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イーロン・マスクのTwitter買収で何が起こっているのか
世界で3億3千万人、日本で4,500万人の月間アクティブユーザー数を誇るTwitterが揺れています。
今年(2022年)4月14日にイーロン・マスク氏がTwitter買収を提案し、一度、提案を撤回したものの、最終的に10月27日に買収を完了しました。
しかし、その後、全取締役の解任、認証バッジの有料化、従業員の大量解雇、企業の広告出稿停止の動きなどで混乱しているようです。
今回、こうしたTwitter買収前後の動きについて調べてみました。
1.Twitter買収完了まで
4月4日、筆頭株主に
これがTwitter買収劇のスタートでした。
4月5日、取締役になるかと思ったら
4月10日、辞退してしまいました
4月14日、一転して買収を提案
最初はマスク氏の買収提案を歓迎する声が多かったように思います。
4月15日、Twitter社が買収防衛策を発表
4月25日、Twitter社が買収提案を受入れ
マスク氏が買収資金を確保すると、すぐに白旗を上げました。
5月10日、トランプ氏のTwitter永久追放を撤回すると発言
トランプ氏の永久追放がTwitterの投稿規制に対する批判の切っ掛けとなっていました。
5月13日、買収計画の一時保留を表明
Twitter社の推計よりも偽アカウントなどが多いのではないかというのが理由です。確かに複数のアカウントを使用しているユーザーも多く、Twitterの偽アカウントは多いというイメージがあります。
7月8日、Twitter社に買収の撤回を通知
偽アカウントなどの割合が多いというのが直接の理由ですが、実際には、この頃からTwitterの経営改善の難しさに気づいていたのではないでしょうか。
7月12日、Twitter社がマスク氏を提訴
9月13日、株主総会で買収承認
買収合意実行に向けて、マスク氏に圧力を掛けています。
10月4日、買収撤回を撤回
裁判で勝てないと見越して腹をくくったようです。
10月20日、買収後の大規模リストラを計画
10月27日、440億ドルで買収完了
マスク氏はTwitterに「鳥が解き放たれる」と書き込みました。赤字体質からの脱却に向けて今後の経営手腕が問われます。
2.Twitter買収完了後
10月27日、CEOらを解任
買収協議中に意見の対立もあったアグラワルCEOらが解任されました。マスク氏の剛腕が発揮されるのでしょうか。
10月28日、投稿管理のために協議会設置へ
買収前から表明していた投稿規制の緩和に向けた改革に乗り出しました。同時に、無制限の緩和でTwitterを無法地帯にはしないというアピールだと思います。
10月28日、トランプ氏が買収を歓迎
Twitterの投稿規制に対する批判の切っ掛けとなったトランプ氏も買収を歓迎しました。
10月31日、全取締役を解任し、マスク氏がCEOに
11月2日、認証バッジを有料化へ
マスク氏を批判する記事が増えてきました。ただ、今まで無料だったサービスを有料にすることはなかなか難しいものです。
11月3日、従業員の大量解雇を通告
全従業員の半数近くを突然解雇し、社会問題になりました。リストラの必要性は理解できますが、日本ではなかなか考えられない強引さです。
11月4日、大量解雇開始、広告休止が拡大
大量解雇によって、差別的な表現やフェイクニュースへの対策が緩むことを懸念した企業による広告出稿を一時休止する動きが広がっています。なお、この話の背景には、Twitter規制の緩和(公正化?)を求めるトランプ支持者などの保守派と規制の徹底を求めるリベラル派の対立があります。
11月5日、Twitter有料版を値上げ、日本は対象外
認証バッジの有料化は、有料サービスのツイッターブルーを値上げして認証バッジを付与するという形に収まりました。現時点では日本は対象外ですが、やがて同様の措置が取られるでしょう。
11月8日に公式ラベルの導入を発表したが、1日で撤回
認証バッジをめぐる混乱は、どういう形で収束するのでしょうか。
11月17日、マスク氏の長時間労働要求で大量の社員が退職
労働組合の強い日本では、なかなかできない要求です。それだけTwitterの経営に対するマスク氏の危機感が強いのでしょうが、急激な変化は上手くいくのでしょうか。
11月19日、Twitter投票の賛成多数を受けてトランプ氏のアカウントが復活
マスク氏が実施したTwitter投票は、1500万人が参加し、賛成51.8%、反対48.2%でした。
3.まとめ
イーロン・マスク氏がその言葉や行動で騒ぎを巻き起こすのは毎度のことです。しかし、今回はかなりヤバそうです。
ただでさえTwitterは十分な広告収入が上がらず赤字経営が続いているのに、投稿管理に批判的なマスク氏の言動によって差別的な表現やフェイクニュースが増加するのではないかと危惧した企業が広告出稿を一時停止し始めました。
さらに、11月4日から始まった大規模リストラも、投稿管理が不十分になるのではないかという懸念に拍車をかけて、広告主やユーザーのTwitterからの撤退を招いています。
しかし、解雇された人たちはかわいそうですが、赤字経営の会社にリストラを断行したり、サービスの有料化で収入の改善を図ったりしてテコ入れすることは、経営者として当然の行動です。
また、マスク氏は、Twitterを「参加自由の地獄絵図にはしない」と約束しましたが、過激なイメージと早すぎる対応がマスコミや世間の批判に繋がっているようです。
マスク氏は、これまでもいくつもの逆境を跳ね返して大きなビジネスを成功させてきましたが、今回もうまく切り抜けることができるのでしょうか。
Twitter(世界3億3,000万人、国内4,500万人)はSNSとして、日本の中ではLINE(9.200万人)に次ぐユーザーシェアを占めていますが、世界的にみると、Facebook(29億人)や WhatsApp(20億人)などに対して大きく水をあけられています。※()内は月間アクティブユーザー数
Twitterユーザー比率の高い日本としては、マスク氏に頑張ってもらって、何とかTwitterサービスを維持してもらいたいところです。