物理学者の聖域
朝帰りの虚栄都市
落とした目玉を
カラスがついばむ
親しみを込めて
架空の恋人に名前を付けるよ
極彩色のグミが好きで
炭酸が飲めない 猫っ毛
奇数のピアスに解けない波動関数がゆらゆらと
要らないものが捨てられない
僕は 捨てられない
つまるところは背中のないヒッチハイカー
責任とか、債務とか
そんなネクタイで首を括る予定はなくて
指を絡ませて
見知らぬ町の薄明(はくめい)を仰ぐんだ
バイバイ
君は言う
「もったいないね」と微笑む
バイバイ
ピアスが揺れる
「まだ嘘だってついてないのに」と笑って
風が頬を撫でる
火照った三日月を奪っていく
未来を想像する
乾いた眼窩で
君と僕の波動関数が収束する未来を想像する
始発の車窓に逃げ水を映して眠りに溶けてく
【備考.1】
波動関数に関する面白い記事を読んだので、その勢いだけで書いた作品です。
「同じ物体を観測しても、すでにある観測をした人と、その観測をしてない人が見ると2人の見た波動関数は同じ物体でも違うんですよ」
興味深い内容でしたので、もう少し詳しく知りたいという方はコチラの記事の全文を読んでみてください。
【備考.2】
三日月は『朏』とも書きまして、「初めて姿が見え出した月」が語源なのですが、ここでは、「初めて芽生えだした感情」という意味で使わせてもらいました。
流石に意味不明過ぎる気がして、無粋は承知の上で遂に備考というか補足というか蛇足というか、言い訳を付け足してしまいました (⁎×﹏×⁎)՞
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