ここが わたしの ねるところ|穏やかに眠る子どもに、世界が見える|大人も楽しめるおすすめ絵本
小さい頃の私は、お気に入りのタオルのタグを触りながら寝るのが好きだった。そのタオルを「つかむの」と呼んで、布団や枕といつもセットにしていた。当時、寝ている間にみた夢なんて全く覚えていないけれど、でも「つかむのちょうだい」と口癖のように言っていたことは覚えている。
眠りにつく場所や、寝具、「つかむの」のようなおやすみグッズは各家庭や個人によって違うだろう。違う国、文化なら尚更だ。
そんな眠りを通して、世界を見れる絵本が『ここが わたしの ねるところ』だ。世界の子どもたちの「ねるところ」を通した世界旅行に連れて行ってくれる。
文のレベッカ・ボンドさん(Rebecca Bond)はアメリカ生まれ。作家・イラストレーター・デザイナーとして活動されていた方だ。
作画のサリー・メイバーさん(Sally Mavor)もアメリカ生まれ。アーティスト・作家・イラストレーター・刺繍作家として活動されている。こちらから、彼女の作品をのぞかせてもらうことができる。
世界の「わたしの ねるところ」
この絵本はなんといっても、テーマの独自性と刺繍による表現の美しさが素敵。
「わたしの ねるところ」をテーマに、世界の子どもたちの生活や、世界の文化を知ることができる。日本の「ねるところ」のページも!
刺繍で立体的に、質感を持って表現された「ねるところ」とおうちは、今にも潜り込めそうなリアリティとあたたかさを持つ。26歳のわたしも、旅をしているような気分でわくわくしながらページをめくった。
子どもに絵本を贈るとき、私が一番に思うことは、いろんな人の目を通した世界に連れて行ってあげたいということ。
世界は広く、一生かけたとて世界の全てを把握することなんてできない。だからこそ、絵本で豊かに想像を馳せて欲しいのだ。
そこに、サリー・メイバーさんのたおやかであざかやで生き生きとした刺繍があれば、想像がより一層ふくらみ、わくわくするはず。なんて素敵な絵本体験だろう!
世界の「ねるところ」を見ることで「ねる」ことや体を休めること、人の体を労わることすらも知らず知らずのうちに覚えてしまいそうな、穏やかであざかやな絵本。
おだやかに眠りにつく子どもは、ピュアな神々しさを持っている気がする。子どもが穏やかに眠れる「ねるところ」があること。それはきっと、社会の幸福や平和の尺度だ。
眠りにつくとき、世界の「ねるところ」を想像してくれたら嬉しいなあ。いろんな子が、いろんな場所で生きていていることを、なんとなくであったとしても理解してくれたら嬉しいなあ。そんなことを思いながら、この絵本を贈っている。
絵本についての私のnote