『その「職業」とは職業の概論』コロ助
この世には奇想天外な職業が存在する。例えば、特殊清掃業者。これは清掃業の一形態であり、変死、孤独死、独居死遺体の発見が遅れ、遺体の腐敗や腐乱によりダメージを受けた室内の原状回復や原状復旧業務を指す。そんな職業、本当に需要があるのだろうか?などと、思うことがあるだろうが、実際にこの特殊清掃業者の職業がなければ、建物のダメージは回復しないままだし、雇われの大家の収入に関わってくることだし、下手をすると大家も特殊清掃業者のお世話になってしまうかもしれない。隙間産業と言うつもりはないが、ニッチな職業のおかげで我々は今清潔なアパートで住むことができているのも事実である(筆者が借りているアパートの前住人もお世話になったらしい)。
そんな狭い需要を満たす職業が他にもあることを読者はご存知だろうか。その職業は台湾、韓国に実在した泣き女やチケットの転売を行うダフ屋などと比較にならないほど、奇妙奇天烈摩訶不思議奇想天外四捨五入。あまりにもニッチすぎるため必要な人間しかその存在を知らないため、周りに話したとて誰も信用してくれないし、そもそも口外することすらご法度となっている。そういえば以前こういう事があったらしい。
時代は昭和20年に遡る―――。戦後の占領下時代、まだ日本が貧しく明日の食事もろくにありつけない時勢にこの事件は発生した。とある闇市にて、その職業の名を発した若者が突発型PX愚連隊により撲殺されるという悲惨な出来事が起こった。事情徴収を行なわれた者たちは口々に「あの職業の名を口にした!この地ではご法度のはずなのに、やつはいけしゃあしゃあと口にした!これは俺たちに対する冒涜であり、許されない掟破りじゃねえか!そんなヤツ殺されて当然だろ?」と。この証言を目にすると職業自体が禁忌であり、それについて触れること自体がご法度のように感じられるだろう。しかしながら、その職業自体は我々の生活にソッと添い寝をするような密接関係に築いており、この職業を廃してしまうと、一挙に破綻への道を歩むことになるだろう。
その職業になるには特殊な技術はいらないらしい。らしい、と記載したのは、地域によって要求される技能が違うからだ。たとえば、医師になるには医師免許が必要であるように、特定の職業になるには特定の技術が必要になるが、この職業に関しては、技術と呼ばれることは何一つ要求されない。しかし、技能は要求される事となる。技能と技術。同じ言葉のように捉えることができるかもしれないが、それぞれ違う意味を持つ言葉である。技能というのは、経験的に身についていくものであり、人間を通して伝授されるものを指す言葉であり、技術という言葉は、論文やメモなどによって客観的な伝達が可能であるものを指す言葉である。その職業で要求されるものは「技能」であり、「技術」ではないのだ。このことから、その職業は目に見えないなにかを要求されることがわかる。その要求されるものとは、そう「くだを巻く」力である。
「くだを巻く」。とりとめもないこと、また、不平などをくどくど言う。そんな状態で一体何ができるというのだろうか。しかしながら、その職業の人物たちは獲得することができるのある。利益を、実利を、衣食を。くだを巻くことでどうにか利益を獲得する。そういった事が可能であれば、その職業に関する技能の研究も進んでいるはずである。だが、残念ながら住を獲得することができないその職業は、時代とともに消えていく存在であるため、その職業に関する研究は牛歩のように進むことができずの状態であるのだ。筆者も苦労に苦労をかけて、その実態の片鱗を知ることしかできなかった。しかし、その職業の名前を知ることができたので今後の研究のために機作しておくこととする。
それは「■■■■(検閲済)」とまことしやかに囁かれている。(ここから不器用に筆記跡が新しくなる)残念ながらその職業に関して記載することは認められていないため、記載することはできない。だがここまでの情報で感の良い読者であれば想像することができるはずである。
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