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遠景に

寒空に触れ靡くあなた
漣は未だ見えず
名残が焼尽し
持て余した
何千の色を
抱え
歩く
耳元に

凪いだ
閃光に
寄るまだらな
絵描き
灼熱は熟れ
猫の鳴き声は
桃の花のように
手持ち無沙汰を
嘆く
いちどきの夕暮れ
最初に
覗いたのは
幹のさんこう
喉のぬめり
匙を投げる
くずおれる泥濘
灰燼へのぼる
母の夕立
またの名を
眠り
未だ行方知らず
消えゆく漣
昔の
物語に
幸あれ

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