ケンカ相手の話。
私には唯一、真っ向からケンカする相手がいる。
まもなく出会って14年になる、実家のわんころだ。
他の家族には愛想を振り撒いているが、あまりお世話しなかったせいか私にはかなりの塩対応。
何ならお互いに吠え合ったり噛み合ったり(え？)と、よくケンカしている。いつも最後はわんころが呆れて試合放棄、フィールドには吠える人間だけが残る(そもそもふっかけているのもほぼ人間)。
そんな2人の距離が唯一近づくのが冬。
私がこたつに入っていると、膝の上に乗ってくる。大きめの塊と小さめの塊が、互いの温もりで暖をとる。
他の住人が戻ってくるまでの、期間限定の温もり。短時間だけど、特別な冬の風物詩。
あと何回ケンカしてくれるかな。
あとどれくらい一緒にぬくぬくできるかな。
いつまでも仲良くケンカしようね。
(そろそろふっかけるのやめようね、人間)