こんなときだからこそ「刺繍」にできることはありますか。
こんにちは。
京都で刺繍の仕事をしているものです。
この数ヶ月、世界中の人が経験しているのと同じように
わたしも仕事の予定がなくなり
こどもたちの幼稚園からは登園自粛のお知らせが届き
必要最低限の買い物以外は家の中で過ごしています。
この非常時において、
もう1ヶ月以上、家の中で一日を過ごしている
こどもたちや、大人たちに
何か「刺繍」にできることはないかと考え、
「背守り」の作り方動画をつくりました。
「背守り」という文化
日本には「背守り」という
民間に伝わる刺繍があります。
簡単に言うと
「赤ちゃんの服に魔除のお守りを繍う」文化。
乳幼児の死亡率が今よりはるかに高かった
江戸時代ごろにはじまったと伝えられています。
背景を説明しますと、昔の日本には
「背中から魔が入り込む」
「魂は背中から抜けやすい」
という考え方、というか言い伝えがありました。
「大丈夫!
大人の着物には背中に縫い目があり、
その縫い「目」が魔が入り込まないように
守ってくれている。」
「あ、でも赤ちゃんの産着”一つ身”には
背中に縫い目がないじゃない!!」
「だから魔が入り込んで、
幼くして亡くなってしまうんだ・・・」
「じゃあ、赤ちゃんの産着の背中にも
縫い目をいれて魔除けにしよう!!!!」
ざっくり言うとこんな考えから、
「背守り」という文化が生まれました。
(諸説あったらすみません)
その後、
ただ縫い目を入れるだけでなく、
可愛らしい模様に「健やかなの成長」や
「幸せを願う」意味を込めるなど
様々なバリエーションも生まれました。
いま背守りを繍う理由
繰り返しになりますが、背守りは魔除のお守りです。
まったく非科学的ではありますが、
目に見えないウイルスという
「魔」が入り込まないように
子どもたちや、周りのたいせつな人のために
繍ってみるのはいかがでしょうか。
そしてこれは
ぶっちゃけ、いい暇つぶしにもなります。
ほかの刺繍に比べて「背守り」は
ものすごく単純でかんたん。
短い時間で完成するので
小学校低学年のお子さんでも
一緒に楽しめると思います。
テントにもお菓子作りにも飽きたころに
ネタの一つとして挑戦してもらえたら嬉しいです。
わたしが考える刺繍の効能
ものづくりは
「完成品」が上手に出来たかどうかに
目が行きがちですが、
背守り刺繍は「つくる過程」が
心に効くような気がしています。
・短い時間でできるので息抜きにちょうどいい
・針をあげたり下げたり動かす作業自体に没入感がある
・自分の手によってモノができていくという
小さな成功体験で、
セルフエフィカシー(自己効力感)が高まる
などなど。
もちろん好き好きがあるので
一概には言えませんが
誰かの「息抜き」「逃避時間」になれば幸いです。
最後にひとこと
刺繍は「ポジティブな祈り」です。
世界中に様々な刺繍がありますが
「子どもが健康に成長しますように」
「結婚する娘が幸せになりますように」
「長生きしますように」
「豊作になりますように」
「無事に生きて帰ってきますように」
など、
多くは幸せを願う意味がこめられています。
世界中の人が
先の見えない不安と戦いながら
周りのひとの無事を祈っている
いまだからこそ、
刺繍で「祈り」を形にしてみませんか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さまの大切な日常がまた戻ってくることを心よりお祈りしております。
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