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「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑲を更新しました。

 小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑲を更新しました。
 よろしければ続きは、小説サイトでご覧ください。

 翌日、私はレアルテの事務所にいってみた。
 千代田区の神田神保町だった。この地区は、東京でも有数の古本屋街として知られているが、中古レコード店、アダルトDVDの店舗も多くあつまっている。
 白山通りと靖国通りの交差点の近くだが、通りには面しておらず、入り組んだ細い路地を入ったところにあった。それほど大きくない、薄汚れた雑居ビルの三階だった。
 私はレアルテの事務所をようやっと捜しあてると、ドアをあけた。
 私には、解錠できないカギなどないのだ。
 誰もいなかった。事務員もいないようだった。
 狭い事務所だ。発売したDVDが事務所のなかはもちろん、廊下や階段まではみだすように梱包されて置いてあり、足の踏み場もなかった。
 ホワイトボードには、製作中のDVDのスケジュールや進行中の企画の予定が書いてあった。それを見たかぎり、どうやら多忙のようだった。
 私はイルマがいっていたDVDの撮影日時とスタジオを確認してみた。
 たしかに撮影予定になっている。監督の名前は、珍棒二郎。チンボウとは、どういう名前なのだ。タイトルは「イッてらっしゃい、ご主人様」。ばかげたタイトルだ。ちなみにこの珍棒二郎は、イッてらっしゃい、というシリーズを二本、監督している。どのタイトルも出演女優は、素人だった。
 人間がやってくる気配を感じたので、私は事務所を出た。
 軽い笑いとともに、頭が禿げ、背が高い痩せた男と、めがねをかけ、白髪で、奇形と呼べるくらい小柄な男があらわれた。


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緒 真坂 itoguchi masaka
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