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短歌人 月例作品 2023年4月号

一月のキンモクセイに張りついて風にふるえる蟬のぬけがら

世の中の不幸をひとつ防ぐためスプレー缶のガスを抜き切る

おびただしい数のリベット根もとから東京タワーを見上げてみれば

四十年かけて音色は染み込んで市民ホールの壁の飴色

黙禱をささげるときに人はみな花瓶のユリのように傾く

「短歌人」2023年4月号 月例作品 伊藤まり

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