地底の雁行

朝靄の渡り鳥
狂信者は
群れをなして

規則的な幸せは
僅かな孤独をも際立たせ
誰かを殺すかもしれない

ホームの白線に立つ
オカルトマニアのあの子
身を潜めて

誰しもが
誰にも語れない物語を引き連れて
日々を渡るだけ

それだけで精一杯で

いつの間にトライアングルから弾かれて
現し世から静かに零れ落ちていくんだ

偽りの神に成りすまし
損得で勘定する0と1のユートピア


宵闇の傍観者
盲信的に
本能のままに

蔓延した孤独は
本当に孤独な人間を救う
唯一の術なんだって

夕刻 小窓から漏れる鼻歌
誰かの
密やかで
あたたかな忘れもの

誰しもが
誰にも語られない物語を引き連れて
日々を巡り

それすら忘れてしまって

気が付けば容易くそそのかされて
水先案内人は本棚で眠り続けている

踵で水溜りを鳴らせば
全てが柔らかな贈り物だったユートピア

互いをよく知らない
僕らは
カーテンのない窓から
月のスポットライト浴びて
その輪郭を
確かめ合うんだ

確かにいま
そのトライアングルの片鱗に触れたんだ

微かに

でも確かに

能動的な快楽は
日々の無機質さを際立たせ
僕を殺すかもしれないね



まるで 絵空事
すべての孤独は淡い灯火となって
車窓を掠めるだけ




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