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日本は「アウトプット」よりも「正解」が大事な教育構造
今回はアウトプットについてちょっと長いですが語ります。
そもそもアウトプットとはなんでしょうか?
私はアウトプットとは人に何かを伝えることだと思っています。そしてアウトプットすることに磨きをかけるとは、その時の状況に応じて、何を伝えたほうがいいのか判断できる能力を育てるということだと思っています。
ですが日本の教育ではそもそもアウトプットする事をあまり重視されません。というよりやってきませんでした。
何かを伝えたり表現することよりも、「正解」であることが重視されていたからです。
そのためほとんどの人はアウトプットの際に、どんな情報を盛り込み、自分はどの情報を盛り込んで話しているか、と言ったことを自覚することができていません。
そのため人に何かを伝える時、実は伝えられているようで伝えられていないことがあります。
例えばコンサートに行った人がいて、その人がコンサートに行かなかった人にその話をするとします。
楽しかった、コンサートはこんな感じだった等々。
でもアウトプットがうまくできていない人の中は、そのコンサートの話をする際、ただただ感情を述べ、その後も自分の感想を話し続けます。
楽しかった!私はこう思ったんだ!すごいんだよ!と感情や感想はその人からたくさん溢れてきます。
でもコンサートに行っていない人はそもそもなんの話をしているのか理解できません。
感情や感想のみで、その場の状況の話をされていないからです。
そのため聞き手側は「それなんの話?」と聞いて、「ああ、コンサートに行ったの」という会話を補完するセリフを挟んでコミュニケーションをとる必要があります。これは女性に多いパターンです。
この際問題なのは、自分が何を話しているのか把握できていないことです
先ほどの例の場合は自分が【感情】や【感想】のみ相手に述べていて、【客観的な事実】を伝えられていません。
そして一番まずいのは伝えれていないことではなく、そもそも客観的事実を伝えられていないことを知らなことです。
ですがこれは逆もあります。
これは男性に多いのですが、男性の場合は、
「コンサートに行ったよ」
という客観的事実しか伝えない人がいます。自分の感情や感想を述べるということをしないコミュニケーションの取り方をしてしまうのです。
もちろんこれはそれぞれ男女の持ち味です。でもこう何度もこのようなコミュニケーションの取り方をされてしまうと、聞き手は疲れてしまいます。
最初の例の場合は「一体なんの話をしているんだ?」そして後者の場合は「もっと感想とかないの?」。
そしてそのような親に育てられた子供は、どちらかに偏ったコミュニケーションをとります。
またアウトプットの中には、言葉や絵、歌などで自分を表現する、ということもあります。ですがこの分野になるとほとんどの日本人がお手上げ状態です。
絵を描いてください、この歌を一緒に歌いましょう、と言われると
「いきなり書けって言われたって何を描いたらいいの?」
「歌うなんて恥ずかしい」
と戸惑う人がほとんどです。
なぜならそんなものに正解なんてないし、教えられてこなかったからです。実際私も物語をつくるワークショップを開催したことがありますが、いつもの(頭で正解を導く)状態では、「思い浮かばない」と言って物語をつくるのをやめてしまいます。
つらつら批判のように書きましたが、批判したいわけではありません。あなたに才能がないとか能力がないとかそういうことを言いたいわけでもありません。
そもそもそれが教育の場において重視されてこなかったから、教えられなかった・やってこなかったので適切なアウトプットができないだけなのです。
ですが逆に言えばアウトプットというのは磨くことができます。例えば普段の会話であれば、自分の中で客観的事実・感情・感想を言えているかチェックする、ちょっとでもいいので歌を歌ってみる、絵を描いてみる、ただ気軽な気持ちでやってみればいいだけなのです。
私は以前ベルカントという歌唱法でイタリア歌曲を5年間も習いましたが、この時表現するとはとても楽しいものだなと思いました。
そして自分で表現することの大切さを学びました。
最近はクレヨンで絵を描いていますが、最初はよく勝手がわからず色を塗っているだけでした。でも楽しいなぁ、これでいいんだなぁと思えたら、少しずつ形あるものが描けるようになり、楽しくなってきました。私自身もアウトプットが苦手で、いつも適切にコミュニケーションがとれているわけでもありません。
ですが、これからの時代は積極的にアウトプットし、意識してアウトプットの質を磨くことで、自分で「個」を勝ち取っていく必要があります。
日本の「個」は日本に元からあるものではなく、戦後に与えられた「守ってもらうことで成立している個」です。
でももう自立する必要があります。
だから今の大人は、それを踏まえて自分自身で育む必要があります。でもそんなに悲観する必要もなく、そんなに難しいものでもありません。今まで馬鹿らしいと思っていた絵や音楽に触れたり、自分の話の構造に意識を向けてみればいいだけなのです。