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「訪問美容」が導く未来の美容師像と、リアルな現実

操作イトウです。今回は、「訪問美容」について。

訪問美容」と言われても、ピンとこない方は多いはずです。日本では利用した人も少なく、存在もほとんど知られていません。

この度「訪問美容」のサービスをローンチされた、Beautect(ビューテクト)を取材させていただきました。訪問美容のメリット、デメリットや、日本で行われている訪問美容のリアルについてを、お伝えします。

日本の「訪問美容」は介護がベース

日本での「訪問美容」は、主に介護に付随したものとして行われてきました。美容室に来ることが困難な方を対象に、美容師が「お宅」や「施設」に出向いて施術を行います。

車にシャンプー台を搭載した「移動美容車」もあります。訪問美容に欠かせない設備として用いられています。

検索して出てきました。かなり大型の移動美容車↓

コチラはトラックに搭載した大型ですが、小型のバンぐらいのものも見たことがあります。

「訪問美容」を必要とする老人ホーム、ケアハウス、介護施設、病院などには、お抱えの“訪問美容師”がいることが多いそうです。介護を中心としたの現場では、美容室とは対応の仕方が異なるため、知識や経験のある“いつもの美容師さん”の方が上手に対応できます。

ですが、そのように提携する美容師さんは少なく、常設しているわけでもないので、その美容師さんが“来てくれる”日時でしか髪を切ってもらえないようです。

美容室にかける時間はムダだらけ

アメリカでは昨今、セレブ向けの「訪問美容」がビジネスとして定着しています。それは「介護」だけでない、訪問美容の利用価値があるからです。

「美容室に行く」はスケジュールの時間を食う

そもそも「美容室に行く」という行為は、なかなか大変なものです。
美容室の場所や施術によって、行って帰って3〜4時間もスケジュールを想定しないといけません。
また、都合のいい時間の予約が取れなかったり、カットとカラーが終わるまで、手持ち無沙汰だったり。

  • 「パパに子供を預けなきゃだから、予約は土日じゃないと」

  • 「学校帰りのこの時間で、ギリギリ間に合うかどうか…」

  • 「仕事はこの辺で切り上げよう。〇〇駅まで電車で30分かかるから」

  • 「スーパーで買い物しなくちゃ。子供のお迎えの時間が…」

「美容室に行く」は、その日のスケジュールを“それ中心に”組まなくてはならないので、帰る頃には日が暮れている、なんて事もあるはずです。そのため「美容室に行く」スケジュールは、家事も仕事も並行できず、予想以上に“時間を食う”のです。

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美容室が“来る”という利便性

Beautectさんは「介護系」の現場だけでなく、「一般家庭」に訪問できるようにすることを目的にしています。それは「美容室に“行く”」より、「美容室が“来る”」ことに利便性があるからです。

そのためメニューもシンプルです。「カラーは美容師さんが塗るので、シャンプーは自分でやってくださいね」といった、カジュアルな形もできるようにしています。

  • コロナ禍で外出を控えている方

  • 子育て中のママ

  • 身重の妊婦さん

  • 身体的不自由を抱える方

  • 在宅勤務の男性

様々な理由で「外に出る都合の悪さ」や「美容室に行く億劫さ」を感じている方は多いはずです。
この「美容室が“来る”」サービスが拡大して、より手軽にできるようになれば、「セルフカラー」と「美容室カラー」の中間をリーチできる可能性があります。

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Uber eatsのように、美容師が働ける

隙間時間を利用した美容師業」は、働く側の美容師にとっても、新たな選択肢になり得ます。
資格を持っていても、様々な理由で美容師を辞めた「元美容師」はたくさん居ます。彼らにとっては『昔取った杵柄』を利用でき、新しい副業の手段にすることもできます。

成り手が増えて浸透すれば、「美容室版Uber eats」のように、気軽にオファーされ、気軽に働ける可能性を秘めています。

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「訪問美容」のいくつかの課題

一方で、美容室で働く美容師にとって「訪問美容」は、なかなか踏み込むことができないフェーズで、成り手が少ないのが現状です。
理由は、介護に付随した「訪問美容」を「ボランティア」として捉えていることにあります。

仕事柄、利他精神が強い方が多いのが美容師です。それ故に「お金をもらうなんておこがましい」と考えていしまいがちです。
「ボランティア」の関係性は、その達成感と満足度に依存しています。
利他的で素晴らしい思想ですが、実際にはそれ自体が腰が重くなる原因になり、美容師側の負担になってしまいます。

また、美容室で働く美容師は日常を「拘束時間」に縛られるため、時間の余裕がなく、物理的に副業をしにくい一面もあります。

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「ボランティア」ではなく「ビジネス」になってWin-Win

また「ボランティア」はお客様側から見ても、やってもらっているから「文句が言えない」ものです。“善意でやってもらった”それに、クオリティを求めることは中々できません。

そのため美容師側は、「ビジネス」として受ける必要性があります。仕事として取り組む方が、肩の荷が下り、心身共に身軽に動けます。そしてお客様側も、「ありがとう」の感謝の気持ちだけでなく、「対価」を払うことで依頼しやすく、注文をしやすくなります。

需要と供給が真っ当に取引されることは、お互いにとってWin-Winです。それによって、訪問美容師の成り手も増えるはずです。

大手美容室との提携でWin-Win

今のところ、このサービスを受けるには予約から数日のタイムラグがあります。そのため、まだまだ便利に使えるとは言えません。これが、“前日に予約を受けて、翌日できる”ほどのサイクルができるようになれば、理想的だと思います。

このタイムラグの理由も、美容師の安定供給が難しいことにあります。時間に追われる現役美容師から成り手を増やすことは、容易ではありません。

そのため、例えば「チェーン展開をする美容室」と提携できれば道が開けるかもしれません。在籍する美容師を一部派遣してもらえれば、企業側にとっても「慈善活動に積極的」な企業として、アピールができます。

ビジネス界はここ数年、「パーパス(企業が在ることによる社会的価値や理念)」が重要視されています。介護に紐づいた事業は企業イメージの一環として取り入れやすく、Win-Winになりやすいといえます。

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カジュアルな「訪問美容」はポジティブを生む

このコロナ禍で、「美容室に行く」優先順位が下がった方は多いです。「伸びっぱなしだけど、在宅で人に合わないし」「外に出るの、怖いし」と、美容をおざなりにしてしまう人は、男女問わず増えたように感じます。

ですが、美容やファッションの需要は「キレイになった喜び」にあります。自分が「カッコよくなる」「キレイになる」「可愛くなる」ことは、気持ちがポジティブになる、普遍的なメンタルケアです。

Beautectのサービスは、「ファッションがもたらすメンタルケア」や「ストレスマネジメントへの知見」からアプローチしています。カジュアルに「美容師を利用する」ことができれば、より「気持ちをリフレッシュする」ツールとして、認識も高まります。

そして、これが「お店を構える」だけではない美容室の在り方になれば、美容界には面白い未来が期待できるかもしれませんね。


ではまた。



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