
自分に厳しく、他人に優しく
今日の言葉
菜根譚より引用
前段52) 心に留めよ、留めるな
自分が人のために骨を折ってやっても、その報酬などをいつまでも心に留めてはならないが、自分が人に過をして迷惑をかけた場合には、再びしないように心に留めて忘れないようにしなければならない。これに反して、もし人が自分に対して恩恵を施してくれたならば、常に感謝して忘れないようにしなければならないが、自分が人に対して怨恨があっても、きれいさっぱりと忘れ去って、決して執念深く心に留めないようにしなければならない。
自分に厳しく、他人に優しく
自分が人のために何かをしても感謝を求めず、人から何かしてもらったときは心から感謝をする。
自分が失敗して人に迷惑をかけたときは素直に反省し、人が失敗して自分に迷惑がかかっても、その人を許す心を持つ。
この教えは、損得を超えて、自分には厳しく、他人には優しく生きることの大切さを説いている。
しかし現代では、自分に甘く他人に厳しい人が増えている。
自分の欲望のままに生き、望みが叶わないときは他人や社会のせいにしてしまう。
その結果、ネットには誹謗中傷が溢れ、あおり運転や強盗などの犯罪も多発している。
カスタマーハラスメントが社会問題化しているのは、その典型的な例。
菜根譚が「自分には厳しく、他人には優しく」と説くのは、自分に厳しくあってこそ他人に優しくなれる、という真理を伝えたいから。
多くの人が他人に優しくなれば、社会全体がより温かく安定したものになるはず。
では、「自分に厳しく」あるためにはどうすればよいのか。
それは単純なことで、日々自分の言動を振り返ること。
自分の失敗や誤りを素直に認め、日々修正していく。
その積み重ねによって、自然と心は広がり、出来事や他者を受け入れやすくなっていく。
「自分に厳しく、他人に優しく」というシンプルな法則に立ち返らなければ、社会はますます悪い方向へ進んでいくと思う。
菜根譚前段「心に留めよ、留めるな」を読んで、そう感じました。
オススメの本
※ブログで紹介した久須本文雄著の『菜根譚』は絶版のため、岩波文庫の菜根譚のリンクとなります。