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「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑱を更新しました。

 小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑱を更新しました。
 よろしければ続きは、小説サイトでご覧ください。

 帰り際、レジでお金をはらうと、出口までイルマがついてきた。腕時計を見た。午後七時四十分だった。
 イルマが手をふりながら、私の耳もとにそっとつぶやいた。
「私とエッチをしたいですか、ご主人さま」
「結構」
「遠慮しなくてもいいです」
「遠慮じゃない」
「本当に?」
「本当にだ」
 イルマはまたぷぅとほおをふくらませた。このぷぅも定番なのかもしれない。
「ああ、傷ついた。女の子を傷つけて、平然としているなんて、デリカシーがないぞ」
イルマがいった。
「何かごめん」
「夜霧さんは私側の人間だと思ったのだけれどな。私はバイだけれど」
「バイ?」
「男でも女でもいける。女の子のほうが好きだけれど」
「たくさん楽しめて、贅沢だ」
「へ」
「私はさ、したことがないのだ」
「何を?」
 きょとんとしている。
「セックスだ」
「本当に? 自慢できることじゃないけれど、その年で。というか、見てくれからは、何歳なのか、想像ができないけれど」
 イルマは疑わしそうにいった。「ということは、え? え? 童貞?」
 その言葉は私にはふさわしくないと思ったが、
「まあそのとおりだ」
 イルマは、あきれたような顔になった。
「空気が読めないというより、国語力がないの? でも、できないわけじゃないのでしょう?」
「できない」
 イルマは、えーっと声を出した。「不感症なの?」
「わからない。やったことがないから」
 イルマはいたずらっぽい目つきになっていった。「なんだかよくわからないけれど、まあいいことにする。面白いから」


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緒 真坂 itoguchi masaka
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