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『想像』 -劇団チェルフィッチュ「三月の5日間」をつくる過程の記録
『「三月の5日間」とは?
2003年3月、アメリカ軍がイラク空爆を開始した日を含む5日間の若者達の日常を描く。若者のしゃべり言葉をそのまま書き起こしたような戯曲と、そうした言葉によって引き出される無意識な体の動きを過剰に誇張した身体とのスリリングな関係性が、それまで当たり前とされてきた劇構造を根本から覆し、日本現代演劇の転機として語られるチェルフィッチュの代表作。』
一人の女性が若者言葉で喋っているだけ。でも、そこはステージの上。
六本木の地理的な説明をする。
ライブハウスの場所。
かなりマイナーなカナダのバンドの話をする。
その演奏にとても感動したミノベくん。
知り合った女の子の話した内容を話す。
女の子は、英語のMCを訳す。
来日したカナダ人のボーカルが、渋谷でデモに参加する。そこでユニークだなと思ったことをMCで話していた、と六本木のライブハウスで説明する女の子と知り合ったことを後日友人に話すミノベくん、のことを客観的に語る役者。
セットも小道具もないステージを観ている私たちの頭の中には、六本木ヒルズを眺めつつ麻布方面に行くとライブハウスがあり、そこではカナダのバンドが演奏している。ライブ後のまったりタイムにビールを飲みながら女の子と話すミノベくん。女の子は曲もよかったけどMCも良かったと答える。え、英語わかるんだ。俺にはイラクって単語くらいしか聞き取れなかった。うん、なんかね渋谷のホテルにステイしてるんだって。で、昼間本当は秋葉原に行きたかったんだけど、その日はホテルの近くを散歩していたらデモをやっていて、彼も参加したんだって。そうなんだ。日本のデモは警察に守られてするんだねユニークだねって言ってた。そうなんだ。じゃあ英語圏に留学とかしてたんだ。うん、一応。アメリカ?うん。じゃあなんかこういうの慣れてそう。それでそのコとホテルにいったんだけど・・・。
という内容を、ほぼ一人の役者が話す。彼女はそれらの出来事を想像しながら観客に話す。私たちも聞きながら想像する。
岡田利規は言う、
この演劇には有名な俳優も出てこないし、
光や音楽で盛り上げたりもしない。
想像しかないのだと。
自分に対する自信と観客に対する信頼があれば、過剰なわかりやすさは必要ないのだと。
でも彼も、答えなんて持たずに進んでいる。
構造のこととかはどうでもよい。
この人たちのやっていること、やろうとしていることになにか大きなヒントがありそうな気がする。
なんだろうな、。
でも観ていて、役者が首を動かしただけで、手を動かすのを止めただけでなんか感動したんだよね。微細な動きに見入るって意味ではなくて。
神格化しすぎかな。