見出し画像

イケメン作家

 書店の書棚で、磯崎憲一郎さんの「終の住処」を見るたびにを思い出すエピソードがある。
 この作家が芥川賞を受賞した年、会社のとあるアルバイト女子(30代)が「この作者、すごいイケメンだよね~。読もうかなあ~」といっていたのだった。
 電車の吊り広告で、文藝春秋の記事を見かけたらしい。
 「イケメン」という語感だけが、やけに鮮明に耳に残っている。私のなかでは、作家をイケメンか、そうじゃないかで読む基準が、まったくなかったからである。
 その後、彼女はバイトを辞めてしまったので、わからないのだが、この作品をちゃんと読んだのだろうか?
 
 ちなみに、私は読んだ。ストーリーを読むのではなく、文体の妙味をあじわう小説だった。

 その後も、磯崎憲一郎さんは、「電車道」等素晴らしい小説を書いている。

いいなと思ったら応援しよう!

緒 真坂 itoguchi masaka
サポートをいただけた場合、書籍出版(と生活)の糧とさせていただきますので、よろしくお願いいたしますm(__)m なお、ゲストのかたもスキを押すことができます!