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牛丼を食べれば元気が出るぞ!(あるいは、出ないかも)という小説
○月○日
私の新刊「アラフォー女子の厄災」である。よりよい作品を書きたい。そう願いながら、ぎりぎりまで推敲している。
朱を入れて、PDFにしてメールで送った。
「いまから? というか、いまさら? 刷版に間に合いません。やるなら、こうしてください。その文章のなかで、2文字足したら、2文字減らす。差し引きゼロ。それ以外は、できません。校正に責任が持てません」
そのような返事がきた。
追いつめられている。
なお、前記の「アラフォー女子の厄災」は、アマゾンで予約受付中。
中身は、牛丼を食べれば元気が出るぞ!(あるいは、出ないかも)という小説です。短編集です。ぜひ!!
○月○日
2月いっぱいで、池袋西口にある古書店、八勝堂が閉店した。西池袋老舗の古書店として、57年の永きに渡って営業していた店だった。とても残念である。
値段は、正直いって、神保町古書店街とほぼ同じ。つまり相場。安いわけではない。
ただ、閉店にともなう、半額セールをやっている。日参し、本を捜した。興味深い本が山ほどあるのだ。いままで高価で、手が出なかった。その本が、半額なら、手が届く。届かないことはない。
とはいうものの、そういう類の本が満載。一回の支払額が、2万円のときもあった。この本が手に入る。そう思うと、わくわくする。楽しく(私にとっては)贅沢な時間だった。
店員さんとも親しくなった。
2月28日の閉店間際(夜6時55分)
「お世話になりました」私。
「こちらこそ、本をたくさん買っていただきました。齋藤夜居さん、買い占められましたね」中尾彬似の店員さん。
「これからどうすんですか?」私。
「思案中です」中尾彬似の店員さん。
私と妻くんは、八勝堂を出た。閉店時間の7時を過ぎても、店のなかはにぎわっている。数分間、私と妻くんはぼんやりとそのにぎわいを見ていた。ごったがえしている店内を眺めながら、すぐには店を閉められないだろうな、と私は思った。
その後、西池袋のスープカレー屋、SHANTiに入った。食べ終わり、八勝堂の前を再び通ると、ドアは閉められていた。中年ふうの男がぽつんと立って、八勝堂の正面の店名を眺めていた。
八勝堂は閉店したが、私の読書は、これからである。永い永い時間、つづくだろう。
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