大学生が、島でみかんを収穫した話
少し肌寒いのは、冬の訪れか、それとも海風のせいか。ここは松山の海岸沿い。広島や九州と結ぶ松山観光港の少し外れにある、高浜港。古びた木造駅舎が目印の伊予鉄高浜駅の正面にある小さな港に、私はいた。私は港から海を、そしてその先にある島を眺めていた。興居島。私が朝早くにここにいる理由。それこそがこの島であり、私はここに向かおうとしていた。
一言で言えば、バイトである。私は先輩のツテからLINEで簡単に応募できる農業バイトを紹介してもらい、それならいっちょ、と言った感覚で使ってみたので