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大人になると見えない景色。

今日、かざはなが降った。

寒いとはいえ、日中はポカポカ陽気が続いてたこの頃。
午後から仕事が入っていたため午前中に用事を済ませ、買い出しに出かけたスーパーの駐車場でパラパラとし始めた。

この辺は、雪も降らず真冬でも冷たい雨が降る程度。
子供からしたら、かざはなが吹けば寒さも忘れて飛び跳ねるほどうれしい。

「パラパラだから、大したことないけどかざはな降ってるよ」と、学級閉鎖で自宅にいる子供に伝えると。

「わぁぁぁ、本当〜? あのね、 大したことなくても雪降らないんだから、この辺はかざはなだってすごいことだよ」とワクワクを隠せない声が帰ってきた。

「あぁ、そうだよな」と納得してしまった。

大人になると、見えなくなる景色が存在する。
子供の頃、物珍しく目を輝かせた景色は、大人になると往々にしていつもの事としてしまうことがよくある。考えれば、かざはなだって1年に1度降るか降らないかの珍しい光景なのに。

いつかワクワクしたその日は、大人になっていつの間にか「あ、またか」に変換されていた。

最後に両手を広げて走り回ったのはいつだろうか。手の平で迎えたかざはなが、溶けてなくなる瞬間を捉えようと目を見開いたて、息を殺した日は随分前だったと思う。

きっと今、我が子はかざはなの振る景色を眺めながら、吹き荒れるシベリアにいて、見た事のない景色を頭の中で楽しんでいる。
私はもうあそこには戻れない。そう思ったら少し、我が子が羨ましくなった。

知ることで世界は広がるけれど、知ったことで世界を狭め見えなくなってしまう景色もあると、浮かれた声の我が子に気づかされた、そんな1日。

また、降るといいね。

2月5日 水曜日 晴れ、時々かざはな
平均6℃、強風で耳がちぎれそう。


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いたちょこ📚イラストレーター
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