夜火
彼らはキャンプの火を囲み、輪になり、踊り回っている。日は暮れ方、青黒い空を背に煙が一筋立つのが見える。彼らはそれを漠と見つめながら踊り続けていた。
それから火が消える。その顔は暗闇から振り向いた。白い平かな顔が、こちらを見ていた。あるいは、昔からある物語に繰り返し出てくるような、はぐれているのにも気づかず、日の沈むまで遊んでいた、その子どもの顔。彼はこの世のものではなかった。彼は火の消えたのにも気づかず、黒い石をいじっている。その顔は火の名残か宙に纏わりつくと同時、山奥の古池に、一匹の蛙が水面に浮かんだ。