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社会保険適用対象拡大をコストと取るか。

最近、テレビCMでも広告し始めましたが、
アルバイトやパートタイマーなど短時間で働く方々が
社会保険の適用対象となります。

これらは企業の人数規模により
2016年10月から順次適用対象となってきているもので、
今回(2024年10月1日)より対象となる企業規模が
『51人以上』となるものです。

2021年版中小企業白書によると
日本の企業のうち小規模企業が85%を占め、
一企業あたりの従業員数が20人未満の企業は77%なので
ほとんどの会社さんは関係がないと思うかもしれません。

ただ、(今のところ予定はないですが)
今後50人以下の企業にも広がっていく可能性がないとは言い切れません。

人事計画は中長期にわたって行うものです。
そして小規模企業は
・少数精鋭で経営していること
・パートやアルバイトの方を活用していること
・人材を募集しても集まりにくいこと
(既存の社員が高齢化している可能性も高い)
・大規模企業よりコストをかけられない企業も多くあること
から、今から準備をしておいたほうが良い場合もあります。

平均賃金は年々上がっていき、
扶養控除内で働く方の働き方も変わってくるでしょう。
必要な時間数働く人員を集められない場合も出てきますし、
フルタイム正社員の道を模索するパート社員もいるでしょう。

社員の働き方や企業の在り方をこれをきっかけに
考えていきましょう。


対象企業の規模

まずは今回(2024年10月1日から)の
社会保険適用対象の要件を見ていきましょう。

1.対象企業規模
社員数51人以上の企業
※この社員数は厚生年金保険の被保険者数になります。
現在厚生年金保険に加入していないパート等は人数に含まれません。

さて、自分の会社がこの対象企業だとわかったら、
次にやることはなんでしょうか。

適用対象となる社員

社会保険適用対象となる社員を洗い出します。
対象となる社員の要件は以下の通りです。

①週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
※フルタイムで働く社員の週の所定労働時間が40時間の場合

②所定内賃金が月額88,000円以上
※あくまで基本給と役職手当などの手当で、手当のうち通勤手当や残業代などは含まれません。

③2ヶ月を超える雇用の見込みがある。

④学生ではない。

参照:社会保険適用拡大特設サイト

対象企業が行うこと

1.適用対象者の特定と適用判断

上記要件に該当するアルバイト・パートタイマー社員を特定します。

まずは会社がシミュレートするために個別に労働時間や賃金を確認し、リスト化します。書面上の労働条件のみならず、実際の労働状況を正確に把握することも大切です。
これにより、企業側が適用拡大による影響を明確に把握できます。

2.社内説明会の実施

同時に対象者全体に向けて、社会保険適用拡大の背景やメリットを説明し、納得感を高めるための社内説明会を開催します。

対象となる人数が少なければ各社員に個別に説明し、そのうえで今後の働き方などの相談を受け、会社と社員双方の労働条件をすり合わせましょう。

だいたいの方向性が決まったら、

就業規則の見直し
雇用契約書の巻き直し
給与計算や手続きの整備
コスト増加に対する対策

などが必要となってきます。

伊藤事務所が提供できること

伊藤社会保険労務士事務所ではご相談を受け付けております。

● 社会保険の適用拡大に関する基本情報の提供
社会保険の適用について必要な部分を抜き取ってわかりやすく説明します。
御社のどの社員に社会保険が適用されるかを正確に理解できるよう、適用条件や基準を明確にします。

●コストシミュレーションの提供
パート社員に対する社会保険の適用により、企業側の負担がどれほど増加するか、社会保険料の負担額や、社員に対する給付のメリットを具体的な数字で示しつつ、今後の人事採用計画などとともにシミュレーションいたします。

●就業規則の見直し支援
社会保険適用の拡大に伴い、就業規則や労働契約書の内容を見直す必要が生じる場合があります。特に、パート社員規程など個別の規程の作成が必要となる場合や、短時間労働者に関する部分の修正や追加について提案し、法的に問題がないか確認した上で、最新の労働法規に対応した就業規則を整備します。

●労働時間や雇用形態の見直し提案
会社が社会保険料負担を軽減するために、社員の労働時間や雇用形態を見直すことができるかどうかについて、将来を見据えた提案を行います。

例えば、雇用契約を変更して社会保険適用基準に該当しない範囲で働かせることが可能か、あるいはフルタイムに近い働き方に変更し、人員配置をし直したり、働きやすい職場環境の整備、社員のモチベーション向上を図る方法など、多様な働き方を考慮した上で会社のニーズに合わせたアドバイスを提供します。

併せて既存社員の要望や、現状把握などを行い、適切な雇用契約書作成などの支援もいたします。

また、労働条件見直しに伴い、人員の確保(採用)が必要となる場合もありますので、その場合の労働条件(働き方)の変更や求人・採用面接のやり方などのアドバイスや提案をいたします。

●社内教育と社員説明会のサポート
パート社員に対して、社会保険適用の拡大によるメリットや変化について理解を促すために、説明会の開催や勉強会などを開催支援いたします。
必要に応じて、説明資料の作成や社員向けの教育サポートを行います。

そのほか、”人”に関することならなんでもご相談ください。

最後に

「法律で決まっているからやらなければいけない」
という後ろ向きな考えではなく、
法令遵守はしなければならないことなので、そのうえでどうすれば会社や社員にとってのメリットが最大限に引き出されるか、他の制度と合わせることで生まれる相乗効果などを考え、会社を成長させるために利用することは元より、魅力ある職場づくり、求職者から選ばれる会社にしていきましょう。

法改正は会社の制度や職場環境、働き方を見直すきっかけに。

≪Profile≫伊藤社会保険労務士事務所
東京都社会保険労務士会 所属
特定社会保険労務士 伊藤 綾子
2005年4月 渋谷区にて事務所開設
2011年11月 豊島区に事務所移転
★組織改革支援★組織・人材活性化支援★
伊藤からの質問「どういう組織をつくりたいですか?」

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