世界情勢の混沌化
ほんのごく一部の富裕層だがSNSで、世界情勢から日本からの脱出を検討する動きがあることを見聞きした。
2023・04・15の日本経済新聞朝刊では、台湾有事の終わり方について記事が出ているが、ここ最近の中国にかかわる報道内容をみると、無関心ではおられず、情勢の把握については注意が必要ではないかと思われる。
米中関係の悪化のなかで起きた、アステラス製薬従業員のスパイ法による身柄確保。
この救出に向かった林外相の訪中では、この話題より、半導体輸出規制などの議題に話がすり替えられたが如く、進捗はトップレベルの会談などに終わり、相手側から懸案について列挙されたような状況。
続いて、フランス マクロン大統領の訪中、EU フォンデアライエン議長の訪中だが、マクロンさんからは台湾情勢について、欧州は米国に追従しない(台湾情勢への参画は欧州の利益にならない)などのコメントが飛び出すなど、欧米一帯となったウクライナ支援とは違った様相の状況になっている。
フランス、EU、ブラジルは中国に向け多くの旅客機の購入について、話し合いが進んでいることもあり、経済関係を考えれば、正面切って、中国とぶつかることはないが、ウクライナ支援に伴なう軍事・経済的な支援を台湾有事の際に同様に行うつもりはないことは暗に密約がされているのではないかと勘繰ることのは早計だろうか?
ドイツには中国のフォルクスワーゲンなど産業面での展開が早くから実施されており、スウェーデン国内のヨーテボリとストックホルム間には上下分離で香港鉄道当局が運営する特急車両が運行しているし、ストックホルムの地下鉄の運営権も香港地鉄が受託している。
チェコなど一帯一路などから東欧への投資もあるがウィグル人権問題から進んだり、とりやめになったりするものも出ている。
案外、中国と欧州の関係は深いものがあります。
フランス大統領、EU委員長のような要職が訪問するのは、ウクライナへの開戦前のモスクワのような状況である。
外交ですべてが情報公開されることはないので、なにがあったのかはわからない。
日本は日米同盟があり、沖縄に駐留する米軍など地政学的な状況から、台湾有事に巻き込まれざるを得ない状況にある。中国が香港で行った民主派の縮小を狙った活動で実施したように、一つの中国をもとに、官憲や諜報活動などあらゆる手段をもって台湾を手に入れたいが、現時点では、米国などの状況を見て、実施タイミングを計っているように思える。
北朝鮮の対米を意識した軍拡、ロシアの情勢、中国の経済力・軍事力の向上、韓国の立ち位置、日本の日米同盟の存在
欧州の極東でのプレゼンスに対する価値観と米国追従主義からの距離を置く動き。
インドの中国やロシアとの関係。
中国による南半球の諸国へのインフラ整備による借金でがんじがらめになっている状況など。
社会主義と民主主義というフレームから、世界は混とんとした状況に突っ込んできている。
1941年3月に締結した日ソ中立条約が、イタリア降伏、ドイツの敗戦が濃厚となった1945年2月ヤルタ会談での密約を受け、ドイツ降伏後3ケ月以内の対日参戦を狙うロシアからあっさり破棄され、侵攻された1945年8月9日の動きのように、各国の利害が絡み合う状況になっている。
日本はというと第二次世界大戦同様、台湾海峡の海上輸送路をどこかに抑えられれば、立ち向かうしか生き残る術はない。
その時、米国に日本を守ることによる国益があるかは、中国の経済力や国際情勢などによって不安定な状況であることも想定できる。
この夏にも想定される金利低下に伴う米国経済のリセッションが囁かれるなか、米国に追従するのは日本と豪州、欧州は静観とすれば、一部の富裕層がリスクを測って日本脱出を検討しているのも頭から否定するものではないと感じた。
実は、今こそ、外交上の駆け引き、インテリジェンスが重要な時期はなかったのではないかと思う。