嫁さん好き好き同盟
嫁さん好き好き同盟といえば、noteでは、ウマハゲさんだが、そういうことを公言する大人は、珍しい。日本人には、昔から自分の妻を他人にへりくだっていう愚妻という言葉があって、他人には謙遜するのが、美徳のように思われているからである。嫁さんを好き好きと思っていても、それを公言する人は、あまりいない、ような気がしている。
先日の休日、妻くんとランチで焼き肉屋に行った。どうでもいい情報だが、その店には、休日限定のランチがあるのである。いつも混んでいるので、開店前に行って、待っていた。
私たちの前に、70過ぎの婦人が一人で待っていた。スマホをいじっていた。夫に先立たれ、子供はすでに独立しているので、一人で食べにきているような感じだった。待っている人々は、ほぼ家族連れである。
開店時間になり、行列が動いた。
その婦人とは、たまたまテーブルが隣になった。
数十分後、70過ぎの男性がやってきて、隣のテーブルの婦人の前に座った。あれと思った。
ランチが運ばれてきた。婦人と男性の前に、二つ置かれた。婦人が先に来て、オーダーしていたのである。
男性は一言も発しない。無言で食べている。食べ終わると、店員を呼び、財布を出して、お金を払った。
婦人はまだ食事が終わらず、食べている。
「先に行くから」
男性はそれだけをいうと、立ち上がって、出て行った。
ああ、これが日本のお父さんなんだろうなあ、と私は思った。
「サザエさん」の波平は、舟に感謝しているだろうが、それをあまり口にすることはない。
かつての職場の60過ぎの女性も、夫とは、家では一言もしゃべらない、といっていた。
インスタグラムで検索すると、#奥さん大好き、の写真は、たくさん出てくる。嫁グラフィーという言葉もできて、自分の嫁を堂々と紹介(自慢?)する流れもできている。のぞいてみると、やはり新婚の夫婦、若い夫婦が多い。
若い人の辞書には、愚妻などという言葉はないだろう。これからは変わっていくのだろうな、と私は思う。
まあ、奥さん大好きを公言したからといって、離婚率が下がるわけではないのだろうけれど。それはそれで、また別の話なのだろうけれど。
まあ、でも奥さん好きを公言することは、悪いことではない。きっと。
サポートをいただけた場合、書籍出版(と生活)の糧とさせていただきますので、よろしくお願いいたしますm(__)m なお、ゲストのかたもスキを押すことができます!