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3月19日はイタリアの「父の日」

「父の日」として、多くの国では6月の第3日曜日に祝われていますが、イタリアでは3月19日に祝われます

カトリックの国であるイタリアは、1年を通してカレンダーには「聖人」の名前が記されています。例えば、2月14日のバレンタインデーは、カトリックの聖人である「サン・ヴァレンティーノ」の日とされています

その日の聖人と同じ名前(または縁のある名前)の人を祝福する習慣があったりもします。まあ第2の誕生日みたいなものなんですかねぇ?

さて、そんなイタリアで3月19日はサン・ジュゼッペ(聖ヨセフ)の日
聖ヨセフはキリストの養父ということで、この日が「父の日」として定着したようです

ナザレの聖ヨセフ(1965年グイド・レーニ)

父の日には子供達は父親に感謝の気持ちを伝えます
財布や時計などをプレゼントしたりすることも多いですが、やはり父親にとって一番嬉しいのは子供達からの「いつもありがとう」の一言

家族みんなで夕食をとり一緒に過ごす時間を作る家庭も多いみたいです

イタリア北部と比べて、カトリックの伝統をより大切にしている南部は父の日のお祝いも盛大です。今年は日曜日なので、家族だけでなく、親族や友人も交えた大きな昼食会なんかもアリかもしれませんね

家族や友人が集まる日曜日の食事会の様子

また宗教と固く結びついている南部イタリアでは「サン・ジュゼッペ祭」として多くの町や村で祝われます

ホームレスなどに寝場所を与える教会の保護施設や孤児院などでは貧しい人々に温かい食事やパンを提供する炊き出しが行わたりもします
これは、キリストの養父である聖ヨセフのように、他者に対する慈悲の精神を忘れないという教えからくる習慣のようです

シチリア島ではこの日多くの村で「サン・ジュゼッペのパン」という特別なパンが作られます。鍵や十字架、金槌など聖ヨセフに縁のある形をしたいわゆる「飾りパン」なんですが、自然酵母で熟成され、そのまま数日おいて固くした後に焼き上げます

サン・ジュゼッペのパン

このパンを包装してサン・ジュゼッペの日にご近所や親せきに配り、交換するという昔ながらの習慣がシチリア島には現在も残っています
その昔はイチジクの葉で包んでいたそうですが、現在はお洒落なラッピングがされてパン屋さんで売られたりしています

その中でも有名なのはトラパニ県にあるサレミという小さな村
ここでは、各家庭でパンの祭壇が作られその凝った装飾で知られています

パンの祭壇

その他にサン・ジュゼッペの日にはゼッポレやスフィンチと呼ばれるお菓子もシチリア島のお菓子やさんに並びます。生地を油で揚げてクリームと砂糖漬けのチェリーをのせたのがゼッポレ、砂糖を塗したのがスフィンチ

サン・ジュゼッペのゼッポレと呼ばれるお菓子

おばあちゃんがいるシチリアの家庭では今でも3月19日に作られます

カトリックの伝統と共に祝われるイタリアの「父の日」
各地で祝い方は様々ですが、イタリアには百万人以上の「ジュゼッペさん」が存在するくらいポピュラーな名前!
3月19日は春の到来を告げるともいわれていたことから、色々な意味でイタリアのお祝い人口が多い日となりそうですね


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