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文章力を上げたいならメールを究めよう

文章を書く力というのはビジネスパーソンの、いや、人間が生きてゆく上での重要な基本スキルのひとつだと思います。
義務教育の始まりから国語はあって、文章を書くことについては皆がずっとやってきているはずなのに、日々仕事で人とやり取りしていると、人によってかなりバラついているということに気づきます。

例えば、文章の中身については、何が言いたいのかがよく伝わらない回りくどい文章になっていることがあって、何度も文章のやり取りが必要になってくることがあります。
また、文章の構成を考えるまでのスピードも人それぞれで、一通のメールを出すのにものすごく時間がかかってしまう人に出会したりします。

文章力に差が出てしまうのはどうしてなのだろうと思います。
それは、同じように学校で学んでいても、実践の段階で皆が異なる経験をしているからではないだろうかと思うのです。

文章力って実は教わっていないかも

小学校の頃は、作文や読後感想文について教室の中で書かされたり、宿題として出されたりしてはいましたが、文章の書き方を習っていたかというとあまり記憶にありません。
作文の赤ペンの添削は、誤字脱字や「てにおは」の修正が中心で、文章の構成とか読みやすさのようなものをしっかりと教えてもらってはいなかったように記憶しています。
それはそれで、子供らしい文章の個性を育むことにはなったのかもしれませんけれど。

高校や大学で論文を書くようになってからも、添削はされていたように思いますけれど、論点が外れていたり、論旨を明確にするための読み込みが足りないといった、正解がどこかにあって解釈の正しさのようなものを添削されていたようで、自分なりのオリジナルの文章を書いているような実感はありませんでした。

ようやく社会人になってから、ちゃんと自分の文章を「推敲」するようになったと思います。あくまでも私の場合ですけれど。
これを読まれているあなたの実感はどうでしょう?

メールが文章力を鍛える理由

私が社会人になったのはまだ電子メールが企業内に普及する前のことでした。
社内を流通する文章は、専用の便箋に「社内通信」と書かれたレポート用紙のようなものに手書き、ないしはワープロ(死語ですね)で書かれているものでした。

一通を書くのに無茶苦茶時間がかかり、しかも当時新入社員であったこともあり、発信前に上司に内容の確認してもらってから社内便の封筒に入れて送ります。ccで送る場合は、送り先分だけ封筒を用意しないといけないこともあり、まぁ手間がかかることかかること…それほど難しくない内容であっても一通出すのに1時間くらいかかっていたように思います。
それを思えば、電子メールで簡単に社内文書を送ることが現代は天国のようで、生産性も爆上がりしていると思います。

メールは簡単に送信できる分、簡単に何度でも何通でも書くことができます。
しかし、書き方が悪いと、意味がわからないからと質問が返ってきてしまったり、相手が勘違いして期待してる行動とは別のアクションを起こしてしまったり、ということがよく起こりますね。

そして、メールのやり取りはしばし、こちらの集中力を落としてしまいます。
一旦集中力が切れてしまうと元に戻るのに25分かかるという研究もあるようで、内容がうまく伝わらないことで何度もやりとりとしていると、それだけでどんどん時間が経ってしまうことも出てくるのではないでしょうか。
メールの場合は、すぐ返事が来ないで都度集中力が途切れることになり、効率が悪いので通話で片付けることになったりする…

なんとか一発で内容が通じて、相手がこちらの期待している行動に移ってくれたらすごく効率的ですし、実際にメールが書くのが上手な人はメールだけでうまく依頼したり指示をして相手に動いてもらうことができます。

「一発で内容が伝わるように」と意識しながらメールを書くことを続けてゆくと、文章力は次第に上達してゆきます。
本や論文と違ってメールは簡単に書いて送信ができますし、日常の仕事の中でかなりの数のやり取り(ビジネスパーソンの平均は一日12.27通だそうです)をしているでしょうから上達も早いです。

誰にメールを送るのか、が大事

メールを送るときにまず考えるべきことは、文章の内容よりも誰にメールを送ろうとしているのか、だと私は考えています。

「誰」が大切な理由は大きく三つあると思います。
「相手が知りたいことは何か」
「相手にしてもらいたいことは何か」
「相手にとって分かりやすい文章の構成は何か」
順にみてゆきましょう。

相手が知りたいこと何か。
これは、ダラダラ長い文章を書かないで要点を絞る上で必要になってきます。言い方を変えると、自分が伝えたいことではなく、相手が知りたいことを伝えるということです。
相手の知りたいことを伝えないとコミュニケーションとしては一方通行になってしまい、相手は受け取れないですし、ましてや記憶にも残らないです。
何が要点になるのかは、この後の二つのポイントと関係してきます。

相手にしてもらいたいことは何か。
特に社内コミュニケーションの場合は、メールの目的が行動を促すことが多いのではないでしょうか。例えば、それは何かの調達であったり、自分ができない交渉を上司に依頼することであったりかもしれません。その場合、何をしてもらいたいのかは明確に記述する必要があります。
また、動いてもらうには理由をちゃんと説明する必要があります。ここで相手がそれをしないといけないロジックと根拠を提示する必要が出てきます。

相手にとって分かりやすい文章の構成は何か。
要点が絞られていて、相手が動くための十分な理由があったとして、相手が読んで中身を受け取ってくれないことには意味がありません。しかし、人によって読みやすい文章というのは異なります

忙しい人は結論を先に知りたいでしょうからPREP(Point-Reason-Evidence-Pointの順になってる文章)で書いた方が理解してもらいやすいです。
しかし、忙しそうに見える人でもいろいろあって、例えばちゃんと背景の説明を最初にしてもらわないと中身を読まないということもあります。そのような人にはWIIFYで相手にとっての意味をしっかりと伝えることが必要でしょう。

場合によっては相手の性格まで考慮に入れた文章の構成にしておかないと、「書いてあるのに読んでもらえない」や「書いてあることと違う解釈をされてしまう」みたいなことが起こります。

このように、受け取り手をしっかりイメージすることができれば、メールの文章のほとんどを固めることができます。
一朝一夕ではこれらの三つは身につかないと思いますけれど、意識しながらやり取りを続けてゆくと次第に分かってきますし、メールを書くスピードもどんどん上がってゆくでしょう。

他の文章へ活かす

誰に対するメールなのかでメールの構成が固まれば、あとはテクニカルな文章術になってくるのかなと思います。

例えば、ポイントを箇条書きにしたりするのもそうですし、アンダーラインや太字などの文字装飾をどこに使うかで強調したいポイントを明確にしたり。
また、メールの場合は、一つの文章が何行になるような「改行レス」でないことや、PCの画面でスクロールしないで読める一覧性もとても重要です。こういう細かいポイントだけでも相手の読む気力にも影響してきますよね。

このようなテクニカルな部分は、eMailの書き方教室などで学ぶと良いかなと思いますけれど、「誰に対して」の考え方はメール以外の文章でも応用できるものではない感と思います。

すなわち、自分が書く文章の読み手は誰なのか、その人に届くような書き方をするにはどうすれば良いのかということです。
Xのツイートであっても、noteのようなまとまった文章であっても、そしておそらくは本であったとしても、誰に読ませたいのかをしっかり持っていれば、その人に届く文章として切れ味の高いものが書けるかな、と。

言い方を変えると、世の中全て人に読まれるものを目指すと却って誰にも読まれないものになり得るということかなと思います。
誰に読んでもらいたいのかを文章を書き出す前にちゃんと決めておくこと、それができればどんな文章でも書くことができるのかもしれないですね。

あなたが書く文章を読む人は誰でしょうか?
あなたは、その人の知りたいこと、その人にしてもらいたいこと、その人が読みやすい文章が明確に掴めているでしょうか?

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いたる | 外資系人事の独り言
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