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人を育て、成果を最大にするマネジメント

前回、マネージャー研修を開催したことを書きました。

前回の記事では研修の目的や内容等、研修の全体像について紹介しましたが、今回は私が講義をした内容をまとめようと思います。

▼前回の記事はこちら

私が今回担当したテーマは「マネージャーに求められること」です。

マネジメント概論としての講義で、以下の2冊の書籍を教科書として、マネージャーに求められる資質、アウトプット、組織づくり、人事考課など、マネジメントをする上で基本となる考え方を総体的に解説する内容でした。

講義時間は80分もあるし、実はこのテーマは前回のマネージャー研修では社長が担当した内容だったので、本当は、本当に本当に本当に!!気が重かったのでした。
(研修を受けるみんなも気が重かったと思うけど、講義する側も結構大変なのです)


教科書とした2冊は、どちらも何年か前に読んだことはあったのですが、今回講義をするにあたり改めて読み直してみたら、初見に比べてぐっと解像度が上がったように感じました。 自分の経験値が上がったのもあるとは思いますが、アウトプットを前提に読んでいるので理解せねばという危機感も相まったと思います。

アウトプット大事。

結果、スライドもちゃんとつくったので、ポイントごとに紹介してみます。


アジェンダ

2冊の教科書から、大事にすべき(してほしい)ポイントをピックアップして構成した内容です。

人前で話す機会は、立場上、それなりにありますが、80分という長時間は初めてでした。
80分で話せることのボリューム感がつかめず、盛々の内容になってしまい、結局すべては話しきれなかったのが大大大大反省でした。

この記事でもすべてはご紹介できないので、いくつかピックアップしてご紹介します。

マネージャーとは

このパートは主にドラッカーの「マネジメント」から引用しました。

前提条件の認識合わせをするために入れたパートだったのですが、最後、みんなの感想を聞くと、結構このパートが印象に残っていたようでした。

特に印象に残っていたのが、マネージャーに求められる資質です。

才能や能力がどんなに高くても必ずしも良いマネージャーになれるわけではありません。 真摯さが大事であるということを伝えました。

余談ですが、ほかの本部長陣も言葉は違えど、同様のことを言っていました。 事前にそこまで詳細な打合せをしたわけではなかったのですが、同じように話すということは、やはり私たちが大事にしていること、共通認識として、真摯さ、誠実さがあるのだなと感じました。

マネージャーの役割はこの2つです。

マネージャーとは、必ずしも部下をもっている人ではないですよという話。

今回、参加者の中には、エンジニア等、直属の部下をもたないメンバーもいたので、あえてこの話を入れました。組織に影響を与える人こそがマネージャーです。

マネージャーのアウトプットとは

今回の講義を通してもっとも伝えかったパートです。

仕事はチームでするものなので、マネージャーのアウトプットは個人のそれではなく、当然ながら組織のアウトプットになります。

マネージャー自身の仕事は、組織のアウトプットを最大化させるためにあるべきだし、マネージャーが評価されるのも個人の成果ではなく、組織のアウトプットになります。

まずは、この意識を持つことがマネージャーとして仕事する上での大前提になります。

マネージャーが身につけるべき5つの考え方

マネジメントをしていく上で基本的かつ日々意識すべき5つの考え方として以下を解説しました。

  • テコ作用(レバレッジ)

  • インディケーター

  • 権限委譲

  • 決断

  • プランニング

この中から、テコ作用、権限委譲、決断についてご紹介します。

テコ作用(レバレッジ)

前段でマネージャーの役割は、組織のアウトプットを最大化することであると述べました。

もちろん活動量を増やせば、アウトプットはそれなりに増えますが、マネージャーが使える時間は有限です。
限れられた時間の中でアウトプットを最大化するためには、小さな力でより効果を大きくするテコ作用が必要です。

よりレバレッジの効くと思われる仕事を自分が使える時間の中で選び取っていくことが、マネージャーには求められます。

忘れてはいけないのは、テコ作用はネガティブにも働くということです。


私にも経験がありますが、マネージャーの仕事ぶりや態度は組織に良くも悪くもダイレクトに影響します。
それは自分が思っている以上なので、マネジメント側は、常に自律心が求められます。

権限委譲

組織のアウトプットを最大化するためには、権限委譲も大切です。

権限委譲は、長期的、かつ他人のアウトプットに影響を及ぼすため、マネージャーにとってレバレッジの大きい仕事といえます。

マネージャーとしての権限委譲は、自分がよく知らない仕事ではなく、自分が精通した仕事を委任するべきです。
これは、最終的なアウトプットにはマネージャーが責任を持つべきだからです。

講義の中で、自分が精通した仕事をおろすと、自分のコピーにしかならないのではないか?という意見が出ましたが、私の経験上、そうはなり得ません。

なぜなら、権限委譲とは「自分の代理人をつくる」ことではないからです。
自分がこれまでやってきた業務のやり方を事細かに指示をして、同じやり方でやらせることが権限委譲なのではなく、決断まで含めて任せることが権限委譲だからです。

例えば、新任マネージャーは上長から権限委譲をされていますが、同じ権限をもっていた前任のマネージャーのコピーになることはないと考えてもらうとわかりやすいかもしれません。

決断

マネジメント側になり、さらにそのレイヤーが上がれば上がるほど、日々多くの意思決定が求められます。

今回、「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」を読んでいて、すごく大事な考え方だなと改めて納得したのが以下です。

意思決定に全員の「同意」は必要ない。「支持する」という約束が正直に表明されていることが重要である。

「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」アンドリュー・S・グローブ著/小林薫訳

現実ではとっても難しいことなんですが、意思決定時に私たちが確認すべきことはその決定に対する「支持」なんですよね。

議論をすることは重要なプロセスですが、議論の結果、コンセンサスが生み出されない場合もあります。

その場合は、マネージャーが意思決定をすべきなのですが、その際に意識をしたいのが「選ぶ」ことではなく、「捨てる」ということ。意思決定時のマインドとして伝えました。

組織づくり

講義では時間が足りなくて飛ばしたパートなんですが、個人的には一番話したかった内容。

新任マネージャーには少しハイレイヤーな話かもしれないのですが、マネジメント側になるということは、組織をつくる側になるということです。

私がマネジメントの立場になってから上司(主に社長)に言われ続けたことは、組織づくりには絵図を描けということでした。

マネージャーがどんな組織を目指すのかという絵図を描けなければ、メンバーはイメージができないので、どこに向かえばいいのかがわかりません。逆に、明確な絵図を描ければ、メンバー自らがその体制を目指して自走できる組織になります。

ドラッカーは、組織の条件として、以下の7つを挙げていました。

組織は一度つくったからと言ってそれが完成形ではありません。
環境やステージによって組織の課題や役割は変化します。その変化に合わせて絵図を描き直すということが大切です。

以下のスライドは、私がマーケティング本部という部門を立ち上げてから、今後どういう組織を目指すべきかを考えていることを事例としてまとめたものです。

②→③への進化が必要な時期にきているのが今

講義を終えて

私がマネジメントをする立場になってから、8年が経ちました。

正直なところ、自分がマネジメントに向いているとはそんなに思っていないのですが、私がマネジメントをすることで組織にどう影響できるか、なるべく良い影響にしたいという思いで試行錯誤をしてきたつもりです。
それでも6:4くらいで失敗の方が多かったようにも思います。(ごめん)

今回、いわゆるマネジメントの古典と言われる書籍を2冊熟読し、新任マネージャーに伝えるべきことを選定して再構成するという作業をする中で、自分ができていること/できていないことが明確になったし、これからの自分がやるべきことも見えてきたように思います。

久しぶりに私自身も真剣に学び、初心に戻ったというか、これからステージが変わっていくレイヤードのために何をしていくべきかを考える良い機会となりました。

時間配分ができず、用意したスライドは7割弱くらいしか話せなかったことだけが心残りです。

もう1回やりたい!
誰か120分くらい時間ください。この内容でよければいつでもお話します。


参考書籍


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