「ファイナルファンタジーVII リメイク」は本作で完結!…だとしても問題なし
※ 注意:本記事は「ファイルファンタジーVII リメイク」の結末を知っていることを前提とした記述となっています。決定的なネタバレはありませんが、未クリアの方はご注意ください。
1. 前置き〜僕とFF7
初代PS版のファイナルファンタジーVII(以下、FF7原作もしくは単に原作と呼びます)が発売された1997年、僕は15歳でした。
それは、それまでに遊んだどんなRPGとも違っていて、まさに次世代のゲームでした。
CD3枚組に詰め込まれた美麗なムービー(当時基準)の数々に心奪われましたし、「防具は腕輪のみ」という割り切った装備品システムは衝撃的でした。
また、冒頭数時間(つまりミッドガルパート)はワールドマップがなく、ダンジョンと街がそのまま繋がっているマップ構成も、リアルで未来的なものに感じました。
ですので、FF7原作は自分にとって「マイベストFF」というわけではないにせよ、とても印象深い作品でした。(ちなみに僕のベストFFはFF6です)
2015年に本作「ファイナルファンタジーVII リメイク」(以下、FF7リメイクもしくは本作と呼びます)が発表されて以降、作品そのものの出来は別にして、僕は本作に懐疑的・批判的でした。
Half Life 2やシェンムーを例に挙げるまでもなく、「分作」という構成は続けるのが難しいと感じましたし、タイトルに「第1章」や「Part 1」という語句を入れず、あたかも原作の全のストーリーがリメイクされているかのように誤認させる宣伝も不誠実だと思っていました。(※パッケージ裏に小さく書いてはありますが)
IGN Japanに掲載されたネタバレ記事を通じて、どうやら本作のラストでとんでもない事が起こったらしい、ということは知っていましたが、それでも上記の印象は変わりませんでした。
しかし、PS5版発売を機に実際にプレイし、エンディングまで到達してみて、僕の認識は大きく変わりました。
本作は「第1章」でも「Part 1」でもなく、それ自体で決着している作品だと思いました。なので、「ファイナルファンタジーVII リメイク」というタイトルは、本作を正しく表していました。
世評では「2作目はいつ出るのか」「どのような内容になるのか」という分析を見かけますが、僕は2作目以降はなくてもいい、なんなら本作で完結でもいいと思いました。
(※本作がセールス的に成功したので、実際には2作目が製作される可能性は高いと思いますが)
以降、FF7リメイクは本作で完結している…とも言える、というところを、もう少し掘り下げようと思います。
2. FF7リメイクは本作で完結している(…ということもできる)
僕が本編のエンディングに到達した時、最初に思ったことは「原作の序盤(ミッドガルパート)と終盤(ラスボスであるセフィロスとの闘い)を直結させたような作りだなあ」ということでした。
終盤の闘いではBGMとしてちゃんと「片翼の天使」が流れますし、ラストバトルのセフィロスとの一騎打ちは、演出から構図に至るまで、意図的に原作のラストバトルと同じになっています。
仮にFF7を「壱番魔晄炉爆破作戦で始まり、セフィロスを一騎討ちで撃破することで終わる」物語だとするのなら、(途中の過程を大幅に改変・省略しているけれど)確かに本作は、FF7を描き切っているとも言えます。
なので、本作のタイトルが「第1章」でも「Part 1」でもなく、単に「FF7 リメイク」であったことも納得です。
それに、回収されていない伏線が色々とあるとはいえ、本作のメインストーリーラインは本作の中で決着しています。
つまり「ある定められた運命を辿るように宿命づけられていた主人公たちが、運命の番人(フィーラー)を打ち倒し、自由な未来を手に入れる」というストーリーには決着が付いているのです。
言い換えると本作は、「エピソード4 新たなる希望」と位置づけられる前、単に「スター・ウォーズ」と呼ばれていた頃の映画「スター・ウォーズ」と同じだと思います。
すなわち、物語世界にはまだ未解決の問題が残っているが、とりあえずのストーリーは決着している。続編はあってもいいしなくてもいい、というものです。
とはいえさすがに、この解釈は暴論だとは思います。
ヴィンセントもシドも出てこない、ゴールドソーサーにも行けない、そして何より「エアリスの例のイベント」も存在しない本作の物語を、「FF7の全てである」というのは無理があります。(※ただし、「エアリスの例のシーン」は、クラウドが幻視するフラッシュフォワードとして本作にも出てきます)
しかし、仮に本作に続きがあるとしても、それは原作のストーリーラインとは全く違ったものになることは確実です。
本作のエンディングで印象深く表示される "The Unknown Journey Will Continue" という一文の通り、本作の物語の続きは全くの未知なのです。
FF7リメイクは、原作の物語をなぞらなければいけないという枷から完全に解放され、自由な物語を描けるようになったと思います。
その「自由な物語」の中には、「これ以上は描かず、この先はプレイヤーの想像に委ねる」というのも含まれます。
このようなことから、僕は、FF7リメイクは第1作である本作で完結!だとしても問題なくて、続きはあってもなくてもいいと考えるようになりました。
3.おわりに
今回は、FF7をめぐる自分自身の歴史を振り返りつつ、FF7リメイクをプレイして感じたことをまとめました。
ここまで書いておいてなんですが、僕は「FF7リメイクは1作目で完結の可能性があるし、仮に続きがあるとしてもそれは原作とは全く異なるものになる」という自分の予測は、高確率で外れると思っています。
というのも、書籍「FINAL FANTASY VII リメイク アルティマニア」に掲載されているスタッフインタビューにおいて、北瀬プロデューサーやシナリオの野島氏は以下のように発言しているからです。
北瀬 (前略)今後についてもオリジナル版と全然ちがうものにするつもりはなく、リメイク版でも『FFVII』は『FFVII』のままだと思っていてください。
野島 僕としても、基本は原作の流れをトレースしていて、その表現方法や起きている出来事がちょっとちがう、くらいの想定でシナリオを考えています。(後略)
(「ファイナルファンタジーVII リメイク アルティマニア」第2刷 p.747)
ただ、FF7リメイクのPS4版が発売されて1年半が経過した2021年9月現在に至っても続編は発表すらされていないですし、方針転換されている可能性もあるかなあと思います。
2021年6月に配信されたユフィを主人公とする追加DLCでは、ユフィ編のエンディングのあとに、本編のエンディングの少し先を垣間見せるムービーが付いていました。
今後もこのような形式で、周辺のキャラクターたちのスピンオフ作品を発売しつつ、本編キャラクターの足取りはそれらの作品の中で映像として描く、というやり方もありうるかもしれません、
FF7リメイクの今後は、どんなことでも起こり得ると思います。
僕は正直「FF17がFF7リメイクの続編です!」と発表されても驚きません。(FFヴェルサス13 がFF15になった前例もありますし)
いずれにせよ、今後の展開を楽しみに待ちたいと思います。
(了)
2021.9.3 Itaru Otomaru
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