【散文詩】消費期限
あなたがどこで何をしていようとも私には関係ない。あなたは私の所有物ではないし、いつだって自由だ。同じように私もあなたの所有物ではない。言葉で簡単に表せる関係で私たちは結ばれていない。友人だとか、恋人だとか、愛人だとか、そんなことはどうだっていい。私はあなたが好きで、たまに近寄りたい、触れたいと思うだけ。24時間以上隣にいたら狂ってしまう。嬉しすぎて悲しすぎて息が詰まる。愛のために窒息して死んでしまいたくなる。
しばらくあなたの顔を見ていない。私はこの心と口と性器でしかあなたと繋がったことがない。もしかしたら心は繋がっていないかもしれない。次にあなたがいつここへ来るかは分からない。もしかしたらもう来ないのかもしれない。それでも私はスーパーへ行き、あなたの好物を買ってきては冷蔵庫で腐らせる。消費期限は把握しているけれど、もったいないからと言って当日に自分で食べたりはしない。そんな惨めなことができるなら、私とあなたはすでに終わっている。まだ大丈夫。私は美しいまま、あなたを待てる。
音沙汰がないから、あなたの好きなものを完全に腐らせてごみ箱に捨てる。他の破棄されたものたちの中で埋もれていくあなたへの想い。何度捨てても無くならない。無くなるどころか、捨てるたびに増殖されていく。これを執着と呼ぶのだろうか。
「どうせ最後は私の元へ帰ってくる」と声に出して呟いてみる。語尾がかすれて、強がることすらうまくできない。一番強いのはあなたに今抱かれている女なのだろうか。その女はきっと、あなたの連絡先を保存して、いつまでも追跡する。なぜ会いに来てくれないのとめそめそ泣いて縋る。面倒な女をなだめるのに飽きたら帰ってくればいい。私は泣いたりしない。怒ったりもしない。そんな感情はとうに決壊している。あなたを好きになったときにはもう。