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BtoB製造業がやるべきたったひとつのデジタルマーケティング手法

板橋と申します。この記事は、世の中のBtoB製造業者とデジタルマーケティング支援者が共に手を取り合えることを願って、本気で書きました。

主には、中小の工業製品メーカーのデジタルマーケティングをイメージしています。

日本にはこれらの企業が沢山あるものの、デジタルマーケティングにおいてはうんと遅れていると思います。

しかし、この記事の内容を、そのまま実施すれば、ある程度の効果は見込めるだろうと考えて書きました。

実際に私が工業製品のマーケティングを数年間やってみて、得られた知見を存分に公開しています。

もし、少しでもお役に立てたら嬉しいです。

受託加工業のマーケティングに関しては、別記事にまとめました。業態によってはこちらもご参照下さい。(↓)


1章:BtoB製造業でデジタルマーケティングが普及しない理由 


世の中にマーケティング専門会社は沢山あるのに、なぜBtoB製造業にデジタルマーケティングは普及しないのか?

今、あらゆる業界において営業手法やマーケティング手法はデジタル化しています。しかし、BtoB製造業においてはデジタルマーケティングの普及はうんと遅れていると考えてもよさそうです。

たとえば、経済産業省が作成した「ものづくり白書2019」を見ると、日本の製造業では「顧客とのやりとりや、マーケティングの効率化をしている」に該当する企業は全体(4212件)中のたった3.9%のみとなっています。

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2019年版 ものづくり白書(平成30年度 ものづくり基盤技術の振興施策)
令和元年6月経済産業省 厚生労働省 文部科学省「概要」
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190611002/20190611002_01.pdf

そして、マーケティングの効率化に関して「実施予定なし」が44.5%を占めており、その改善意欲すらない様子が伺えます。

BtoB製造業がマーケティングの必要性を感じていない理由は、これまでの製造業の業界構造に由来するところが大きいと考えています。まず、私がそう考える理由を述べていきます。

たとえば、自動車の部品を製造しているメーカーのうち、トヨタのような完成車メーカーに直接納入する企業を「Tier1」と言います。また「Tier1」に納入する企業を「Tier2」、「Tier3」に納入する企業を「Tier3」と言い、それぞれ一次請け、二次請け、三次請け、となっており、既に決まった納入先がありました。品質と納期さえ守れば仕事が無くなることは、これまで基本的にありませんでした。

しかし、これは「安定的な発注」を保証できることによって成り立っている構造です。これまではこの構造が強固でしたが、現在では安定的に発注できる保証は難しくなってきています。

そうなると、これまで必要でなかった新規開拓の必要性が出てくるため、マーケティングの必要性が急に浮上してくるでしょう。今後はBtoB製造業においてもマーケティングの必要性が高まってくると見ています。

日本のBtoB製造業は、未だに優れた技術を持ち合わせているのも事実です。
たとえば、世界の軍事技術、航空宇宙技術という分野に関しては、未だ日本の精密加工技術がなければ成り立たない状況です。また、自動車部品の、空調圧縮機、ターボ装置、自動変速機、電子制御、通信システムなどは、世界各国が日本メーカーの製品を採用しています。他にもABS、エンジン制御システム、エアバッグなどの部品でも絶対的な優位性を誇っています。

そんな優れた技術を持ち合わせている日本のBtoB製造業ですから、マーケティング支援会社が入っていき、グローバルなデジタルマーケティング展開支援を行っていそうなものです。しかし、意外にも支援会社は入っていないのが現状です。

世の中にはマーケティング支援会社は無数に存在しています。彼らはBtoB製造業に対しても、マーケティングの取り組みの提案をしていると思いますが、なぜ入っていけないのか?いくつかの要因があると考えています。それぞれを考えていきます。


デジタルマーケティングの知識を持っている人材が社内にいないので、そもそも提案を理解できない。

まず、製造業に従事している方にとって、マーケティング専門会社の提案するデジタルマーケティング手法が難しくて理解できないという問題があると思います。

たとえば、デジタルマーケティングを行うにあたって、Cookieの理解やタグのマネジメントといった知識はデジタルマーケティングを行う上でほとんどの場合、必要な基本知識です。しかし、BtoB製造業の社内にそういった知識を持っている人材が居ることはほぼ無いと言えるでしょう。

結果、マーケティング専門会社の提案内容は、その提案内容を理解するにも、そういった基礎知識を要するものが多く、いくらマーケティング専門会社から有用な提案が成されていたとしても、何を言っているのかを理解することができずにそのまま流れてしまったというケースは多分に有りそうです。


BtoB製造業とデジタルマーケティングは相性がそもそも良くない?

正直、「BtoB製造業」を対象にした「デジタルマーケティング施策」は、出来る事が相当限られており、基本的な相性としてはあまり良くない分野だと思っています。

たとえば、基本的なデジタルマーケティング手法で「コンテンツマーケティング」という手法があります。これを大まかに言えば、価値ある情報やノウハウを記事や動画などの形式でインターネット上にアップロードすることで、見込み顧客を獲得していこうという類のマーケティング手法です。

一方、これは「自社技術の流出」と隣り合わせの手法であるともいえます。製造業は「自社の技術情報の流出」に対して非常にシビアな文化があります。というのも、製造業の技術は、ひとつ自社技術が確立されれば数十年~数百年というレベルで持つものもあります。そのため、他の業界と同じ感覚でコンテンツマーケティングを語る訳にはいかないという背景があります。

こういった感覚がベースとして存在しているため、「インターネット上に自社情報をアップロードする」ということ自体に、抵抗があることも多いです。

また、BtoB製造業の顧客ターゲットもまた製造業となりますが、製造業は会社によってはYoutubeの閲覧規制が施されていたり、そもそも管理職以外の勤務時間中のインターネットの閲覧やメールの利用すら禁止されていたりもします。つまり顧客ターゲットとなるユーザーがそもそもインターネット上にあまり存在していないというケースすらあるのです。

さらには、BtoBの製造業では製造している製品が、非常にニッチなマーケットを対象にしていることが多いです。そのため、インターネット上で情報を求めているユーザーのボリューム総数が少ないことも多いです。

たとえば、先ほどの「空調圧縮機」というキーワードを、Google Trends(Google社が提供している月の検索数を把握できる無料ツール)に入れてみてください。データ数が足りなくて結果を表示することができない程度であることが分かります。

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Google Trends
https://trends.google.co.jp/


BtoB製造業の人とマーケティング支援会社の人の「人間的な相性」が悪い?

人間として対極の人種が交錯するのが「BtoB製造業×デジタルマーケティング」だと思っています。

まず、文化感覚が真逆だと感じています。先の例でいえば「インターネット上に情報を開示する」というひとつを取ってみても、デジタルマーケティング側の人間からすれば「なぜ有益な情報なのに積極的にアップして皆に見てもらわないのか?」と思うことでしょう。

しかし、BtoB製造業側の人間からすれば「なぜ有益な情報を他社に晒さないといけないのか?」と思うことでしょう。その価値観は、文化背景からして真逆です。

また、「年功序列」の価値観からも非常に相性が悪いでしょう。
デジタルマーケティングを支援する会社の社員の平均年齢は20代~30代と、かなり若いケースが多いと思います。

一方で、BtoB製造業は職人文化であり、年功序列の価値観が強く根付いています。そのため、20代~30代の若いデジタルマーケティング支援会社の営業担当がBtoB製造業の管理職に提案する際に、その年功序列をベースとした職人文化的な価値観の壁を乗り越える必要があるのです。これが意外と双方にとって大きな壁になっているように感じます。


マーケティング部が存在せず、営業担当者がマーケティングを兼務している

BtoB製造業には「マーケティング部」という部門自体が存在しないというケースも珍しくありません。その結果、マーケティングに関する業務は全て営業担当者が兼任で行なっているというケースが多いです。

そのため、たとえマーケティング専門会社から有効な施策提案があったとしても、営業と兼務しての新しいマーケティング施策を実行するのは、「面倒だな」と思われてしまうかもしれません。

その結果、たとえやるべき施策と理解はされているものの、優先度として低く捉えられてしまい、実行にいたらないというケースも多そうです。


複雑怪奇な流通構造が行く手を阻んでいる

BtoB製造業においては、相当な数の「機械部品メーカー」や「工業製品メーカー」が存在しています。しかし、それらの流通構造は、外部の人間には理解し難い構造になっています。

マーケティング支援会社からすると、その業界特性を掴むのは非常に困難であり、この商習慣にマッチした適切なマーケティングプランを提案することが非常に難しいと思います。

さらに、この複雑な流通構造はインターネットや書籍などで調べようにもほとんど情報がなく、製造業の中に実際に入ってみないことには、この業界構造は見え難くなっています。

この流通構造を簡潔に説明します。まず、メーカーの多くは「代理店制度」を採用しており、メーカーと最終ユーザーの間には1~3社の代理店(専門商社)が介在するような構造になっています。

そして、現在の代理店の多くは、古くに「独占販売権」を取得しており、一定の地域を商圏として有しているケースが多く、他社の後からの参入を防いでいます。この仕組みによって、代理店(専門商社)は、競合されることなく継続して安定した売り上げを確保することができる構造になっています。

そして、この中間介在構造によって、メーカーは自分たちの商品が「どこで、どのくらい売れているか?」という数量把握がほぼ不可能になっています。繰り返しにはなりますが、メーカーと最終ユーザーの間には1~3社の代理店(専門商社)が介在しているのです。

たとえマーケティングによって認知が形成されたとしても、全ての購買はこのオフラインの商流を通して購買が成されます。その結果、メーカーからユーザーへ直販する仕組みを築くことはできず、また、マーケティング施策の費用対効果の計算なども極めて困難なものとなります。マーケティング用語でいえば、「売上コンバージョン」の把握は構造上かなり難しく、結局は「問い合わせコンバージョン」でマーケティングを考えていくことになるでしょう。

こういった代理店制度や独占販売権といった前提を理解せずにマーケティング施策を提案しているマーケティング支援会社は結構多く、この点で齟齬が発生して受け入れられないことになっているケースもありそうです。

他にもこういった相性が悪いと感じるケースは多々ありますが、次章以降ではこれらの実情を踏まえた上で、BtoB製造業においてのデジタルマーケティング施策を考えていきます。


2章:BtoB製造業がまず取り組むべきデジタルマーケティング施策は?


BtoB製造業特有の購買プロセスを考える

先にご紹介したように、前提としてBtoB製造業においてデジタルマーケティング施策を実行していくことは極めて難しいものです。社内の人材がデジタルマーケティングに適合できないことや、デジタルマーケティング支援会社側がBtoB製造業の内情を理解しきれないこともあり、双方ともにミスマッチを起こすためです。

では、BtoB製造業においてデジタルマーケティングの実施は諦めるべきかといえば、そんなことはありません。実は簡単に実行できることもいくつか存在します。

ただし、ここで重要なことは、デジタルマーケティングを支援する側の人間が、最低限BtoB製造業の購買プロセスやユーザーの行動原理をしっかり把握する努力が求められていると思います。

実際、マーケティング支援会社やインターネット広告代理店から提案されるデジタルマーケティング施策のほとんどは、これらの理解把握を飛ばして提案されていると感じています。BtoB製造業者は、マーケティング支援会社から提案された施策を咀嚼し、自社に合った形に修正指示できるような知識や経験を持ち合わせていないことが多いです。

その結果、提案されたマーケティングプランをそのまま鵜呑みにして受け入れてしまい、実際はうまくいかなかったというケースが各所で多発していることでしょう。こういったミスマッチを少しでも防ぐべく、このテキストを書いています。

次に、BtoB製造業特有の購買プロセスで登場する3者のプレイヤーについて解説したいと思います。


BtoB製造業における購買プロセスで登場する3者のプレイヤー

製造業におけるBtoBマーケティングの前提を大まかにお伝えします。それは「商品の購買を担当する人」と「購買した商品を使う人」と「購買の決定権者」が全て異なっています。その結果、たとえこの中の一人でも納得をさせることができなければ購買には繋がりません。

ある工業製品の購買を検討している企業を例にしてみます。すると、この場合、実際に工業製品を使うのは現場の技術者です。しかし、BtoB製造業の場合、その技術者の使う工具を購買するのは、調達・購買部という別の部門があるケースが一般的です。そして、その調達・購買部は部門長といった別の意思決定者に最終的な承認を求め、その承認が降りた段階ではじめて商品の購買が成立します。

このように、BtoB製造業の購買行動は、組織的かつ合理的な仕組みとなっています。つまり、「なんとなく気に入った」、「なんとなく使ってみたい」というような個人の感覚で購買されることはほとんど無いと考えて問題ありません。まず、このことを前提として理解した上で施策を検討する必要があるでしょう。


BtoB製造業: 購買プロセスの一例

BtoB製造業の「購買プロセス」の一例をご紹介します。ここでいう「購買プロセス」とは、見込み客が課題に気づいていない段階から、製品を知り、比較検討し、社内稟議を通し、購買に至るまでの各フェーズのことを指しています。

この購買プロセスをどれだけ解像度高く描けるかによって、デジタルマーケティング施策が有効に機能できるかどうかは変わってきます。これに関しては、全ての業界におけるBtoBマーケティングの基本ともいえるかもしれません。

BtoB製造業は、主に機械部品メーカーや工業製品メーカーなどが存在しますが、今回は一例として「工業製品メーカーのデジタルマーケティング」を行うとして、工業製品(工具)の購買を検討する生産技術エンジニアの購買プロセスを段階(無関心→課題意識→情報収集→社内テスト→採用→運用)に分けてご紹介し、それを例に解説できればと思います。


(例)工業製品(工具)の購買を検討する生産技術エンジニアの購買プロセス

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ざっと思いつくものを挙げてみました。実際はこれ以上に段階を踏む場合もありますが、これは工具の購買プロセスだと思います。

こういった購買プロセスは、きっとBtoB製造業内の営業マンであれば熟知しているはずです。このように資料に書き出した状態であることは稀だと思いますが、社外の企業と連携を行う上では非常に重宝しますので、一度書き出してみると良いと思います。

次に、これを基に、各プロセスにおいて具体的にどのようなデジタルマーケティング施策が検討できるかを考えてみます。


「① 無関心→課題意識」フェーズに有効なデジタルマーケティング施策

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無関心状態のユーザーに課題意識を持たせるためには、ユーザーに自社課題を認識させるような情報をこちらから提示していかなければなりません。

正直に言えば、「無関心ユーザーにデジタルマーケティング課題意識を持たせる」というのは、相当コストや手間がかかりますので、マーケティング部隊が自社に居ないのであれば後回しでも良い、という印象でいます。

この無関心状態のユーザーに対するBtoBにおけるデジタルマーケティング施策として、よく施行される施策をそれぞれBtoB製造業において実施する文脈で考えてみたいと思います。


1.コンテンツマーケティング系: 実際かなり難しい

まず、BtoBのデジタルマーケティングにおいては、この段階ではよく自社メディアでの「コンテンツマーケティング」という手法がよく用いられたりします。

これを簡単にいえば、課題意識を醸成させるような記事コンテンツや動画コンテンツをインターネット上にどんどんアップロードすることで、インターネット上でたまたまそれを見たユーザーに自社の課題意識を持ってもらおう、という類のマーケティング手法です。

しかし、BtoB製造業においてコンテンツマーケティングの手法を取ることは難易度の高いことと考えています。

まず、BtoB製造業においてはコンテンツマーケティングの実施は、「自社技術の流出」に繋がると感じられるため、非常に抵抗が持たれるということは既に述べました。

そして、マーケティング部が存在しないことも多いBtoB製造業では、コンテンツを制作するということにおいても、営業部から人員を割かなければならないことになります。実際、そのような余裕のあるBtoB製造業はほとんど無いでしょう。そうとなれば、外部に外注して制作を進める手も考えられますが、BtoB製造業にまつわるコンテンツは非常に専門性が高く、誰でも制作できるというわけではありません。そういった専門性の高いものは潤沢な資金が無いとなかなか継続的に記事などのコンテンツを制作しアップし続けることは難しいと思っています。

自社にマーケティングの専属チームが存在していて、資金的・時間的に記事制作に割ける場合にはやるべき施策ではありますが、実際問題としてマーケティング専属チームが存在していないことがほとんどだと思いますので、その状況下における優先度としては低くなってしまうだろうと考えています。


2. SNS運用: 実際かなり難しい

最近流行りの手段としてBtoBマーケティングにおいても「SNS運用」も考えられます。しかし、これもコンテンツマーケティング同様に「自社技術の流出」に繋がると感じられるためかなり抵抗があるかもしれません。

また、BtoB製造業だとSNS上に存在するターゲットユーザー母数も少ないと思います。たとえば、国内で最も大きな工作機械見本市のアカウントである「JIMTOF」のTwitterアカウントのフォロワー数は600人程度の状況です。

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JIMTOF 公式Twitterアカウント https://twitter.com/JIMTOF_official

もちろん未来を見据えSNSを今から真剣に取り組むことも考えられますが、どの会社にも汎用的におすすめできる方法ではありません。


3. WEB広告: お金さえ払えば一定の効果は見込める

あとは、インターネット上のディスプレイ広告(バナー画像などを表示する広告のこと)を用いることで無関心段階のユーザーに対しても自社や製品の認知を広めることはできます。

ただし、これに関して、まだ課題意識すら持っていないユーザーを広告で動かすというのは結構難しいことであり、この後に紹介するリスティング広告(検索連動型広告)と比較するとその費用対効果は高く感じられるでしょう。ですが、可能性を広げるためにも、BtoB製造業にとって可能性があるインターネット広告出稿先を2つ紹介します。

① 製造業専門サイトへの広告出稿

まず、製造業専門サイトの「イプロスものづくり」へ広告を出稿する方法です。これは、ものづくり分野の製品・サービス・技術情報が詰まったデータベースサイトサイトです。このページのTOPに1か月間、バナー画像を掲載できます。ただし、費用感として60万円程度の予算が必要だったと記憶しているので、中小製造業だと予算的に実施が厳しいのでは?という印象です。

イプロスものづくり
https://www.ipros.jp/

②アドネットワークへの広告出稿

製造業に強いアドネットワークへ広告を出稿する方法です。アドネットワークが何たるかを詳しく説明すると長くて難しくなってしまうため、簡素な説明で済ませますが、大まかにいえば、インターネット上に存在するあらゆる広告枠をまとめたものです。その広告枠にバナー画像などを表示できるような仕組みです。

あらゆる業界でよく利用されているのは、google社が提供しているGDN(Google Display Network)やYahoo!社が提供しているYDN(Yahoo! Display Network)というものがあります。

YDN
https://promotionalads.yahoo.co.jp/service/ydn/
GDN
https://support.google.com/google-ads/answer/2404190?hl=ja

このGDNやYDNには高度な機械学習機能が備わっていて、狙いたいユーザー像でターゲットを絞って、そこに向けて広告配信を行うことができます。しかし、あくまでインターネット上でのユーザー行動データを基にした類推拡張の論理であり、実際はターゲットの属性のよってはうまく機能しなかったりします。この辺の仕組みについては割愛しますので、詳しく知りたい方は検索してみてください。

私も工業製品で試しているのですが、結論、工場のユーザーをターゲットに絞る場合においては、あまり向いていないように感じています。

また、業界に特化した専門のDSPも存在します。現状、そこまで知名度は有りませんが、メイテンス社の提供する「Ex-Lead」というDSPがあります。

Ex-Lead
https://meitens.biz/exlead/

これは製造業のユーザーを対象に広告配信をすることに非常に適している仕組みです。

大まかにできることをいえば、工作機械・ロボット・機械系のエンジニアの中でも「制御設計」を行っているユーザーを対象にバナー広告を配信できたり、精密・医療用機器系のエンジニアの中でも「評価・検査」を行っているユーザーを対象にバナー広告を配信できたりします。必要な予算も月々10万円程度から実施できるため、中小製造業でも挑戦できる価格帯だとは思います。ただし、後述する検索連動型広告(リスティング広告)すらまだ実施していない状況であれば、そちらを優先すべきと考えています。

ちなみに、DSPとは広告配信の頭脳システムのことです。これもアドネットワークと同じく、何たるかを詳しく説明すると、非常に長くて難しい内容になってしまうため、ここでは割愛します。興味のある方はDSP(Demand Side Platform)で調べてみてください。

<まとめ>
① 無関心段階のユーザーにデジタルマーケティングで興味を持たせるのはかなり大変。基本的には後回しを推奨します。どうしてもやりたかったら下記2つの方法がおすすめ。
② 製造業専門サイトの「イプロスものづくり」へ広告を出稿する。
③ メイテンス社の提供する「Ex-Lead」というDSPへ広告を出稿する。


「② 課題意識→情報収集」フェーズに有効なデジタルマーケティング施策

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先の①と異なるところは、対象となる相手が無関心ではなく、既に課題意識を持っているユーザーであるところです。

課題意識を持っているユーザーは、その課題解決のために自ら能動的に情報収集を行いますので、先の無関心ユーザーよりも容易に見込み顧客化をすることが可能です。

うまくアプローチさえできれば簡単に購買に繋がったりしますので、この段階のユーザーはしっかりとデジタルでもマーケティングしていきたいところです。この段階のユーザーに対するデジタルマーケティング施策で、よく施行される施策をそれぞれBtoB製造業において実施する文脈で考えてみたいと思います。


1. ホームページの検索対策(SEO対策):即効性は無いがやった方がいい

課題意識を持ったユーザーが情報収集を行う際、インターネットで検索するユーザーは製造業においても一定数は存在します。「検索」という行動を取っている時点で、無関心ユーザーよりは課題意識があると言えるので、検索行動を行うユーザーはしっかりとマーケティングしていきたい対象です。

ユーザーが検索した際に、検索結果の上位にしっかりと自社のホームページが出てくる方が良いことは言うまでも無いですね。この検索結果に自社のホームページを表示させるためのあらゆる取り組みのことを「SEO対策」といいます。これは、BtoB製造業においても有効な取り組みといえるでしょう。

さて、この「SEO対策」ですが、デジタルマーケティング施策において非常に深く、難しい分野となっています。検索順位がどうやって決まるか?ということを簡単に説明します。Google社のプログラムが世の中に存在するあらゆるWEBサイトを定期巡回しています。巡回してきた際に、そのプログラムは「ユーザーにとって分かりやすく、良い情報を伝えているか?」といった観点で、くまなくサイトをチェックしていきます。

ただ、そのプログラムの内容は外部に明かされていません。そのため、デジタルマーケティング専門家でも「こうすれば必ず検索結果上位になる!」という歯切れの良い提案が難しかったりします。専門家の間でも、あらゆる憶測が飛び交っている分野であることも事実です。

しかし、ひとつ確実に言えることは、ホームページで自社の内容や製品/サービスの内容をユーザーにとって分かりやすく伝えるという努力を惜しまなかったページが上位に表示される傾向があるということです。今のGoogle社の自動巡回プログラムの精度はとても高性能で、その性能はまるで「人間が1つ1つのサイトを目視でチェックしているかのよう」です。

製造業のWEBサイトは、BtoBビジネスであるが故にPCで閲覧する専用に作られていることが多いです。しかし、検索順位の対策という文脈で考えるのであれば、スマートフォンで閲覧できるような構成のサイトにしておいた方が良いです。なぜなら、世界における現在のWEB閲覧状況はスマートフォンの方が多いため、スマートフォンでの閲覧対応が疎かになっているページは、その時点で「ユーザー目線ではない」と評価が下され、検索結果の表示順序に悪い影響が考えられます。

こういった観点も踏まえて現状のサイトを改修できないか?という依頼は、デジタルマーケティングを支援している会社に依頼すれば、大体はある程度対応できると思いますので、やってみても良いと思います。

ただ、デメリットとして、会社サイトの改修は結構大がかりになりがちなのと、サイトを改修した瞬間から即効で効果が上がるというものでは無いため、やや長い目で見て実施をする必要があります。


2. 検索連動型広告(リスティング広告): かなりおすすめ

検索連動型広告(以下、リスティング広告)がおすすめです。リスティング広告とは、検索キーワードに応じて検索結果の画面上に表示される広告です。これはBtoB製造業とも相性が良いと考えています。そう考えられる理由がいくつかあるので、それを紹介します。

まず、BtoB製造業に関連するのキーワードは、世間一般的にはなかなか日常で検索しないキーワードばかりです。たとえば、「フォークリフト」「粉砕機」「反転機」「制御盤」「充填機」「バリ取り」といった調子です。これらのキーワードは業界外の人が検索することは稀でしょう。

そのため、こういった自社に関連する業界キーワードを検索しているユーザーである時点で、見込み度合いがかなり高いといえます。検索キーワードに応じて広告を出稿できるリスティング広告は、数あるインターネット広告の中でも無駄が少なく、おすすめの手法です。

そして、BtoB製造業の中では、中小の機械部品メーカーなども多いと思います。そしてその多くは、自社の「工場稼働率」を気にしているはずです。

工場は常に100%のフル稼働している状態が最も理想的な状況のはずですが、その点において、リスティング広告は簡単に広告の配信量を調整できます。そのため、工場の稼働状況に合わせて広告配信量を調整できるという点もBtoB製造業においては向いている点だと思います。

補足ですが、リスティング広告は、クリックごとに課金される仕組みとなっています。つまり、クリックされなければお金が発生することがなく、掲載自体は無料で行えるという点は製造業者側の人も知っておいて良いことだと思います。


3. リターゲティング広告: かなりおすすめ

リターゲティング広告という手法はBtoB製造業でもおすすめです。これは、一度サイトに来訪したユーザー対して、バナー画像広告を出して追いかけることができるといったものです。

BtoB製造業では、インターネット上でのユーザー数が少ないことも多く、1人1人の見込みユーザーを大事に扱っていくような動きが求められます。そのため、一度サイトに来てくれたユーザーを囲い込んでいく手法は非常にマッチしています。

先に紹介したGDN(Google Display Network)や YDN(Yahoo! Display Network)で行うことが多く、おすすめです。先に紹介した検索連動型広告(リスティング広告)と一緒に設定することができますので、あわせて検討すると良いでしょう。

広告代理店に依頼するような広告予算が無さそうであれば、検索連動型広告(リスティング広告)やリターゲティング広告の知識が無くとも、簡単に高い成果を出せる「Shirofune」のような広告出稿支援ツールも出てきています。こういったものがあれば、自力で設定し、出稿までできるケースもあるかもしれません。

Shirofune
https://shirofune.com/


補足: 広告から会社ホームページに集客すると勿体ない

先に広告をいくつか推奨しました。しかし、広告から遷移する先を「会社のホームページ」にしているのは勿体ないと考えています。

では、どうすれば良いか。

結論、広告をクリックしたユーザー用に1ページだけで構成されるような「特設ページ」を用意することがおすすめです。このようなWEB広告からユーザーを最初に着地させるような特設ページのことを「LP(ランディングページ)」といいます。

これ関して全くイメージが付かない方は「ランディングページ」とGoogle検索してみて下さい。製造業の事例はなかなか出てこないかもしれませんが、なんとなくのイメージが掴めれば良いです。WEB広告を出稿する際は、このLP(ランディングページ)を作っておくことを推奨します。

では、なぜホームページがあるのにわざわざLP(ランディングページ)を別途作るべきなのか?と感じると思います。

その理由はLP(ランディングページ)の方がホームページより問い合わせに繋がる確率が高いからです。例えば、広告を打って、ページに100人が来訪したとします。その際に、1人から問い合わせがあるのか、2人から問い合わせがあるのかで、広告を出稿した際の費用対効果が2倍、変わってきます。

こういった理由から、WEB上に広告出稿を行う場合には、ほとんどの場合、LP(ランディングページ)を別途制作することを推奨します。

まだ、ホームページとLP(ランディングページ)の違いについて、理解しかねる方もいらっしゃると思いますので、私の考えるホームページとLP(ランディングページ)のメリット/デメリットをそれぞれ整理しておきます。

【ホームページとLPのメリット/デメリット】

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多くのBtoB製造業会社は、このHP(ホームページ)は持っていても、LP(ランディングページ)は持っていないことが多いです。これが本当に勿体ないと感じています。先に紹介した「検索連動型広告(リスティング広告)」は実施しているものの、その広告のクリック先が会社ホームページになっていることがほとんどだと思います。

シンプルなLP(ランディングページ)であれば、予算は30万円~60万円程度。また、制作期間も1か月~で完成するので即効性があります。個人的には、広告を出稿するのであれば、とりあえず作っておくことをおすすめします。

<まとめ>
① 課題意識を既に持っていてWEBで自ら情報収集をするこの段階のユーザーはしっかりとマーケティングするべき。
② 検索結果に表示されるようにしっかり対策をする。そのためには、ホームページの内容を「ユーザーにとって分かりやすいように」を意識して整えるべき。スマホ表示への対応もしっかりするべき。
③ 検索連動型広告(リスティング広告)はBtoB製造業とも相性が良くおすすめ。
④ リターゲティング広告もBtoB製造業とも相性が良くおすすめ。
⑤ インターネット広告はLP(ランディングページ)に遷移させるべき。


「③情報収集→社内テスト」「④社内テスト→採用」「⑤採用→運用」フェーズに有効なデジタルマーケティング施策

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これらの段階のユーザーは、既に製品の実用テストを行っています。そのため、営業担当が1対1で個別に問題解決してサポートするフェーズに入っており、デジタルマーケティングで出来ることはかなり限られていると思います。それでも、考えられるものがあるとすれば下記があると思います。


1. 事例系コンテンツ: ”テクニカルイラスト化”で展開するのはおすすめ

BtoB製造業において、「技術情報の流出」を非常に危惧するため、事例をそのまま展開しにくいケースは非常に多いです。しかし、会社名を出さずとも、その事例をテクニカルイラスト化して「〇〇業界の〇〇部品」という形であれば展開できるというケースは多いと思います。

テクニカルイラストとは、部品の形状、寸法、取付け、機能、構造などを 立体製図法で表現するようなイラスト手法のことです。実物写真が出せない場合でも、こういったイラストであれば、分かりやすく、かつ、情報セキュリティもコントロールした上で展開することができます。

このテクニカルイラストを専門で行っている会社もあり、そういうところに事例用にイラスト化を依頼するのは大いにアリだと思います。

たとえば、私の知っている範疇では「東京技術協会」という会社がそういったテクニカルイラスト制作のサービスを提供しています。

東京技術協会
http://www.togi.ne.jp/

また、イラストだけでなく、動画でも同じようなことができますので、複雑な動きをしている場合には動画を用意するのもおすすめです。サイトに動画を埋め込むことでサイトの説明を補完する用途として活躍します。

ただし、製造業の場合、特に大手企業では社内からのYoutube閲覧が規制されていて、閲覧できないことも多くありますので、動画はあくまで説明の補完として在るべきです。動画が再生され無くとも説明が成り立つようにサイトを作っておく必要があります。

事例コンテンツはBtoB製造業のマーケティングにおいて非常に有効です。情報流出を恐れてあまり情報が出回らない中でこのような形で分かりやすい事例コンテンツがWEB上に展開されていることは、ユーザーにとって大きな信頼感を生み重宝されるでしょう。

ここで制作した事例コンテンツは営業資料としても使えるので、オフライン主流の営業活動をしている会社にも受け入れられやすい施策です。また、動画での事例コンテンツは展示会に出展する際にも活躍するので作っておくメリットは大きいです。


2. メールを使った施策: 実は結構大変

BtoBマーケティング全般で、効果的なマーケティング手法として取り上げられるのは「メールマーケティング」です。BtoBの場合、決裁は下りるまで時間がかかったり、実施時期が伸びてしまったりということは往々にしてあります。そのため、継続的に見込み顧客とコミュニケーションを取ることが求められ、その方法としてメールを用いたマーケティングが取り上げられることが多いです。

しかし、マーケティングのチームが社内に存在しておらず、営業が兼務状態での組織においてはかなり負担が大きい施策であることも間違いないです。

やることとしては、主にメールシナリオを設計し、メールを作成し、都度の効果測定やスコアリングを行い~といった一連の運用業務が発生します。これは専任のマーケティング担当者が居ない中で行おうとするとかなり大変な印象です。

BtoB製造業ではマーケティング専用のチームを置いていないことも多く、工数がかかるというデメリットを加味すると、あまり万人へのおすすめはしていません。

かの有名なキーエンス社がこうしたメールマーケティングを積極的に行っているため、やってみたくなります。しかし、会社としてのマーケティングに取り組む体制が不十分なままこうしたメールマーケティングを真似すると、続かなくなることがほとんどだと思います。


3. チャットbot: やっぱり相当大変

チャットbotはWEBページにチャット機能を設置することで、いつでも気軽に相談することができるというものです。これを導入することで、ユーザーはテキストや音声を通じて気軽に問い合わせを行うことができます。

一見、良さそうに思えるのですが、結論、これも導入後がかなり大変なためあまりおすすめできません。チャットで連絡がきた際には、即レスでその対応ができる体制が必要になってきます。即レスができないチャットはもはやチャットではなく、それなら問い合わせで十分です。

結果、導入すると営業の負担が増えてしまうことが多く、社内にも受け入れられにくいと思います。

<まとめ>
① テクニカルイラストを用いて事例コンテンツ(画像/動画)を作るのはおすすめ。オフラインでの営業活動にも大いに活かせる。
② 「メールマーケティング」や「チャットbot」は社内の稼働が非常にかかるので、片手間では実施しない方が無難。


まず、やるべきはLP(ランディングページ)を中心とした施策だと思う

ここまで購買プロセスごとに色々な施策をご紹介しました。何をやっていいか分からないという場合、まずはLP(ランディングページ)を中心としたデジタルマーケティングを実施してみるのが、多くのBtoB製造業にとって最も効果が出る方法ではないか?と考えています。これは王道なデジタルマーケティング施策のひとつです。

具体的な方法としては、良いLP(ランディングページ)を新規制作します。そして、そのLP(ランディングページ)に「リスティング広告」と「リターゲティング広告」を出稿し、アクセスを集めるというシンプルなマーケティング施策です。今までほとんどデジタルマーケティングを実施していない企業の場合であれば、この方法を実施するだけでもかなり可能性が開かれると考えています。

やはりマーケティングを専門にやっているチームが社内に無い状況であれば、そこまで時間と労力をデジタルマーケティングに割くことは難しいのが現実です。多くのデジタルマーケティング施策は、定期的なコンテンツの更新だったり、ユーザーのこまめなケアを行ったりと、定常運用をする必要があるのです。時間と労力を割けないのであれば、なかなか効果は見込めないでしょう。

しかし、LP(ランディングページ)を中心とした施策であれば、社外のマーケティング支援会社にアウトソースできる要素が大きく、一度座組を組んでしまえばそこまで定常運用の負荷がかかりません。

社内にマーケティング部が無い中小企業でも手軽に始められ、効果の見込めるデジタルマーケティング施策がLP(ランディングページ)を中心とした施策です。

これらを実施するための予算感をお伝えします。まずLP(ランディングページ)の制作で20万円~40万円程度。そして、このページにアクセスを集めるための広告費用として月20万円程で始めるのが良いかな?という感覚で書いています。

お金をインターネット広告に費やすことに抵抗がある事業者もいらっしゃいますが、これは「新規でインターネット市場開拓をしてくれる営業マン」を派遣で雇用したと考えれば、納得できる場合も多いのではと考えています。

次に、BtoB製造業のための効果的なLPの作り方や、それを作った後、実際にどのようにして活かしていくのか?などを詳細に案内します。

<2020.12.10: 追記更新:ランディングページを格安で作る方法> 
ランディングページを超安く作る方法もあります。
「ペライチ」という誰でも簡易にランディングページを作れるサービスがあります。

ペライチ
https://peraichi.com/

これを用いることで、超低予算で自分でランディングページを作ったり、カスタマイズすることができて、おすすめです。
プランは月額1,980円のレギュラープランで十分です。
実際にこれで作ったランディングページで運用してみているのですが、しっかりお問い合わせも取れます。実用的にも申し分ないです。


3章:BtoB製造業のための強いLP(ランディングページ)の作り方


1:製造業ほど「BEAFの法則」を意識して作るべき

日本の製造業の多くは技術志向であり、そこで働く人の多くは技術者出身のケースが多いでしょう。そのため、多くの場合、普段自分たちが向き合っている技術がどれだけ凄いのかといった点に注力し、物事を伝えがちです。

しかし、「物を売る」という観点で考えれば、顧客目線で考えなければなりません。「そんなことは分かっている」とは言いつつも、いざWEBなどの表現に落とし込むと、顧客目線が一気に抜け落ちて、自分たちの伝えたいことばかりを盛りだくさんで伝えようとしてしまうケースが散見されます。

そうならないために有効な方法があります。それは「BEAFの法則」と言われるフレームワークに沿ってLP(ランディングページ)を制作することです。これはBenefit(購買メリット)、Evidence(論拠)、Advantage(競合優位性)、Feature(さまざまな特徴)の頭文字を取ったもので、顧客目線での説明を可能にします。

LP(ランディングページ)は1ページで構成されているため、全てのユーザーが上から下に閲覧しますので、このBEAFの順番に沿って上から順に情報を展開していくことで、マーケティング的な思考に慣れていない方でも顧客目線のLP(ランディングページ)の制作が実現できます。

<まとめ>
BtoB製造業のLP(ランディングページ)は以下の順番で構成しよう。

・B:Benefit(ユーザーにとってのメリットは?)
・E:Evidence(そのメリットの論拠は?)
・A:Advantage(自社の競合優位性は?)
・F:Feature(他にもある様々な特長は?)


2:「PQCDSME」を意識して展開するべき

製造業の現場おける管理項目として「PQCDSME」というものがあります。これは管理項目の頭文字のアルファベットを並べたものですが、現場の管理職クラスが成果項目として、これらを改善しようとしていることがほとんどです。

・P:Productivity(生産性)
・Q:Quality(品質)
・C:Cost(価格)
・D:Delivery(納期)
・S:Safety(労働安全性)
・M:Morale(意欲)
・E:Environment(環境)

特に、中でもQCD(品質・価格・納期)に関しては厳しく管理されます。

QCDは別名「生産の3条件」とも呼ばれており、これらの追求は必須項目としてどの現場でも認識されています。これらに加え、安全性や意欲、環境などの職場環境面も良くしていこうということを念頭に置いた上で、工場全体の生産力向上をしていくべきというのが製造業現場の基本的な考え方です。

つまり、全てのBtoB製造業はPQCDSME、特にQCDを良くするために製品・サービスを購買するといって差し支えないと思います。

そのため、ランディングページ(LP)を中心とするマーケティング施策を実践する際には「自社の製品/サービスはQCDを良くすることに対して、どのように貢献できるのか?」という内容を掲載することが効果的なはずです。

具体的にいえば、先のBEAFの法則のB(Benefit:顧客メリット)部分では、QCDの改善に関連する謳い文句があると、ユーザーの興味を惹きやすいと考えられます。LP(ランディングページ)ではページ上部の、いわゆる「メインビジュアル」といわれる箇所に下記のような訴求があると効果的なはずです。

・〇〇で品質向上!
・〇〇による人件費削減!
・〇〇でリードタイム短縮!

多くのBtoB製造業は「自社の特長」「製品の機能」を謳うだけになってしまっているケースが散見されます。しかし、マーケティングの観点いえば、顧客にとってのQCDを考え、それを真っ先に伝えるべきです。自社を活用して頂くことでユーザーの利益貢献にどう繋がるか。「品質、価格、納期」の観点に注力して考え、伝えます。

しかし、こういったQCD訴求だけだと設計者・開発者など技術者の信頼を得ることはできません。そのため、QCD訴求をした直後には、必ず「なぜそのQCD訴求が実現できるのか」の理由を掲載します。具体的な技術提案情報などがあると良いと思います。これが先のBEAFの法則のE:Evidence(そのメリットの論拠は?)にあたります。

<まとめ>
① ページ上部で、Productivity(生産性)、Quality(品質)、Cost(価格)、Delivery(納期)、Safety(労働安全性)、Morale(意欲)、Environment(環境)の観点で改善できるというユーザーメリットを訴求すること。
② 中でもQCDの観点が最も重要。


3:BtoB製造業の「顧客目線」をWEBでリサーチする方法

「BEAFの法則」や「PQCDSME」」は理解できたとしても、ユーザーのニーズを知らなければ顧客目線になることは難しいです。営業担当者のこれまでの知見は情報として大切にすべき点ですが、その他にもWEBでユーザーのニーズをリサーチする方法もあります。それをご紹介します。


① 情報共有サイト「技術の森」

まず「技術の森」という情報共有サイトをご紹介します。

技術の森
https://www.nc-net.or.jp/mori/

このサイトは、製造業向けのQAサイトであり、製造業の現場の声を拾い上げる際に役立ちます。製造現場の情報はWEB上になかなか露出されることないため、これは製造業ユーザーの生の声がわかる貴重なWEB情報源です。

ここでユーザー不満や欲求をリサーチした上で、先のBEAFの法則に則り、表現を展開するとより一層、効果的なLP(ランディングページ)になるかもしれません。

たとえば、「搬送ロボット」のLP(ランディングページ)を作ろうとしているとします。その際、事前にこのサイトで「搬送 ロボット」と検索すると、このような質問が出てきます。

画像8

「技術の森」より 
https://mori.nc-net.or.jp/qa9523905.html

これを見るに、ユーザーは搬送ロボットの「導入フロー」を理解できていないことがわかります。すると、「導入フロー」をLPに掲載することで、よりユーザーにとって分かりやすい表現になるだろうという発想が生まれます。


② 情報共有サイト「OKWAVE」の「[技術者向] 製造業・ものづくり」カテゴリ

「OKWAVE」は年間7000万人が利用する日本発、最大級のQ&Aサイトです。こちらの中には、「[技術者向] 製造業・ものづくり」というQ&Aカテゴリがあります。

画像9

「OKWAVE」の「[技術者向] 製造業・ものづくり」より https://okwave.jp/c5000.html

これも先の「技術の森」と同様に、製造業に従事する方の生の声がずらりと並んでいます。先の「技術の森」とセットで使うと良いでしょう。


③ スポットコンサルサイト「ビザスク」

「ビザスク」というWEBサービスがあります。これを用いることで、電話や対面で「BtoB製造業の業界経験のある方」に聞きたいことをヒアリングすることが可能です。

ビザスク
https://service.visasq.com/

例えば、このサイトで「製造現場」と検索してみると下記のようなアドバイザーが多数存在しています。

画像10

こういった中で、自社の顧客像に近しいアドバイザー、数名に対してヒアリング調査をして、どういったアピールをすれば効果的なのかを実際に聞いてしまうのも1つの方法です。

公の場に情報が出回らない製造業の中で、このようなサイトを活用し、直接人から聞いて調査するという方法は貴重な情報源です。


④ 業界特化の調査サービス「イプロスリサーチ」

イプロスという日本最大級のものづくり分野のBtoBデータベースサイトがあるのですが、そこの会員に対してアンケート調査をすることができる「イプロスリサーチ」というサービスがあります。

イプロスリサーチ
https://marketing.ipros.jp/service/ad/research/

アンケートを行う対象はかなり詳細に設定することができます。たとえば、「生産・製造・プロセス技術」の「部長クラス」などの粒度で指定することができます。

また、アンケートの設問内容も自由に作ることができるため、製造業の調査としてはかなり優れていると思います。

そして、これが凄いのですが「アンケートに回答して頂いたユーザーの顧客情報」は取得することができます。そのため、実際にアンケートにご回答頂いたユーザーに対して直接、製品をご案内することも出来、事業者にとっては一石二鳥の側面を持っています。

<まとめ>
ユーザーニーズをWEBでリサーチするには、以下の方法がある。

① 技術の森 https://www.nc-net.or.jp/mori/
② OK WAVE [技術者向] 製造業・ものづくり https://okwave.jp/c5000.html
③ ビザスク https://service.visasq.com/
④ イプロスリサーチ https://marketing.ipros.jp/service/ad/research/


4:LPに合わせた「バナー画像」を同時に作っておく

LP(ランディングページ)を制作する際、大体はデザイナーが稼働することになります。ページを作る際にあわせてバナー画像を作っておくことをお勧めします。

というのも、バナー画像とLP(ランディングページ)のデザインの雰囲気が異なると、バナーをクリックして流入してきたユーザーのサイト離脱率が高まる傾向があります。なので、ページのデザインとバナー画像は同じデザイナーにワンセットで作ってもらった方が良いことが多いです。

BtoB製造業はニッチかつオフライン色が強いため、インターネット上の検索ボリュームが少ないという特徴があります。そのため、検索によって来訪する見込みのユーザー数が少なく貴重な存在なのです。そこで、リターゲティングが一層重要になってきます。これは過去サイトを訪れたユーザーに対して、再度バナー広告を表示させる手法です。これを実施する際に「バナー画像」を用いることになります。

施策を実行できるタイミングがやってきた際に「バナー画像が無い」という事態になると、そこから制作をはじめなければなりません。すると、面倒になってリターゲティング施策を実施しなくなるということは現場あるあるです。

下記にあると何かと便利なバナー画像の10サイズを紹介します。特段こだわりが無ければこの通りで作っておけば良いと思います。ファイル形式は.jpg、容量は150KB以下であれば概ね外しません。

ここまで制作できたら、施策を開始する準備は概ね完了です。次章では、効果的な施策実施手法をご提案します。

<あると便利なバナー画像のサイズ10種>
ファイル形式は.jpg、容量は150KB以下でバナー画像を制作しておく。
・300×250
・336×280
・728×90
・160×600
・468×60
・320×50
・320×100
・1200×628
・300×300
・180×180


4章:デジタルマーケティングで得た知見をオフラインに活かしていく方法


デジタルマーケティングのメリットは効果計測ができること

BtoB製造業者がデジタルマーケティングを行うメリットとしてもうひとつ挙げられる大きなメリットがあります。それは「マーケティングの効果を計測できること」です。

多くのBtoB製造業では、主に「専門誌や業界新聞への広告掲載」や「展示会への出展」などのオフラインにおける広告宣伝を行っていると思います。もちろん有効な宣伝手段で、確実に実行していくべきものです。しかし、問題は「効果計測が難しい」ことです。

広告や展示会において表現しているキャッチコピー等の表現は、本当に有効なのか?これに関して、多くの場合、効果検証が成されておらず「営業部の勘」だけで決まっていると思います。

しかし、デジタルマーケティングを行うことで、表現別の施策効果を数字で把握することが可能になります。広告が表示された回数を示すインプレッション数。実際にその広告がクリックされた回数を示すクリック数。その広告が資料請求や資料のダウンロード、商品購入に繋がった回数を示すコンバージョン数。など、自動的に計測されるため、これらの数字をもって効果検証を行うことが可能です。

効果検証の方法の王道として「ABテスト」という概念があります。ABテストとは、Webページにおけるひとつの主要な要素(トップイメージ、キャッチコピー、ボタンのデザイン、レイアウト等)を取り上げ2つ以上のパターンを用いて検証・実験する方法です。元のページに対して変更を加えたテストパターンのページを用意します。そして、どちらのページのCVR(コンバージョンレート)が高いかで、最適な表現を発見します。

「ABテスト」についてイメージが沸かない方は、有名な「オバマ大統領のWEB戦略事例」を見ると理解しやすいと思いますので、簡単にこのオバマ大統領の事例内容を述べておきます。


オバマ大統領が用いたABテストの事例

アメリカ史上初の黒人大統領のオバマ大統領ですが、彼がWEB戦略に用いていたのが「ABテスト」でした。オバマ氏のサイトには、ボランティアスタッフを集めるための「メール会員の登録ボタン」があります。このメール会員を増やすことによって、選挙スタッフや寄付金のボランティアスタッフを集めることが出来たのです。

さて、このメール会員を集めるためのページですが、「オバマ大領領の画像や動画」と「メール会員登録ボタン」といった要素で構成されているページでした。

画像11

ただ、どのような画像や動画、そしてボタンの文言をページに掲載するのかはセンスが問われます。そこで、「ABテスト」を用いたのです。具体的にいえば、まず画像3パターン・動画3パターンの計6パターンを作成しました。それぞれ以下のようになります。

<画像・動画>
1 微笑みを浮かべているオバマ氏の画像
2 家族に囲まれ、皆が微笑んでいる画像
3 オバマ氏の顔がアップで映し出された画像
4 オバマ氏が視聴者に語りかけている動画
5 オバマ氏の演説を抜粋した動画
6 支援者の様子を写した動画

また、それに合わせてメール会員の登録ボタンに書かれている文言も4パターン用意されました。

<ボタン>
1 SIGN UP「会員登録」
2 SIGN UP NOW「今すぐ会員登録」
3 JOIN US NOW「今すぐ参加する」
4 LEARN MORE「もっと詳しく」

これらの「画像・動画」とボタンの全ての組み合わせを試すと6×4の24パターンのサイトが考えられますね。

その中で最終的に最も効果の高かったパターンは「2 家族に囲まれ、皆が微笑んでいる画像」と「4 LEARN MOREもっと詳しく のボタン」組み合わせでした。

画像12

最終的に最も効果の高かったこのパターンが生み出したメール会員登録率は、当初のパターンの1.4倍のメール会員登録率を記録しました。

より詳しく知りたければ、「オバマ ABテスト」などで検索して調べればたくさん出ると思うので、調べてみて下さい。


LP施策は「効果計測」においても最適

さて、この「ABテスト」ですがLP(ランディングページ)と相性が抜群に良い性質を持っています。その理由を解説します。

多くのBtoB製造業では、会社概要や製品情報を掲載している複数ページにわたる階層的なコーポレートサイトを中心にマーケティング活動をしていることが多いですね。こういうサイトであっても当然、各種数値の効果計測は可能です。

しかし、複数のナビゲーションやリンク、ページが存在しています。すると、計測における変数が多く、後々の効果測定が複雑になるという側面も併せ持ちます。これだと、効果検証において推定の要素が数多く入ってきたりします。実験の原則的な観点から考えても、変数が複数ある実験は推奨できるものではありません。

そこで、サイト構成が1ページのみから成るLP(ランディングページ)です。

LPの構造上、全てのユーザーが必ずページ上部から下部にスクロールして閲覧をするため、ユーザーのアイフロー(情報に接触する順序)をコントロールすることができます。そのため、訴求の良し悪しがダイレクトに結果に反映されるのです。そのため、効果計測という側面からも、LP施策は非常に適しているといえるでしょう。

ここでは、大枠で下記3STEPを行うことを推奨する内容とします。この一連の流れを「LP(ランディングページ)施策」と呼ぶことにします。

<LP(ランディングページ)施策>
① LPを制作し、そこにWEB広告を出稿して、アクセスを集める。
② 集めたアクセスでLP上では表記を複数パターン「ABテスト」する。
③ 「ABテスト」で効果の良い表現を発見し、展示会やカタログ、専門誌などのオフラインでの宣伝表現に落とし込む。

そして、この一連の施策を実施するにあたり、準備・実行していく手順は以下のようになります。

<具体的な準備と実施手順>
① LPとバナー画像を制作する
② 各種「計測タグ」を埋め込む
③ ABテストの設定をする
④ WEB広告を出稿する
⑤ ABテストの結果を集計して、ちゃんと記録する
⑥ 展示会やカタログ、専門誌などのオフラインでの宣伝表現に落とし込む

以下、それぞれ解説していきます。

ただ、詳細内容はやや専門的なため、「一体何をやっているのか?」という概要だけ掴めば良いと思い、そこに注力してお伝えします。実際の作業はWEB知識のある外部業者(以下、WEBの人)に任せるのが良いと思います。


① LPとバナー画像を制作する

これに関しては「3章:BtoB製造業のための強いLP(ランディングページ)の作り方」を参考に制作して下さい。ただし、一点だけ重要なことがあります。それは、制作の際に「ページのここは、こうした方が良いのではないか?」という案が複数出てくることもあると思います。その案はどこかにメモしておいてください。というのも、後でABテストを行うので、そうした複数の仮設は「テストのネタ」になり得るからです。


② 各種「計測タグ」を埋め込む

ページに「計測タグ」というものをLPやその先のコンバージョンポイント(フォームの入力完了画面など)に埋め込む作業です。これは「広告効果データを取得できるようにする」ために行います。

具体的にいえば、ユーザーのアクセス毎のアクセス数を取得したり、ページの表示パターンを来訪したユーザーによって可変させたり、一度来訪したユーザーを追いかけるように広告を出したり。これらを行うためには、全て「タグ」というものをサイトに埋め込む必要があります。

機能別に様々な「タグ」が存在することもありますが、これらのタグを管理し、適切に取り扱うことを「タグマネジメント」と呼称したりします。このタグマネジメントを行うにあたっては、ある程度WEBの基礎知識が必要になります。ただし、いわゆるWEBの人であれば、誰もが理解できる内容です。少し面倒のように思いますが、一度埋め込めば基本的にはずっとそのままで問題ないので、「デジタルマーケティングの初期設定」だと思って下さい


③ ABテストの設定をする

ABテストを行うためには、「ABテストツール」を使う必要があります。ツールそれぞれに独自の管理画面が存在しており、その中でABテストの設定を行います。

ただ、この設定を行う際には、先のタグマネジメントの知識が必要だったり、その他も「URLパラメータ」や「JavaScript」といったWEBの基礎知識も必要になってくる領域です。そのため、これもWEBの人に任せた方が良い仕事だと思います。

以下、よくあるABテストツールを紹介しておきます。私は「DLPO」というテストツールを使い慣れているのですが、まずはABテストが出来さえすれば良いので、無料のGoogleツールで良いと思います。

<よくあるABテストツール>
・Googleアナリティクスウェブテスト(無料)
・Googleオプティマイズ(無料)
・Optimizely
・DLPO
・VWO
・SiTest
・Kaizen Platform


④ WEB広告を出稿する

「WEB広告」と言っていますが、これまでお伝えした話を考えれば、まずは検索連動型広告(以下、リスティング広告)で始めるのが良いでしょう。広告の設定面はWEBの人に任せてしまうのが良いです。ただし、BtoB製造業者が自ら考えるべき部分もあります。それは主に下記2点です。

1.検索キーワードのアイデアを出してあげてください。
2.広告文のアイデアを出してあげてください。

まず、1の「検索キーワード」について。リスティング広告では、事前にこちらで設定しキーワードでユーザーが検索をしたときに広告が表示されます。そのため、自社のビジネスに興味を持ちそうなユーザーが検索しそうなキーワードの準備が必要です。BtoB製造業の場合、このキーワードが業界用語のことが多いので、これに関してはBtoB製造業者自身がある程度リストアップしてWEBの人に渡してあげた方が良いでしょう。

つぎに、2の「広告文のアイデア」について。リスティング広告では、文章形式で広告文が検索結果に表示されます。そのため、これも先の検索キーワードと同様で業界用語を含むことも多いです。LP(ランディングページ)のページ上部と同じような内容になることが多いですが、ユーザーが実際に見る表示内容は全てBtoB製造業者側が主導権を持って、仕切るようにして下さい。

また、制作したバナー画像に関してですが、紹介した「リターゲティング広告」に使うのが良いと思います。しかし、これはある程度LP(タグが埋め込まれた状態)にアクセスを集めてから機能する性質のものなので、WEBの人に、いずれはリターゲティング広告を実施したい旨を伝えて、バナー画像を渡しておいてください。


⑤ ABテストの結果を集計して、ちゃんと記録する

ABテストの計測をはじめたら、自動で各表示パターンのアクセス数や成約数などが集計されます。計測した結果は、先のABテストツールの管理画面からいつでも閲覧できるのですが、結果の白黒がついたと判断できたら、それを何かにしっかり記録しておいてください。

この記録、実はとても大事です。記録の習慣が無いと、しばらく時間が経った後に再度同じ表現を使ってしまったりします。そんなことあるのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本当によくあることです。ABテストを実施している様々な企業で実際に起こっている状況を何度も見たことがあります。

また、結果を記録する際には結果だけを記録するのではなく、「〇〇のため、この表現が良かったものと考えられる。」のように、1行でも良いので「実験の考察」を記録しておくだけで、後からとても活用しやすいものになります。


⑥ 展示会やカタログ、専門誌などのオフラインでの宣伝表現に落とし込む

先のABテストの記録を「展示会やカタログ、専門誌などのオフラインでの宣伝表現に活かせるものは無いか?」という観点で見て、活かせそうなところは活かしていくべきです。

今まで使っていた宣伝表現を変えることは、社内の抵抗があることが実際多いと思います。しかし、この「ABテストの記録」があればどうでしょう。強い説得力を持って改善していくことが可能になります。

変化を嫌う、変われない文化のある企業は、実際、製造業に多いと考えています。そんな企業こそ、この「ABテスト」の結果を使って、企業全体のマーケティング改善を実践して頂きたいと考えて、本テキストを書いています。デジタルマーケティングを実践すること、ABテストを実践することは、変われない文化体質のある企業を変える力を持っていると思います。

以上が、本テキストの推奨する「BtoB製造業がやるべきたったひとつのデジタルマーケティング手法」です。

WEBの人にお任せする際は、本テキストをそのままコピーし「これがやりたいです」と見せれば良いと思います。概ね、伝わると思います。

<まとめ>
下記の3STEPをまず実施するのが、おすすめ。
① LPを制作し、そこにWEB広告を出稿して、アクセスを集める。
② 集めたアクセスでLP上では表記を複数パターン「ABテスト」する。
③ 「ABテスト」で効果の良い表現を発見し、展示会やカタログ、専門誌などのオフラインでの宣伝表現に落とし込む。


私からの提案は以上となります。

たった1枚のランディングぺージを作り、それをABテストして結果を数字に基づいて観察してみる。

そして、その観察結果を持って、あらゆる表現を変えてみる。

こんな小さなことですが、これを繰り返すことで、確実に「変化」というものに慣れていくと思っています。

そして、「変化に慣れる」ことが、会社の文化ごと変えていきます。

変化に慣れるはじめの一歩として、デジタルマーケティングを実施してみませんか?

そんなマーケティング提案が、BtoB製造業を取り巻く各所で行われたらいいなと願っています。

ーーー
筆者の連絡先をお伝えしておきます。
もし、ご相談等ありましたら、お気軽に連絡下さい!
個人でWEBコンサルティングや実行支援も行っております。

自己紹介

板橋 洋輔 (いたばし ようすけ)

1991年生まれ。中央大学法学部卒。新卒でITベンチャー企業に入社し、あらゆる業種のWEBコンサルティングを行いました。その後、総合広告代理店の博報堂に入社。営業として大規模なマスプロモーションの進行指揮に携わりました。現在はメーカーで自社のマーケティングを担当しつつ、個人でも他企業のマーケティングコンサルティング業を行っています。

- メールアドレス
yosuke.itabashi.820@gmail.com
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