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2020年7月の記事一覧

きみは雨音のなかに

三日月から雫がこぼれ 雨へと変わる 音が音を追いかけていく調べが この部屋のなかを響き渡って 壁にもたれるわたしの背後をくすぶる 頬杖を伸ばし 過去をそっと折りたたんで 淡い胸の奥へ仕舞う 雨は生命のように 飽和した空気のなかから飛びでて 世界を震わす、鼓動のように それはまるで雨音のなかに君が居るようで この部屋とこの身体(なか)を通過しながら いっしょに溶けてゆくのだ

宙の成分

夜の帳に頬杖ついて 
手繰り寄せる過ぎし日
 鼻先をかすめる風の匂い 
遠くに響く虫の音 掛け合って 
時間の扉 ひらいてゆく 夕暮れ 
地図を飲み込んだ身体
 ここに在るのに、ここに居ないあたまを携え 
幻影の中こころは玉虫色に瞬きだす 歩きながら君を想い 
わたしを思い出してゆくの
 身体のなかを釣糸のように上下しながら
呼吸を用いて わたしがわたしであることの覚えを 地球に比べたら花粉よりちいさな私たちの体 なのにこの内側で わたしはわたしを掴みきれないでいる ふと