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お茶の時間

昨日は、一人暮らししている82歳の実チチのところに行く日だった。

日頃、困っていることを解決したり、重いものを買い物したり、掃除したり、簡単な昼ごはんを作って一緒に食べたりする日。月3回くらい、ほどほどに頑張って、ほどほどに手を抜いてる。

ここのところ私の体調がよろしくなく(更年期かなぁ)、片道1時間は行くのもなかなかしんどく、行きの電車でなんで「なんで私だけがこんなことしているんだろう?」と仲の悪い兄とその嫁に恨み言をぶつぶつ考えたりする。

でも行くと、老人と過ごして、彼の視点で物を見ると案外、発見がたくさんあって、私の中に新しい扉が開いたり、部屋ができたりする。最近、街中にいる高齢者にやたら優しくなれたりしたのもこのおかげだと思っている。

父娘なので、イライラしたりキツイ物言いになったりもしてしまうが、ふと気づくとそうなっているのは私の方が圧倒的に多い。もともとは自己中心的で傲慢で上からしか物を言わなかった父だけど、年齢もあって弱ったのと、母がいなくなって弱ったのと、何もできないところを手伝ってもらってるという意識もあり、上からではなく同じ目線か、もしくは下手に出ている時もある。

頭の回転も遅くなっているのもあり、すぐに返事ができないから、言い合いにならないというのもあるんだろうけど、言い争いの絶えなかった私らの間では、こんなに穏やかな時間がながれることなんて、想像もつかなかった。

家事や用事が一通り終わると、混んだ電車に乗りたくないからあまり遅くならないうちに帰るのだけど、帰る前に「お茶でも淹れて飲んでく?」と誘われる。

時間がギリギリの時や昼ごはんの時に結構話し込んだ時は、今日はもう遅いからと帰ってくるんだけど、昨日はまだ3時台だった。私は頂き物のお菓子を持ってきていたので、お茶とお菓子にしようかなと思ってお湯を沸かしていた。

父は冷蔵庫からプリンを出してきた。

さっき買い物してきたものを冷蔵庫に入れている時に、プリン買ってるんだなとは気が付いていたけど。

「安かったから2つ買っておいたんだ。食べよう。これね文子(母)が美味しいよと買ってくれていたプリンで、この間、見つけたんだ」

そのプリンはスーパーによく売っているものだったけど、きっと父は見つけた!という気分だったんだろう。娘と食べようと思って2つ。

日本茶にプリン。おかしな組み合わせのおやつをいただきながら、私の夫の親戚のこととか、連絡のない仲の悪い兄についてとか。つらつらとゆっくりと穏やかに話した。お互いに健康には気をつけようね、がいつもの話のシメだ。

よくスーパーでみるあのプリン、昨日のはいつもより美味しかった。

ごちそうさまでした!

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