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いてら堂 エッセイの棚

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湖嶋いてらの日常と思い出から成るエッセイが並んでいます。
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記事一覧

一本

 先週の #お花の定期便 を休んで、じっくり考えていた。胸の中に、一本の柱が立ったのが、見…

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娘を手放した日

「子供がほしい」 「何人ほしい」 「男の子がいい」 「女の子がいい」 昔からどれにも頷くこ…

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唯一の合コン #呑みながら書きました

初めての呑み書きの時、心臓バクバクで若干気持ち悪くなりながら()飲んでたせいもあるけど)…

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二丁目の夜に滑り込んだ #お花の定期便

今、小説を一本書いている。空き時間は全てそこに注ぎ込んでいるので、エッセイやその他の小説…

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大きく #お花の定期便

高校、大学と、女子サッカーをやっていた。遠い昔のことだ。今ではもう全然走れないし、勘も鈍…

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お守り

夏にデパートで買ったランドセルが、先日届いた。「1月になったら届くんだよね?」とずっと心…

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残ってしまう

書く時間を捻出することに精一杯で、なかなか読めない。というのはよく聞く話で、私もこの土壺にはまっている。 椅子に座り、両手で本を開き、そのままの姿勢で居続けるということが、まず難しいのだ。 息を切らしながら町中を駆けずり回っているか、家の床という床に散乱する数々のがらくたを拾い集めているか、やっと席についたかと思えばそこは職場のデスクで、“全員に返信”ボタンを即座にクリックし、株式会社…ご担当者様…と流れるようにキーボードを打ち始めるかだ。早足でたどり着くのは社食のテーブルで

だいじょうぶ #呑みながら書きました

あぁ疲れた。つかれたよ私ぁ。と何度も息を吐きながらマッコリを呑んでたらけーたっこうけっこ…

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祖父の沼 #お花の定期便

水が飲みたくて、グラスを取りに行こうとしてふと、水切りカゴの中で重なっているお椀に目が停…

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兄の瞳を通して見た神戸 (#あなたの神戸をおしえて)

「卒業したら働く。神戸に行くから。」 ガタガタンとダイニングチェアを無理矢理押し切って立…

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音 #お花の定期便

人生、変わるものと変わらないものとがある。 子供の頃から一貫してぶれない価値観、逆に時を…

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太陽のような #トルティージャ100

何故ひとは書くのだろう。 残したいからか、伝えたいからか、向き合いたいからか。 私の場合…

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背骨にしまって

太宰治という人を、初めて読んだ。 人生37年目にして初めて。この歳になってやっと初めて思っ…

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悔いという

娘の墓へ行ってきた。 彼女が眠る場所は、家から130kmほど。日頃、勤務先と保育所をくるくるまわっているだけの人間が、時速80キロで高速の上を数時間に渡り滑り続けるだなんて、こうして文面で見るだけで手の平から汗が滲むが、あの子の為だから仕方がない。 ようやく高速を降りると、今度は山の頂きを縫うようにジグザグに登っていく。たどり着くその場所は、天と地のちょうど合間のようで、音は遠く太陽は近い。裾野に広がる町並みをただ眺めている猿の後ろ姿がぽつぽつとあった。