長編小説のゆるみ

絶えず気を張ったゆるぎない[長編小説]など、それが長ければ長いほど、読むほうは息つく暇もなく苦しくなる。[大長編小説]を名乗るならなおさら。
ふつう、意図しようとも意図せずとも、長編小説には[ゆるみ]をもたせる。つまり、あえて[冗長]な、[退屈]な、[繰り返し]や[余談]を織り交ぜるということがなされる。
[テンポ]を落とす、テンポを整える、[脇道に逸れる]。
長編小説における[時間]は、短編小説のように全体として凝縮されたものではまずない。
長編小説は緩急を織り交ぜ、密度の濃淡を工夫し、[虚構の時間]を作り出す試みといえる。

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