イトシマメグル #3
赤でつながるおいしい糸島
糸島にきて、古墳や神社に出かけている。
そうしていたら、なんだか古いものもいいなと思うようになってきた。今まで感じたことなかったけど。
昔々、大陸から稲作が伝わったのが糸島で、そのお米は赤米(あかまい)だったらしい。年に一度の赤米の花見会が開かれていると聞いたので、行ってみることにした。
福吉駅から山に向かって車を走らせると、谷に沿って水田が続く。
しばらくすると、まむしの湯を越えたあたりの田んぼに、たくさんの人が出ていた。
みんな、田んぼを見ている。
稲穂のヒゲが赤い。
その赤いヒゲに包まれるように小さな花が咲き、実に育とうとしている。
初めて見た。美しい。キレイな赤に吸い込まれそうなほどだ。
こんなお花見会もあるんだ。
近くのやぐらに登って見下ろすと、赤い稲穂で田んぼにメッセージが書いてあった。
「よぅふんばりました!」
コロナでもがんばった農家さんの気持ちが伝わってくる。
名前のとおり、できるお米も赤い。
お赤飯のような色で、モチモチ。
赤はカテキンの色で、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富だそうだ。
糸島には古くから米作りをしていたことを示す遺跡が、あちこちにあるとも聞いた。
その一つは、稲作が始まったころの集落跡「曲り田(まがりた)遺跡」。
日本で一番古い弥生土器や、大陸から伝わった石器がたくさん見つかったそうだ。
もう一つ「上鑵子(じょうかんす)遺跡」では、谷底にある湿地帯から、普通なら腐ってしまう木製の農具や、容器、柱などが、昔の姿のままたくさん発掘されたらしい。
弥生時代の土器が、赤いお米で満たされていたのを想像してみる。
それまで野山を駆け回っていた人たちが定住し、助け合って水を引き、田を耕して米を作る。そして少しずつ暮らしを良くしていく。
その出発点が糸島だった。これってすごい。
その頃のスピリットが今も脈々と受け継がれているから、糸島の米、野菜はおいしいんじゃないかな。
夕方。
ちょうど山の端にかかろうとする太陽が、稲穂をキラキラと光らせている。
この地で稲作が始まって全国に広がっていった弥生時代。
きっとその頃の田んぼも、こんな風に輝いていたんだろう。
#4にメグル
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#4 玄界の恵み、昔も今もありがタイ!
#近日公開予定
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