一時保護所で子どもの声を「聴く」とは?
こんばんは。ジジです。
さてシリーズ「子どもの声を聴くとは」の第3弾です。
(第1弾)
(第2弾)
今回の記事の問いは、
一時保護所の職員が子どもの声を聴くというとき、
その「聴く」とは何か
ということです。
1.結論
一時保護所において、「聴く」というのは、耳から子ども達の音が入ってくるだけではありません。
全身で子どもの「声」を感じ、意味づけをするということです。
2.行動観察という仕事
一時保護所の職員には子どもの今後の道を左右する大きな仕事があります。
それが「行動観察」という仕事です。
一時保護された子ども達にとって今後どのようにすれば日々を過ごしやすくなるのか、
その子達が家庭に戻るのがいいのか、また施設・里親さん等で暮らすのがいいのかについて
一時保護所の職員が意見を書くために、
その子の特徴・特性などを観察・記録し続けていくことです。
3.例えば
こんなときに私たちはよく観察をしているようです。
(以下、和田一郎編、2016『児童相談所一時保護所の子どもと支援-子どもへのケアから行政評価まで』明石書店のp83の表2-7「行動診断の項目(学齢児用」を参考。)
・入所初期の様子
・起床
・就寝
・食事
・生活管理
・健康管理
・自由時間
・集団行動への参加
・行事への参加
・学習
・作業
・指示に対する反応
・ルールの守り方
・褒められたときの様子
・叱られたときの様子
・面会時・面会後の様子
・無断外出
・要求
・感情表現
・対人関係
・習癖
4.意味づけ(前回のエピソードより)
これは私見になりますが、行動観察は以上の項目の事実を記録するだけでは不十分なように感じています。
そうした事実から子ども達の「声」を掬いとることが、一時保護所の職員の仕事だと考えているためです。
前回、ダンスに熱中している子どもについて書きました。
その背景には、施設へ措置される不安がありました。
その時私がすべきことだったことは、子ども達がおかれている状況を考慮して、今目の前の子どもの様子と照らし合わせることだったでしょう。
例えば、「今日施設に措置されることを子どもに伝えました」等の情報共有をケースワーカーと行い、特異な行動やまたそうした行動が見られないことから、その子がどんな気持ちを抱いているのか意味づけをして、子どもにそれを確認する必要があったでしょう。
こうした、
①行動観察
②意味づけ
③子どもに確認
以上3つを繰り返していくことが、私たち一時保護所の職員には求められていると思っています。
5.最後に
簡単にまとめますと、
一時保護所で子どもの「声」を「聴く」というのは、
単に物理的に音として発せられる子ども達の声が、職員の耳に届くというだけではなく、
そして一般によく言われている「共感と受容」という意味での「聴く」だけでなく、
行動観察として子どもたちの様子を丁寧に「観察」し、
そこで子どもがどんな気持ちになっているのかを「意味づけ」をしたうえで、
それを子どもたちにフィードバックすること、
という感じになるかなと思います。
というわけで、これまで「声」と「聴く」ことについて考えてきました。
次回は、改めて子どもの声を聴く際の「一時保護所」について再考したいと思います。
今結論を言えば、適切・快適な一時保護所である必要があるということです。
また来週
毎週金曜日更新です
ジジ
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