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英語を英語のまま理解? - 外国語能力をトコロテン突き(フィルター)で説明する -
トコロテン突きの話はこちらに
日本語に訳すのではなく、英語を英語のまま理解しなさい。
よく言われます。けどそんな簡単な話ではないです。
ところが実際には、日本語に訳す方が、英語を英語のまま理解するより難しいです。
どういうことでしょうか。
日本語に訳すのではなく、英語を英語のまま理解しなさい。
というときに、「やってはいけない」と言われているのは「訳読」です。
極端に言えば、単語単位で日本語の訳語を付けて、それを漢文のようにレ点を付けて読むような、いわゆる「返り読み」です。
これは日本語に訳すというのとは異なります。
日本語に訳すためには、まず英語を英語のまま理解し、頭の中にモヤモヤしたイメージを構築した後に、それを今度は日本語のフィルターを使ってアウトプットするのです。
返り読みのイメージは、こんな感じです。
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これに対して、日本語に訳すのイメージはこんな感じです。
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英語を英語のまま理解する能力を重視するあまり(日英間での翻訳能力を軽視するあまり)、英検1級など、日本語を知らなくても英語だけで点数が取れる試験になってしまいました。(実際には注意事項が日本語のみで記載されていたので、日本語ができないと失敗するかも 最後に受けた2017年時点)
英語は「読む‣聞く・書く・話す」の四技能と言われますが、ここに「訳す」という能力を加えて五技能とする考えもあるようです。
海外の通訳者養成大学院の入学条件が「バイリンガルであること」だということからも分かります。複数言語で、その言語のままインプット・アウトプットできるようになって初めて、訳すことができるようになるわけです。
というようなことをずっと考えていたわけですが、日英の言語ペアで考えると、上に書いたようなことはそうだと思いますが、これが言語的に近いペアになると、フィルターを通して自分の中まで引っ張り込まずに、フィルター間でのマッピング・置き換え処理で済ませてしまう事も、特に会話においては多いと思います。
フランス語をイタリア語に訳そうとして、単語や言い回しに自信がないときに、フランス語の用法を借用するとかフランス語の単語をイタリア語風にいじって使うとか。
この辺りは、共通の言語を二つ以上持つマルチリンガル間の会話で、敢えて混ぜたりする行動と似たようなもののような気がします。
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