イトシマメグル #7
古代とつながる高校
今日は楽しみにしていた、櫻井神社で出会った先生の学校にある博物館に行く日。
あれから調べてみると、先生の教えてくれた博物館は、日本の高校で唯一「博物館相当施設」に指定されている博物館だとわかった。その博物館があるのは糸島高校だ。
展示品はほとんどが、糸島半島で出土したものらしい。90年の歴史の中で、歴史部の部員と卒業生たちが集めてきたものだ。彼らはこれらを「宝物」と呼んでいる。
博物館には、歴史的に貴重な大型の素焼きの土器でできた棺(ひつぎ)である甕棺(かめかん)や弥生時代の土器などが、所狭しと並んでいた。展示品をとおして昔の人の息遣いが感じられるような気がする。糸島に来る前の歴史に全く縁がなかったころの僕なら、展示品をみても何も感じなかったんだろうな。
伊都国歴史博物館で初めて展示品を見たときから比べると自分でもこんなに歴史に魅かれるとは思ってもみなかった。
展示室の奥で、10センチほどの土の人形が待っていた。一つひとつ表情が違って見える。大昔の人からのメッセージを受け取るようにじっくりと観察してみた。
これらの土偶は約1500年もの長い間、糸島半島の海沿いの御床松原(みとこまつばら)遺跡に埋まっていたそうだ。気の遠くなるような長い年月…
時空を超えた出会い。
地中から土偶が出てきた瞬間、発掘した人はどんな気持ちだっただろう。日の光をあびた土偶たちは、どんな気分だっただろう。まさに歴史の研究は宝探し。研究者たちは、何が出てくるかワクワクしながら発掘するんだろうな。
宝物、昔は僕にもあったな。ポケットの中のどんぐりとか、折り紙の手裏剣とかキャラクターのシールとか。
自分が住むまちの歴史を研究している高校生たちは、このまちの大切なものを引き継いで、歴史に新しいページを書き足している。けれども過去にあったことだけが歴史じゃない。いまこの糸島で暮らす日々もいつか歴史になっていく。そんなことを高校生たちとの出会いから学ばせてもらった一日になった。
僕もこれから糸島でめぐり合う宝物を大切にして暮らしていこう。
#8 へメグル
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DJ 栗田善太郎
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