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秋に古城

晩夏
鈴虫に告げる
淫らな昏倒と
ささやかな無常
無音のこえを
鳴らしたのは
昨日
長雨と
櫻葉
珈琲と讃美歌
もとの木阿弥に
免罪符は浸り
見えない
灯り
街並み
燃え滓に
沈む
野薔薇
ままならぬ
ままならぬ囀り
もずは
満願に
映え
吼えた跡は
さかしらに
盗まれ
遠く
呑んだくれた
長雨に
揺られ
もずは
また
監獄へ
赴く
白樺の
焦げ
みちのく
文字に
盗まれた
痕の
夕べ
涼みが
帷をおろす
遠路に
木賊の
望月に
慰むる古城

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