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壱宍 (若槻きいろ)
2018年11月30日 22:20
誰かがいいよ、って肯定してくれたなら、こんなに嬉しいことはなかったね。知らぬ他人に己を預ける。でも私はそれさえ欲しくてたまらない。支流の分け目の様に通り過ぎてく。みんな私がわからない。画面越しの有象無象。現実より温かみがあるのは、何故。些細な言葉に動き疲れて、一歩さえ足を伸ばせない。みんな知っているのだ、上手な息の吸い方を。私はわからないのだ、環の加わり方が。
2018年11月29日 23:01
お互い知らないフリをして、思い出を貪るのは、もうやめにしませんか。貴方も私も、ずっとこのまま。死ぬこともなく、生きることもなく。偶々惹かれあってしまっただけなんだよ。事故なんだよ。些細な情で、人生を棒に振るのはやめましょう。こんなの、プラスチックで出来た指輪みたいなもんなのよ。だから、安っぽい関係に、さよならしましょうか。 #詩 #ss集 #雑文
2018年11月20日 02:16
目の前にいたって、何にもないように振舞って跡など最初っからないんだと笑うのだ君はどこかに行きたがるその瞳に映るは白色で、いつだって僕を通り過ぎる僕は君のどこにもいなくて、ひとりたちずさんでばかりだねぇ、おしえて。明日と明後日、そのまた次も昔のことでもいいね、君のことが知れるなら落ちるとこまで落ちていこう世界なんて知らないよ僕に君をわけさせて #詩 #ss #雑文
2018年11月20日 19:50
型でくり抜かれた僕らは生産者の意向で旅立ちましたプログラムに従って右へ左へしかし僕らは不良品です調整ミスや血管部品の数々ガタがきてすぐさま無能扱い壊れて消耗品でそれでも数合わせまるで死ぬために生まれたみたいだ何の為にここにいて何の為に足掻くのですかいっそ廃品回収に出しませんか器もなければ未練もない産み落とされたことを、今更ながらに恨んでいます #詩 #雑文
2018年11月24日 09:34
心を砕く。その欠片は星となって僕らに降り注ぐ。きらきらとひかって、一瞬のときを照らしている。とうぜん、心は死んでゆく。きみは空っぽになる。あかく、あかく、燃え尽きる。少しずつ、体温を失っていく。かすっきれになるまで。塵さえ残さない僕らは。願うことしかできない僕らは。 #詩 #雑文 #ss
2018年11月28日 00:45
陽だまりがそこにあった。影の奥底、そこは隔たれた白の中庭。自由があった。夢があった。キャンバスに描かれた不器用なことば。「あんなに好きだったのになぁ」果てた景色に今、だれもいない。壊れたラジオが音を鳴らす。使いかけの絵の具が芝を汚す。それでもそこは、眩しいままで。枯れた喉が潤っていく。再生されるは懐かしさばかり。頰を伝うはほんの少しの淋しさと。きえゆく世界へ