航空工学を専攻していたことが明かされるけど、みんな研究員だしなぁ
これがワンピースみたいにそれぞれの役割があったら、船大工か操舵手に絞れるんだけど…
第3章 ジェリーフィッシュ Ⅱ
主な内容:船員たちの仄暗い過去と、暴走する自動操縦
事件の大枠としては、
船員の何人かが、過去にレベッカを殺害
P氏が、復讐として船内でレベッカ殺害メンバーを皆殺し
P氏が、自分も死んだと見せかけて船から脱出
といった感じだろうか。
このシナリオでは解き明かすべき謎は、
謎① P氏とは誰か
謎② P氏はどうやって船から逃げたか
ということになってくる。
謎①については、死亡が確定した教授と、レベッカ殺害メンバーであるウィリアムを除いた、ネヴィル、クリス、リンダ、エドワードのだれかだろう。
一番怪しいのは、他メンバーと関係の薄そうな派遣社員のエドワードかな。
謎②については、まだ事件の詳細な描写がないため、不明。
軍に協力者がいて、持ち去った機体に隠れてたのかも。
第4章 地上 Ⅱ
主な内容: 仲良し刑事2人で現場検証 研究室編
ジェリーフィッシュの開発者Rはレベッカ?
レベッカ殺害の動機は開発の功績を自分たちのものにするためなのかな。
新型ジェリーフィッシュの新機能とは?
めっちゃ重要そう。でも検討もつかない。
インタールード Ⅱ
主な内容:レベッカと親しい男がいたなんて…
レベッカの友人サイモン、まさかの登場。
ここに来て新登場か…
一応、今まで出てきた人たちだけでシナリオは作れていたんだけど、重要そうな人物が新たに登場。
大きく話が歪まないことを願う。
第5章 ジェリーフィッシュ Ⅲ
主な内容:雪山サバイバル
ネヴィル死亡。そして、リンダがレベッカ殺害メンバーであることが確定。
残るP氏候補はエドワードとクリスだけだ!
第6章 地上 Ⅲ
主な内容:苦労人の空軍少佐ジョン・ニッセン
ジョンさん、犯人の外部協力者かと思いきやそうでもなさそう?
敵国の介入か!?
→これは話として面白くないからなし。
新機能はステルスだった!
→犯人はステルス型ジェリーフィッシュに乗って逃げるんかな。
インタールード Ⅲ
主な内容:サイモンの正体、判明!
サイモンはレベッカを研究室に繋ぐ役割を果たしたようだ。
ネームドキャラの割には、そこまで重要な人物ではないんかな。
ともかく、サイモンの出現で話が予測と大きく変わることはなかった。
よかった。よかった。
第7章 ジェリーフィッシュ Ⅳ
主な内容:レベッカの話題を出すと揉めだした
クリスが散弾銃を構える。でも小物臭がすごい。
クリス…お前は犯人の器じゃないよ…
P氏=エドワードで確定か。
第8章 地上 Ⅳ
主な内容:推理内推理
記事編集の都合上、レベッカ殺害事件についてはカットします。
レベッカ殺害事件もちゃんとトリックがある。
一冊で二つの事件の謎解きができてお得。
事件の感想:レベッカ殺害メンバーは、思ったより鬼畜。
本事件につながる情報として、作中世界ではまだDNA鑑定が確立していないらしい。
死体すり替えの確実性が高まったね。
後編へ続く