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AIが書いた小説を初めてKindle出版して気づいたコツと注意点
先月初めて、ChatGPTで書いた小説「Cyber Rebellion」をAmazonのKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)でセルフ出版しました。
その時に気づいたコツや注意点について紹介したいと思います。
1.Kindle出版を利用するメリット
まず、Kindle出版を利用するメリットは以下の4つです。
出版費用が無料(自費出版の場合は100万円~300万円くらい掛かる。)
ロイヤリティ(印税)が最大70%(商業出版の相場が5~10%、自費出版で10~50%)
出版手続きがオンラインだけで簡単
集客力のあるAmazonの販売サイトを利用できる
これを見ると、noteでコンスタントに読者が付く記事が書ける人は、やらないと損だと思います。
2.出版までの手続き
kindle出版のための手続きは以下のとおりです。
KDPアカウントの登録
原稿の作成
表紙画像の作成
KDPサイトでの出版手続き
3.KDPアカウントの登録
(1) KDPサイトへのサインイン
最初に以下のサイトにアクセスし、Amazonアカウントでサインインしてください。
すると、以下の本棚のページに移ります。
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(2) マイアカウント情報の登録
次に右上の「アカウント」をクリックして、マイアカウント画面から、著者/出版社情報、支払いの受け取り方法、税務情報の3つの情報を登録します。
① 著者/出版社情報
画面の指示に従って、国、氏名、住所、電話番号(+81から)を入力します。本を出版する際にはペンネームを使用できますが、ここでは必ず本名を入力してください。
② 支払いの受け取り方法
画面の指示に従って、支払いを受け取る銀行口座の情報を入力します。
あまり気にしなくてよいと思いますが、日本以外の銀行に口座がない場合、ブラジルとメキシコの売上げについては米ドルの小切手支払いになります。それ以外の国の売上げは、日本の銀行口座に振り込まれます。
③ 税務情報
画面の指示に従って、税務情報に関するインタビューに回答します。
「私は米国以外のTIN(納税者番号)を持っています。」にチェックして、マイナンバーを記入すると、アメリカでの売上げに対する30%の源泉徴収税が免除されます。アメリカでの売上げに期待しない人はチェックしなくても構いません。
4.原稿の作成
KDPで電子書籍を出版する場合は、原則としてリフロー形式が採用され、表示するデバイスによって表示形式が変化します。また、ペーパーバックを出版する場合には、固定レイアウト形式が採用されます。
Kindle出版用の原稿を作成する場合、Microsoft Wordを使用するのが便利です。
(1) 原稿の分量
原稿の文字数は、一般の単行本の場合は約10万字くらいですが、kindle出版の場合は、1万5,000字から2万字くらいが最適だと言われています。
なお、今回筆者が出版した本は、小説部分は約1万3,700字ですが、全体で約2万8,500字と少し長いです。これで、電子書籍で72頁、ペーパーバックで53頁の分量になります。
(2) Wordでの原稿執筆
表示タブで「ナビゲーションウィンドウ」にチェックすると、原稿内で移動するときに便利です。
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章のタイトルなどの文字の大きさは、あらかじめホームタブの「スタイル」で設定しておくと、自動的に目次にも反映されます。
スタイルは、「標準」「見出し1」「見出し2」などを右クリックして、「変更」を選択し、自分の好みのフォント、ポイントなどに変更しておきます。
例えば、以下のように変更します。
標準・・・・・MS Pゴシック、12ポイント
見出し1・・・MS Pゴシック、18ポイント、太字
見出し2・・・MS Pゴシック、16ポイント、太字
なお、筆者の場合は、見出し1の大区分は、それだけで1頁を使用するために28ポイントを使用しています。
該当するタイトルの文字の範囲を指定して、「見出し1」「見出し2」などをクリックすると、スタイルが設定されて文字が大きくなります。
(3) 目次の作成
目次を挿入する場所をクリックしてから、参考資料タブの「目次」を選択し、「自動作成の目次1」をクリックすると、目次が作成されます。
次に、「ユーザー設定の目次」を選択して、「ページ番号を表示する」のチェックをオフにすると、ハイパーリンク付きの目次に変更されます。
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(4) 文字修飾、画像、表など
太字や斜体などの文字修飾も反映されます。
また、画像も挿入できますが、文中に挿絵などとして挿入する場合は、Wordでの表示とiPadなどのデバイスでの表示が異なるため、1ページに収まらない場合があります。そのため、筆者は挿絵画像を文中に入れず、それだけで独立したページに表示しています。
なお、Wordは自動で画像を圧縮する設定になっているため、これを無効にした方がいいようです。
表も使用できます。筆者の場合、noteでは、AIへの入力、AIからの出力を表すのに以下のような引用表示を多用していますが、Kindle出版の場合は、これを1行×1列の表の中に文章を入れる形で表現しています。
入力 こんちには。元気ですか?
出力 はい、元気です。何かお手伝いできることはありますか?
一般の本の場合、最初に読者に向けた「はじめに」という文章で始まることが多いのですが、筆者の場合は、Amazonのサンプルページで小説の冒頭部分を読んで欲しかったので、いきなり本文から始まる形にしています。
このように、本の最初の部分は、サンプルページに掲載されるので、それを意識して、本の構成を考える必要があります。
5.表紙画像の作成
表紙画像は、横と縦の比が1:1.6で、625×1,000ピクセル以上のJPEG画像が推奨されています。
筆者の場合は、noteの見出し画像と同様にオンラインデザインツールのCanvaを使用して表紙画像を作成しました。
Canvaのトップページの「デザインを作成」から「本の表紙」を選択すると、1,410×2,550ピクセルの白い台紙が表示されますので、ここに画像やテキストや背景を貼り付けて表紙をデザインします。
画像は、画像生成AIで作成したものをアップロードして使用しています。
完成した表紙画像を保存するには、右上の「共有」→「ダウンロード」と選択して、ファイルの種類で「JPG」を選び、ダウンロードボタンをクリックすると、自分のパソコンのダウンロードフォルダーに保存されます。
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6.KDPサイトでの出版手続き
最後に、いよいよKDPサイトでの出版手続きを進めます。
まず、以下の本棚のページの「電子書籍または有料マンガ」をクリックし、本の詳細情報の設定、コンテンツの設定(原稿及び表紙画像のアップロード)、権利と価格の設定と進めていきます。
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(1) 本の詳細情報の設定
画面の指示に従って、言語、本のタイトル、版(1と入力)、著者(ペンネームOK)、内容紹介、出版に関して必要な権利、キーワード(最大7つ)、カテゴリー(最大2つ)、年齢と学年の範囲、本の発売オプションを入力していきます。
内容紹介は、作品を読者にPRして購入してもらうために非常に重要なので、しっかりと下書きをしてから入力しましょう。紹介文は、Amazonサイトの最初の表示では冒頭の数行しか読めないため、一番最初に読者に一番PRしたいことを書きましょう。
入力が終了したら、「保存して続行」をクリックして次に進みます。
(2) コンテンツの設定
デジタル著作権管理(DRM)は「はい」にチェックし、横書きか縦書きか選択してください。
次に、原稿と表紙ファイルをアップロードします。ここでエラーが出た場合は、指示に従って修正し、再度アップロードします。
最後にプレビューアーを起動し、表紙と原稿の表示を確認します。iPad、iPhone、Kindle端末の3種類で、それぞれ表示が異なるため、すべてのデバイスで問題なく表示されることをしっかり確認してください。
Wordで1ページに収まっていたものが他のデバイスの表示では2ページにまたがったり、1行で表示できていたものが2行になったりすることがあるので、特にタイトルと画像の表示や改ページの場所には気を付けてください。筆者もここで何度か修正しました。
上手く表示されない場合は、原稿や表紙ファイルを修正して、再度、アップロードからやり直します。
すべて問題なく表示されるようになったら、「保存して続行」をクリックして次に進みます。
(3) 権利と価格の設定
ロイヤリティを70%にしたい場合は、KDPセレクトに登録します。すると、Kindleストアの独占販売となり、Kindle Unlimited会員が無料で読んだ場合も、読んだページ数に応じて収入が入ります。
出版地域は「すべての地域」を選択してください。
ロイヤリティプランは70%を選択してください。
主なマーケットプレイスは「Amazon.co.jp」を選択してください。
ロイヤリティプランで70%を選択した場合、希望小売価格は250円以上1,250円以下にする必要があります。
希望小売価格は、Amazonで類似のKindle本を調べて決定してください。250円~500円くらいのものが多い印象です。
最後に「Kindle本を出版」をクリックします。
通常72時間以内に審査が完了し、販売開始となります。筆者の場合は、わずか2時間ほどで販売開始となりました。
7.販売開始後の確認
(1) Amazonの商品詳細ページ
販売開始後は、KDPの本棚のページの自分の出版した本の「Amazonで表示」にカーソルを合わせ、「JP」をクリックすると、自分の本の商品詳細ページを見ることができます。
(2) レポート
また、KDPのレポートのページから、販売状況、Kindle Unlimitedで読まれたページ数、ロイヤリティの支払額などをチェックすることができます。
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なお、Kindle出版についてさらに詳しく知りたい人は、以下のKDPヘルプセンターのサイトをご覧ください。
8.ペーパーバック版の出版
電子書籍と同じ内容で、ペーパーバック版の書籍も出版することができるので、実際にやってみました。
ペーパーバックのロイヤリティは希望小売価格の60%から印刷費を差し引いたもので、KDPのロイヤリティ計算ツールのページで計算できます。
(1) 原稿の作成
電子書籍と異なり、ペーパーバック版は固定レイアウト形式を採用しており、PDFファイルでアップロードします。
原稿はMicrosoft Wordで作成してPDFに変換するのが便利です。
最初に本のサイズ(判型)を決める必要があります。
日本の場合、単行本ではB6判(128×182mm)などがよく使用されるのですが、今回は、それより少し大きい学術書や教科書で使われるA5判(148×210mm)を採用しました。
なお、本のサイズを大きくしても、印刷コストは変わりません。
固定レイアウトの場合、全体のサイズや余白(マージン)などを正確に合わせる必要があるため、原稿用のテンプレートを利用します。
テンプレートは、以下のページの①テンプレートの選択から(空のテンプレート)の横の黄色のダウンロードボタンをクリックしてダウンロードします。そして、ダウンロードしたフォルダーから「日本語」→「横書き」→「148×210mm」のWordファイルを選択して開きます。
テンプレートファイルに原稿のテキストをコピーして、原稿を作成します。固定レイアウトなので、1ページごとの表示が見やすくなるように、文字の大きさ、タイトル、画像の配置などを見直してください。
筆者の場合、電子書籍では標準の文字サイズを12ポイントにしましたが、ペーパーバック版では、紙の本で読みやすいように10ポイントを採用しています。
Wordの原稿が完成したら、「ファイルの種類」でPDFを選んで、PDF形式で保存します。
(2) 表紙画像の作成
表紙の正確なサイズを確認し、表紙のテンプレートをダウンロードするために、以下のページにアクセスします。
綴じのタイプ(ペーパーバック)、本文タイプ(白黒かプレミアムカラー)、用紙タイプ、ページめくりの方向(横書きの場合は左から右)、測定単位(ミリメーター)、本文の判型(148×210mm)を選択し、ページ数を入力して、黄色の「サイズの計算」ボタンをクリックします。
すると、表裏の表紙全体のサイズや参照画像が表示されます。そして、白色の「テンプレートをダウンロード」ボタンをクリックすると、表紙用テンプレートのPDFファイルとPNG画像ファイルの入ったフォルダーがダウンロードされます。
この表紙用テンプレートを使ってオンラインデザインツールのCanvaで表紙画像を作成します。
筆者の本では全体サイズが305.57×216.35mmでしたが、その場合は、Canvaのトップページの「カスタムサイズ」をクリックして、「(幅)305.57(高さ)216.35 mm」と入力し、紫色の「新しいデザインを作成」ボタンをクリックします。
すると、指定したサイズの白い台紙が表示されるので、そこにアップロードした表紙用テンプレートのPNG画像を以下のように貼り付けます。
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テンプレートの赤い枠を基準にして、画像やテキストや背景を貼り付け、表紙と裏表紙をデザインします。裏表紙のバーコード位置を示す黄色の四角に画像や文字が重ならないように気を付けてください。
デザインが完成したら、テンプレートの画像を削除します。そして、右上の「共有」→「ダウンロード」を選択し、ファイルの種類で「PDF」を選んで、自分のパソコンにPDFファイルを保存します。
参考までに、今回、筆者がペーパーバック版のために作成した表紙と裏表紙は以下のとおりです。
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(3) KDPサイトでの出版手続き
既に電子書籍を出版済みの場合は、本棚のページの電子書籍の欄の「ペーパーバックの作成」をクリックすると、最初から本の詳細情報が入力された状態で進めることができます。
出版済みの電子書籍がない場合は、本棚のページの「タイトルの新規作成」から「ペーパーバック」を選択して手続きを開始し、最初の「本の詳細情報の設定」ページで必要事項を入力してください。
次の「コンテンツの設定」では、「無料のKDP ISBNを使用」にチェックして、黄色の「無料のKDP ISBNを取得」ボタンをクリックします。
それから、各印刷オプションを選択し、原稿と表紙画像のPDFファイルをアップロードします。ここでエラーが出た場合は、修正して、再度アップロードします。
アップロードが完了したら、プレビューアーを起動して、品質チェック欄の指摘と、すべてのページが問題なく表示されることを確認します。問題があれば、原稿や表紙ファイルを修正して、再度、アップロードからやり直してください。すべての問題が解決したら、黄色の承認ボタンをクリックします。
最後に「ペーパーバックの価格設定」の出版地域(すべての地域)と主なマーケットプレイス(Amazon.co.jp)を選択し、最小価格と最大価格の間で日本円の希望小売価格を入力します。
なお、ペーパーバック版の場合、実際の販売価格は消費税10%分が上乗せされます。
ペーパーバックの希望小売価格は、Amazonで類似の本を調べて決定してください。1,000円~1,500円くらいのものが多い印象です。
ここまで設定したら、紙の本に印刷された形で印刷エラーなどがないかチェックするため、有料(印刷コスト+配送コスト)で校正刷りを依頼することができます。白色の「校正刷りを依頼」ボタンをクリックすると、1、2日で、「再販禁止」の帯が印刷された校正刷りの本が届きます。
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校正刷りで内容を確認した後、「ペーパーバックを出版」をクリックすると、Amazonでの審査後に販売開始となります。ただし、販売開始直後は、「在庫切れ」と表示されており、「在庫あり」と表示されるまでに少し時間がかかるようです。筆者の場合は、翌日に「在庫あり」になりました。