最近、泣けてます?
今年もお盆の季節になりました。
日本人の多くの人がお休みに入り、リフレッシュをする季節ですね。今年(2023年)は台風が来ていたり、円安で外国からの旅行者が多くて混雑と混乱がありそうですけれど、心身ともにリフレッシュするための時間として皆んなが過ごせると良いなと思っています。
先日、以下のコラムのタイトルに興味を惹かれ、読んでみました。
「涙は癒しになる」とはよく聞くことですけれど、脳の前頭前野の働きが低下していると涙が出ないのだとか…
それほど強いストレスがかかっていると感情の表現も覚束なくなってゆき、最悪は心の変調を起こしてしまいかねません。いや、起こさないまでも、人間ではなく機械のような冷たい心になってしまいそうです。
「涙活」という言葉もありますけれど、感情を解放する上において涙の果たす役割と、その効果には絶大なものがあるようです。
医療、心療的にもよく言われていて、以下のようなコラムもあります。
ストレスがかかった時には運動をすると良いとも言いますけれど、運動で体を動かすことで頭が空っぽになって気分が変わることはあっても、心の中に澱のように溜まっている未完了の感情はどこかで堰を切って出してやる必要があると思います。
感情を表に出すという意味では、ストレスに対して怒りで対応することもあるかもしれませんが、それでは周りに悪影響を与えたり、「思い出し怒り」みたくなると却ってストレスを蓄積することにもなりかねません。
「泣く」ということはそれに比べると健全であり、本人にとっては泣くことで心が浄化されるということがあると思います。
すなわち、泣くことは「癒し」でもあるわけですね。
でも、そうそう「泣けない」ってことはないでしょうか?
あるいは、何が自分の感情を押さえつけているのでしょうか?
「泣けない」自分を作るもの
「男の子なんだから!」
私はそう言われて育ってきたかもしれません。
「男は涙は見せないもの」、ちょっと古いですが、河島英五の歌「酒と泪と男と女」にもありましたね。
昭和の頃は、涙は見せずに頑張るのが男の美徳であり矜持みたいになってましたし、私もそのように両親から育てられてきたかもしれません。
そうやって育てられて社会人になり、「人前で泣くのはみっともない」みたいなところから、さらに、そもそもの感情自体を仕事の時には押さえつけ、自分がどう感じるか、どう思うのかよりも、事実が何であり客観的にはどのように見えるのか、そして「何をすべきか」を考えることでビジネスパーソンとして生き残ってきたように思います。
すなわち、普段から感情を押し殺しているわけです。
なぜ、そんなことするかというと、それは優秀なビジネスパーソンとして冷静な判断をしたいと思ってるから。
感情的になるのは愚かである、みたく思っていたかもしれません。
さらに、マネジメントになるとより一層その傾向は強くなります。
他者と共に働く、他者の力を借りながら結果を出してゆくためには、人の感情を理解しつつ、自分の感情はコントロールして、みんながうまくいくように関係性を整えることをしてゆくことになるので。
EQ(あるいはEmotional Intelligence=感情知能)でも、自分の中に起きている感情や相手に起きている感情を理解し、感情を利用したり制御することが優れたリーダーの条件となると学びました。
感情を理解し、相手の共感し、話を傾聴し、相手のやる気を引き出してゆくことをしてゆく一方で、相手の感情には巻き込まれないように注意し、自分の中に湧き起こる感情は徹底的に押さえ込み、それを続けてきました。
でも、そんなことはいつまでも続けられません。
自分のことも、自分の感情のことも大切にしないと、疲れ切ってしまいます。
誰かに愚痴を聞いてもらうとか以外の方法で、自分の感情を解放する必要があると思います。
そして、感情を解放する上で最も安全で効果があるのが「泣く」ことになります。。
泣くためのストックを用意しておく
自分を押し殺してしまっているなと思った時や、心が疲れてしまった時、テンパってるなと思った時、私は一人っきりで思い切り泣ける時間を作るようにしています。
泣くと言っても、「嬉し泣き」や「悔し泣き」、一人が悲しくて泣くみたいな色々なシチュエーションはあるでしょう。でも、これらのどれもが「さぁ、これから泣くぞー」みたいに能動的にアクションを取りにくいものです。
そこで、私の場合は「感動して泣く」ことにしています。
これならば自発的に能動的に自分からアクションをとりにいけます。
そのために、一人になれる時間をしっかりと取って、「今夜は泣くぞー」みたいにしています。
そして、「感動で泣く」ためのリソースをいつでも観れるようにストックしています。
私の場合、それは映画です。感動して泣ける映画。
どんなラインアップか、その一部をせっかくだからご紹介しましょうか。
一本目の「リアル・スティール」はヒュー・ジャックマン主演のロボット版「ロッキー」みたいなお話です。
ロボット同士のボクシングで、場末の格闘場から勝ち上がってゆくワクワク感もありますけれど、これはアクション映画というよりも、家族のドラマです。
親子の信頼と絆、挑戦し続ける強い意志、みたいなものが胸を打ちます。
二本目は「オーケストラ(原題はLe Concerto)」メラニー・ロランがヒロインを演じています。コメディに分類されてる映画ですので、ところどころにクスッと笑えるところがありますけれど、音楽にかける人々の想いがグイグイと観るものを引き込んでゆく映画です。原題の「ル・コンチェルト」には深い意味があります。
ラストまでの18分ぐらいが、涙と笑いで感情が大忙しになりますけれど、最後は爽やかな気分になれる映画です。
最後は極め付け、「サマーウォーズ」。
日本の大家族、その温かさ、力強さ。諦めずに頑張る主人公とヒロイン、それを応援する力はなくも優しい心を持った人たち…
私にとってはあちこちに泣けるシーンがあるので、この映画だけは年に一回、今の時期に腰を据えて最初から最後まで観て泣くようにしています。
あぁ、書いてて既にヤバいです。
私は安上がりにできていて、映画一本見なくても予告編だけで泣けてしまうんです。
ここに挙げた三本は私のとっておきでした、他にももちろん泣ける映画とか(ディズニー・ピクサーのにヤバいのが多い)ありますけれど、この場はこのくらいにしておきましょう。
英語で「Shoulder to cry on」という言葉があります。
「泣きたい時に肩を貸してくれる人」という意味らしいです。
自分の感情を受け止めてくれる人がいる人は一人で泣かないで良いかもしれません。
そういう相手がいない人、居てもその人が今はそばにいない時、自分の感情を解放して心に癒しをもたらすことができるようにしておくことは、この複雑で大変な世の中で自分の心と上手に付き合い壊さないための一種の自衛手段ではないかと私は思います。
涙って「心の汗」みたいなものだと思います。
泣くことを恥ずかしがる必要はありません。運動で汗かいてスッキリするように、心も思い切り動かして汗をかいた方が健康的だと思いますよ。
この夏休みが、皆さんの心を解放する素晴らしい夏休みになることを祈っています。
たくさん笑って、たくさん泣いて。
素敵な思い出ができていって、たっぷりと浸れますように!