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【アテンド日記】シチリアの世界遺産、操り人形とその伝統を受け継いでいくファミリー達

悪天候が続くクリスマスイヴのパレルモ観光。夕刻、操り人形劇場でショーがあるという情報をゲットしたのでお客様に打診したところ、是非見てみたいとノリノリ。大雨ですが早速見に行くことになりました。

「プーピ」と呼ばれるシチリア島のマリオネット(操り人形)は1700年代くらいから始まったシチリアの庶民文化、伝統工芸で、2008年からは世界文化遺産として認定されていつシチリア島の重要無形文化財です。

18世紀当初は人形は存在せず、語りだけだったそうです。11世紀のフランスの騎士物語『カルルマーニュの騎士達』という作品が観衆の前で語られていました。その後人形が作られるようになって人形劇となったのですが、伝統的な騎士物語だけではなく政治風刺などもテーマにされ、出し物は主に男性向けでした。そのうち恋愛エピソードなど女性に喜ばれるようなものも加わり大衆に浸透していったのです。
娯楽の少なかった時代、操り人形はパレルモ、カターニャなど町のどこかでほとんど毎日行われていたそうです。映画やビデオゲームなど娯楽が発達した現代ではめっきり少なくなり、現在ではパレルモ、カターニャ、シラクーサ、カルタジローネに数件あるのみです。

私達が訪れたのはパレルモの大聖堂近くにあるアルジェントファミリーの人形劇場。パレルモに3件しかない劇場のひとつで、1800年代より親子4代に受け継がれた生粋の操り人形師ファミリーです。現在は4代目の二コラさんが座長を務めておられます。

アルジェントファミリーの人形劇場

当初、操り人形師は実際に公演に使う人形も作る職人でもありました。アルジェントファミリーの人形を作るのは今年86歳のヴィンチェンツォさんです。6歳から人形作りに携わっているというヴィンチェンツォさん、80年のキャリアなんですね。

キャリア80年の人形職人ヴィンチェンツォさん

劇場内には出し物に使う登場人物達が並んでいます。中には19世紀くらいに制作されたアンティークコレクションもありました。

劇場内の人形コレクション

本日の出し物は「オルランド物語」。シチリアの人形劇のルーツとなった11世紀の騎士物語の第1章です。

1人または2人の人形師が腹話術のように声色を変えてセリフとともに人形を動かします。1体の人形の重さは約10キロ程度。これを1体持っているだけでも力が必要です。

そしてこの出し物の一番の見どころは騎士達の戦闘シーン。操り人形師がセリフだけでなく、バタバタと足踏みをして音を出しながら剣をぶつけあいます。倒された敵は幕の奥へ放り出されたりしてなかなかの迫力です。
リズムよく剣を合わせるのは人形師達の腕の見せ所のひとつなんだそうです。

見どころの一部をこちらの動画でどうぞ↓

ちょっとコミカルなドラゴンとの闘いシーン↓
https://youtube.com/shorts/wH4nf7UZLnY?feature=share

上演時間は約45分。すっかり見入ってしまいあっという間でした。
ショーの終わりには実際の人形を持たせてもらったり、舞台の裏側も見せてもらいました。

舞台の後ろ。結構狭い場所で重い人形を操るのは大変そうです

入場料は大人1人12ユーロ(2024年12月現在)。17時30分より公演されますが、公園日は不定期なので確認が必要です。

Opera dei pupi teatro Argento
Via Pietro Novelli, n1/a, 90134 Palermo
電話 +39 349 135 3267


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