『第三世界から来た水-2』山口祐也
反発しながら溶け合う西と東。汚しあう稚児。血の夜。悪夢がとめどなく来る。
全て押し流してくれ、底を知らない夢の足跡、前人未踏の川の底。ネズミはそこからやってきた。誰も知らなかったんだろう?どうして君だけが知っていることが出来ると言うのか。語りえない事には沈黙するしかないんだ、夜更かしの僕ら。
演技派の看守はカラスの夢を見るか?問いかける僕と君は泣きながら笑った。悲しむ必要などない。支配は終わった。骨犬と共に抑圧は去った。それなのにどうして僕と君は争うのだろう?
夕陽を見る君の目が潤んでいた。何を成し遂げても、その背後に無意味を見出したんだろう?君もきっと淋しかったんだ。どこに行っても孤独な僕と一緒だ。
演技派のカラスは青空の夢を見ない。
存在者の君、桃源郷は遥か遠のく。歩けども辿り着けない天竺。現れないユートピア。資本主義の作り出したものが一体なんなのか、ゴミ山で暮らす子どもたちに教えてもらうが良い。
銀行家は肥え太り、羊飼いが泣いている。神秘も神も、姿を消して久しい。誰も省みないので道徳は路地裏で泣いていた。価値の破壊が構造、抗えど為す術もない。
資本主義が何を作り出したのか、餓死した親子に聞いてみるが良い。
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