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「スズキ」の履歴書②
すずきちさんである。
2014年10月を最後に、すずきちさんのTwitterの更新がなくなっている。
ときどき気になり、遠くの空を眺めているような気持になる。
元気だろうか、と。
すずきちさんも、出たばかりの「スズキ」を見つけ、読んで褒めてくれた読者の一人である。
きっかけは、苗字が同じことだったらしい。すずきちさん自身がそう書いている。つまり苗字がスズキだったのだ。
思いがけなかった。タイトルと自分の苗字が同じで、気になって、読んでくれるとは。作者の私には、そういう意図はなかったのだが。
すずきちさんは、私の2冊目「アナログガール」が出たとき、「アナログガール」の読書会をしようとネットで呼びかけてくれた。すぎきちさんとネットの呼びかけに応じたもう一人、私と私の知り合いで集まった。場所は、新宿のブックカフェ「ブルックリンパーラー」。
4人でいちばん集まりやすい駅が、新宿だったのである。私が店を予約した。すずきちさんは、読書会を呼びかけたが、読書会をしたことがなかったのである。店がよくわからなかった。
呼ばれたひとが店を取るという、なんだかよくわからない読書会だったが、ほぼ二時間、和気あいあいとした、楽しい時間を過ごした。いい思い出である。
そのとき、すずきちさんは、創作のアイデアがあり、文章にしたい、と語っていたが、どうなっただろうか。
ブルックリンパーラーを出ると、雷鳴が轟き、大雨が降っていた。マンホールのフタが吹き飛んで、水が噴き出していた。すさまじい豪雨だった。雨水が地面に叩かれて、白く踊っていた。傘がまったく役に立たなかった。滝のような雨のなかをくぐるようにして、私たちは走った。
その後、しばらくして、すずきちさんのTwitterは、更新がなくなった。
プロフィールに充電中、と記されて4年がたつ。
いま過去のTwitterを読み返すと、
『アナログガール』と一緒に、有楽町へ。
などと書かれていて、有楽町までの電車の中で、「アナログガール」を読んでいたのだろう、と思う。
どうしているだろうか。
*
短編集「スズキ」の感想をまとめた、「スズキの履歴書 ②」です。
今回は、すずきちさんとのやりとりをまとめました。すずきちさん、ありがとうございました。
すずきち@suzukichi15さん
「(「スズキ」を)明日にでも探しに行こうかと思います。自分の苗字と同じタイトルなんでね(笑)、気になっています。」
>「ありがとうございます。そうです。「スズキ」。新書版で、212ページの本です。面白い小説だと自負しています。よろしくお願いします!」 (緒真坂)
「そしてこの『スズキ』帰宅まで待ちきれず一気に読了。聞きなれた諸々の名前に懐かしさを覚えつつ、不思議な世界に惹き込まれた。実に面白い。・・・きっと何度も読み返す事になる本。」
「買ってきました。帰りの中央線でしっかりと『スズキ』を読みました。面白かったです。今晩は他の短編を読みます。感動をありがとうございます。」
>ありがとうございます! 「スズキ」は心をこめて書いた小説です。「感動をありがとうございます」と言っていただいて、本当に感謝です! ほかの短編の感想も、ぜひ、教えていただけるとうれしいです!(緒真坂)
「緒真坂『スズキ』を、鈴木は読んだよ。本を読んでいるスズキも、べつのスズキです。村上春樹っぽい作品で面白かったね。」
「ありがとうございます。ボクと音楽の趣味が似ているのか、同じ世代なのか、わかりませんが、とても楽しみにしています。ちなみに、1970年生まれです。渋谷系とかは、どストライクです(笑)。あと著作に、ゴジラとか、モスラとか・・・タイトルだけでワクワクしてます。」
>世代はもうちょっと上なのですが、渋谷系は好きでした。フリッパーズ・ギター、フィッシュマンズ、ピチカート。カジくんとか。当時、レコードを買いに渋谷にいっていました。本当に。ゴジラは、ゴジラとニックネームがついた女の子の話です(『よろこびのなかにもかなしみが準備されている』所収「ゴジラの味方」)。(緒真坂)
「おはようございます。短編集「スズキ」は面白い。昨晩、他の短篇も楽しく読みました。他の小説も図書館で「早稲田文学」「江古田文学」を探して読んでみようと思います。ところで「私家版」って、もう入手できないのでしょうか?」
>返信が遅くなりました。申しわけありません。「スズキ」を楽しく読んでいただき、ありがとうございました。「早稲田文学」「江古田文学」のバックナンバーで、注意してほしいのは、名義(名前)がちがうということです。緒真坂というのは、ペンネームなので。(緒真坂)
>こんばんは。私家版「私は、DJ、じゃない」については、在庫があるのですが、入手のルートができていません。あとでDMを出しますので、そこでやりとりをしたいと思います。よろしくお願いします(* 作者註 現在は、めがね書林で購入可)。(緒真坂)
>「私は、DJ、じゃない」、きょう、発送しました。10年以上も前の作品なので、ちょっと心配ですが、ぜひ感想をお聞かせください。(緒真坂)
「僕も中野ブロードウェイのタコシェで購入しました。そして同じく待ち切れず、帰りの中央線で一気に読了しました。何度でも読めますよね、この本は。」
>ありがとうございます。そう言っていただけると、書いてよかった、としみじみと思います! 本当に作者妙利に尽きます!(緒真坂)
>日常が、ある日、突然、非日常(たとえば殺人)につながる。それは私には充分にリアルです。虫の知らせのような、あるいは「気」と呼ばれるような、説明がつかない、非科学的なことも、経験的に何度か、あるような気がしますよね。(緒真坂)
>慣れ親しんだ日常が、突然、非日常につながることは、こわいことですが、「スズキ」には、そこに切なくて、「約束」というちょっとノスタルジックなムードをブレンドしてみました。うまくいっているかどうかはわかりませんが。(緒真坂)
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