おとなが銀座でイキに仕上がる時
Vol.048
築地生まれで八丁堀と銀座育ちな私にとって、銀座はホームタウンである。
幼いころはよく、銀座や日本橋を親に手を引かれて歩いたもの。
大人になった今、私にとって銀座を歩くというのは、ショッピングをするというモチベーションの場所だけではなく、暮らしがあった場所である。
実はこういう自分の生い立ち的なものをNOTEには記載したいと思っていたので、時期を追って書き残していくこととする。
さて、久しぶりの銀座。
幼少時代の思い出はさておき、大人になった今に出会えた銀座を今回は書いておきたい。
銀座の夜は実は早い時間がイキ
これは私の感覚的なものなので、一律にというわけではない。
ただ銀座を楽しんでいる大人は、たいてい夕方16時過ぎぐらいから一杯ひっかけるというのが結構いる。
なので結構に老舗お店に顔を出すと、早くから満席なことが多い。
それこそ17時きっかりは満席だったりする。
なので意外とお昼から通し営業があるのも銀座だ。
銀座の大人が一杯ひっかける止まり木
なんだかんだで久しぶりの銀座での夕食になったので、その前にちょっと一杯ひっかけようと思ってバーに立ち寄る。
そう。銀座で食事前に一杯飲むのは、「ひっかける」という言葉がふさわしいのではないだろうか。
長居することなく、流れるように次のお店へ進んでいくのが銀座の流儀な気がする。幼いころも、夕食だけかと思いきや、あっちこっち連れていかれていたのも覚えているからかもしれない。
宿り木は数寄屋橋サンボア
大正7年に神戸で創業したバーのサンボア。
その数寄屋橋サンボアが銀座にある。
マホガニー調のカウンターに重厚感あるカーテンは、ロンドンのトラディショナルバーにいるかのような錯覚になる。
スタンディングでカウンターでハイボールを頼む。
これがサンボアの楽しみ方だ。
立ち飲みでバーテンダーの津田さんと少しのおしゃべりをしながら時間を過ごすのは、涼しい風が流れるような、スッと背筋が立つような。
そして、これから夕食に行くという気持ちを和らげてくれるような。
食事前にちょっと飲むというのでは、イタリアのアペリティーボになるのかもしれない。でもちょっとというかそれとは違う。
どちらかというと、今夜は銀座でお世話になりますというような挨拶のような儀式のような。
記憶として3歳ごろの記憶からしかないが、幼いころから通っていた銀座で、こういう時間を楽しめるような大人になったと実感する。
銀座の老舗バーは、大人の佇まいをイキに仕立てる場所なのかもしれない。